8月19日(土)午後5時5分、いよいよペナキッズは「愛知FCjr.選抜」と再戦する。残す時間はわずか。しかしペナキッズは攻撃力に不安を残していた。監督ヒデは、日頃からスタッフに「セットプレーを重点的に・・・。スローインをもっと・・・」などとメールを送り続けていた。そこで、今回は攻撃力アップをはかるために強化合宿をすることとなった。そして、特別コーチとして名古屋グランパスエイト初代キャプテンを務めた沢入重雄氏を招聘したのだ。
晴天の大垣、岐阜経済大学のグラウンドに集まったペナキッズ。その前に現れた沢入氏は早速ウォーミングアップを始めようとする。その指示にゆっくりとスタンバイするキッズ。その時、沢入氏の熱い檄が早速飛んだ。「サッカー選手は素早く動く!」。サッカー選手は普段から素早く動く意識を持たなくてはいけないのだ。
ボールを使ってのパス回し。それも、必ず一度顔を上げて相手を見てからパスを出す習慣をつけさせる。沢入氏は、普段から繰り返すことによって、体が自然と基本的動作を行えるようにしたかったのだ。
ヒデ監督とワッキーコーチが「ふむふむ」とうなずく中、練習は進められてゆく。そして、いよいよヒデ監督が課題としている攻撃練習へと移る。
まずはスローイン。過去の試合を見ると、ペナキッズは、そのほとんどを相手チームに奪われ大きなピンチを招いている。そこで沢入コーチのスペシャルテクニック。それは、ボールの受け手(味方)が相手DFのマークをはずすというより、大きく位置を変えることで、相手DFを引き付け、その後ろに出来たスペースにボールを投げ込み、別の味方選手がそのスペースでボールを奪うというものだ。これによって、けいじやとおやのボールゲット率が飛躍的に向上した。
そして、次にFKからのセットプレー。今までのペナキッズは、動く選手の位置に合わせて隼大がボールを蹴りこむというものだった。しかし蹴り込まれたボールの位置はゴールから遠く、シュートまで持ち込む前に相手DFに潰されていたのだ。そこで沢入コーチのスペシャルテクニック。隼大はとにかくゴールマウスを目がけてボールを蹴る。あとは、数名の攻撃陣が津波のようにゴール前に押し寄せるというものだ。シンプルだが、何層もの攻撃陣がゴール前に押し寄せ、ゴールの確率が非常に高まるのだ。実は、この作戦は沢入コーチが現役時代、ストイコビッチ(元ユーゴ代表)から授かったもの。当時の沢入氏も攻撃陣のポジションを複雑に考えすぎていたという。「ゴールに向かえばいいのだ」ストイコビッチは実にシンプルだった。
その作戦で、ペナキッズの攻撃にも光が見えた。監督、コーチも「目からウロコが落ちた」と驚きを隠さなかった。沢入コーチが最後に皆に言った。「得点は一人で取るものではなく、皆で取るものだ。そして、それは簡単に取れるものではない。1点取るためには、膨大な練習が必要なのだ」と。
|