一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>ひょっこりはんがひょっこり現れて悔しい思い…視聴者的にはナゾの事情

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<コラム>ひょっこりはんがひょっこり現れて悔しい思い…視聴者的にはナゾの事情
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

 ひょっこりはんのナイスひょっこりが続いている。

 ついに私の地元・名古屋で、CBCテレビ制作の番組にも登場した。23日深夜に放送された『本能Z』だ。

 2018年正月、面白い芸人を発掘する番組の代表格となっている『ぐるナイ おもしろ荘』に出演以来、大ブレイク中のひょっこりはん。名古屋のスタジオで彼のネタを見た後、今田さんと東野さんが興味深い内幕を吐露されていた。

「『まんま』スタッフからしたら悔しい思いですよ…」

 今田さん曰く、『おもしろ荘』と同様、『さんまのまんま』正月特番で続いている、おすすめの若手芸人をさんまさんに紹介するコーナーでは、今年ひょっこりはんは今田さんが事前に見る芸人のリストにすら入っていなかったのだそうだ。

 数多の芸人さんを抱える吉本では、そうした番組オーディションの声がかかるのが、実績をある程度評価されている“上のほう”の芸人さんだけ、という事情があるのだという。

 また東野さんは、かつて『あらびき団』のオーディションで、ブルゾンちえみさんを落とし、その後のブレイクを目の当たりにした番組総合演出の方が頭を抱えていたという裏話をされていた。

 テレビ局は免許事業であり、その中での競争相手と言っても本当に限られているのだが、それでも「どの局よりも先んじたい」「うちの番組が発掘したと言いたい」という競争は依然としてある模様。

■ブレイク芸人の登竜門とは!?

 かく言う『本能Z』も、公式サイトによれば「有名人がイチオシの後輩を紹介するトークバラエティ」であり、「オモシロ人材発掘番組」と銘打っている。

 最近だと2016年に、ブレイク前のANZEN漫才さんが、どぶろっくさんの後輩芸人として『本能Z』にスタジオ出演。以降、数々のロケにも参加していて、同番組をきっかけにブレイクを果たしたとご本人たちも後におっしゃっていた。といっても、出演は2年前のことで結構さかのぼる。

 知名度の低い芸人さんを前面に出してきた番組『あらびき団』の、地上波でのレギュラー放送が終了してから早数年。ここのところ、ブレイクのための登竜門的な番組となっているのは、既に述べた2つや、ガキ使の『山−1グランプリ』といった正月モノが目立つ。

 テレビ局は自局発のスターを出したくて仕方がないものの、“発掘”という言葉が示している通り、それは基本的に困難を極める。レギュラー番組で発掘し続けていたら色々と持たないため、年に1度のお祭りのような形に収斂されてきたのだと考えられる。

■ひょっこりはんブレイクのメカニズム

 一方、テレビにかわって娯楽映像の殿堂となっているYouTubeには、1時間あたり何万本という動画が投稿され、世界中の視聴者がその中から面白いものをずっと探し続け、共有し合っている。そのスピード感と比べると何ともまったりしているのだが、新旧ビジネスモデルの差であるため、いかんともしがたい。

 ちなみにYouTubeで動画のトレンドを見続けてきたケヴィン・アロッカ氏によれば、動画が爆発的に世に広まっていくためには3つのポイントがあり、意訳すると…

(1)影響力の大きい存在が反応・紹介すること

(2)マネしたりアレンジしたりといった参加・共有がしやすいこと

(3)展開が予測できないこと

 となる。これらをよく見てみると、(1)『おもしろ荘』で紹介され、(2)多くの芸能人や女子高生がマネをし、(3)まさかのナイスひょっこりを繰り出す、ひょっこりはんブレイクのメカニズムとマッチしているのが大変興味深い。

 このことからも分かるように、テレビはまだまだかなりの影響力を持っている。

 それゆえ、無名の芸人さんによる新たな面白さが世に出る機会が、地上波で失われつつあるのは残念でならないし、その意味で『本能Z』はレギュラー番組として「オモシロ人材発掘」の看板をおろすことなく踏ん張っていると思う。

 ただ今回は、ひょっこりはんが登場していたように「今話題のピン芸人スペシャル」。R−1王者の濱田祐太郎さん、フジテレビの山崎アナと結婚したおばたのお兄さんらが出演していた。

 思い切り発掘され済みの皆さんである。

 だが、これはこれで“番組や事務所が出したい芸人さん”と“視聴者が見たい芸人さん”との間のズレがいつもより少なめに感じられ、得した気分だった。


平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(24日18:20)

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