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「花火」を楽しむウンチク...知っていれば、さらに楽しい夏の夜

2017年8月 4日 19:00

画像:足成

花火の発祥は日本...ではなくて、ヨーロッパだった!?

夜空を彩る花火。庭先で楽しむ花火。いずれも日本の伝統文化には違いありませんが、実は、その発祥は日本ではありません。

火薬そのものは中国で発明されましたが、その後、ヨーロッパに伝わった火薬をもとに、キリスト教のイベントで「花火のようなもの」が最初に使われたといいます。練り歩く山車につけた火薬が、煙と音でイベントを盛り上げたとされています。今でいう「仕掛け花火」に近いのでしょうか。14世紀のことです。

日本に火薬や火縄銃の知識が伝わったのはもう少しあと、16世紀になりますね。

江戸の粋。「玉屋」と「鍵屋」ものがたり。

日本で、打ち上げ花火が庶民の楽しみとして花開くのは江戸時代です。とくに隅田川の花火大会は、今に至るまで代表的な花火イベントですよね。

1732年(享保17年)、「享保の大飢饉」が発生します。さらに伝染病の流行もあって、多くの人が命を落とします。当時の8代将軍・吉宗は、大川(隅田川)の川開き行事にあわせて慰霊と供養の施餓鬼を行い、花火も打ち上げるように指示したといいます。これが大掛かりな花火大会の起源とされています。

花火大会、実は死者を弔う行事の一環として始まったんですね。今も、地域によってはその伝統が残っています。

さて、その江戸で、花火業者として成功したのが「鍵屋」と「玉屋」。
夜空に上がっていく花火に向かって「かぎやー」、「たまやー」と掛け声をかけたというエピソードをご存知の方も多いと思います。

実は、圧倒的に「玉屋」の人気が上回っていた時期があったといいます。

「橋の上、玉や玉やの声ばかり。なぜに鍵やと言わぬ情なし」という狂歌があるそうです。「鍵屋」だけに、「情なし」は「錠なし」に通じる言い回しになっているところが、江戸の粋なところですね。

ただ、「玉屋」は、火事を出してしまったことなどから、一代で江戸から追放されてしまいます。

線香花火は、本当に「線香」みたいだった!?

さて、打ち上げ花火とは趣きも規模もまったく違いますが、線香花火も夏の夜の思い出につながります。

この線香花火。最初に作りだしたのは、さきほど紹介した「鍵屋」だったといわれています。藁や葦の先に火薬を詰めて、そこに火をつけて楽しむ...という形だったようですが、庶民にはなかなかの人気だったようです。

この線香花火、今のように手で持って下を向けて...ではなく、香炉や火鉢などに立てて、その先に(つまり上のほうに)火をつけて楽しんだようです。つまり、見た目もあきらかに"線香"状態だったわけですね。なるほど。

打ち上げ花火、ここを楽しむ

花火の専門家が指摘する打ち上げ花火のポイントがいくつかあります。

最高点まで上がった花火が、開花する直前に一瞬停止する「タメ」(専門家は「座り」と表現します)。最大限に開いたときの形(「盆」といいます)など。
さらに「消え口」。つまり、「消え方」。花火はバラバラに消えていってはダメなんですね。同時にスッと見えなくなるのがいい。確かに大きく花開いた花火も、ほぼ同時に闇に消えていきます。スッ。

そういえば線香花火も、消えていくタイミングと、その後のしみじみ感が魅力です。
この夏、花火そのものも楽しんだうえで、「消えていく美」も、ちょっと意識しみませんか。

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