一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>“芸どころ名古屋”にも…よしもとのお笑い養成所『NSC』 その進出に見る地方と個人の時代

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<コラム>“芸どころ名古屋”にも…よしもとのお笑い養成所『NSC』 その進出に見る地方と個人の時代
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

 我々名古屋市民は常に“名古屋飛ばし”とともにある。

 東京、大阪に次ぐ第3の都市に住んでいるという自負を持ちながら、あらゆるジャンルの有名店や人気スポットなどで第3の出店先として選ばれず、ぐぬぬとなるアレだ。

 ちなみに、かつて私が勤めていた名古屋のテレビ局ではその3大エリアの視聴率について比較する時「東名阪」という言葉を使っていた。高速道路っぽいこの3文字の順番に、名古屋プライドが滲む。

 同地区にあるCBCテレビの深夜番組『本能Z』を見ていたら、ロケ企画「辛ゾンドットコム」のコーナー終わりで、MCの東野幸治さんから驚きの告知がしれっと入った。

「名古屋よしもとに『NSC』お笑い養成所が出来るらしいんですよ。現在生徒さんを募集しておりますので、我こそはと言う方はぜひ入学して、お笑い芸人目指して名古屋、そして東京、大阪へと、お笑いスターになってほしいと思います」

 お笑い業界に疎い私でも、NSCは東京と大阪にあり、毎年2校の“首席卒業”を決めるライブは参加者全員がデビュー前にもかかわらず注目を集めると聞き及んでいる。その学校の名古屋進出はなかなかのことだ。

 言葉だけは聞くものの、一市民として実感を伴っていない『芸どころ名古屋』。これがついにその通りになるのかもしれない…とちょっとだけ高まった一方で、気になることもある。

去年の初め頃だったろうか、今は前述のコーナー「辛ゾンドットコム」に出演している名古屋よしもとのコンビ・トラッシュスターの中山真希さんが、『本能Z』に“ゲスト出演”されていた時、自らの不遇さについて次のように語っていたのだ。

「『名古屋よしもと』って言うと、お客さんの残念感がすごいんですよ…」

 営業先で司会の方が、よしもと芸人の登場を告げると会場が盛り上がるのに、名古屋よしもとから来たことを明かすと、一気に下がるのだという。

 確かに、印象として東京と大阪の存在感が強いため、納得のエピソード。そんな『芸どころ』以前の過酷な環境にNSC名古屋校である。

 開校にあたっては、希望に満ちあふれて入学する生徒さんがいらっしゃる一方で、彼ら彼女たちが皆ライバル候補生となる、現・名古屋よしもと所属の先輩芸人さんは不安でいっぱいかもしれない。

平成も間もなく終わるが、この30年ちょっとの間で、企業などに所属しない「個人」が社会に付加価値を提供し、その対価で生きていけるような土壌がかなり出来たと思う。

 就職ではなく、在学中や卒業のタイミングで起業するというのも、学生の選択肢の一つにすらなっているし、私のように会社勤めを途中でやめて独立するというパターンもわりと聞かれる。

 それは「誰かを笑わせて食べていく」というエンタメ職も同様。

 芸を見せるのに必要だった舞台が、いわゆる“板の上”でなくとも、YouTubeを始めとする動画配信サービスやツイッターなどのSNSで代替可能になったからだ。そこでは発信拠点というエリア概念は薄く、せいぜい国単位である。

 そう考えると、お笑いでスターになる夢を持つ逸材を発見するため、東京や大阪だけでなく「地方」にも拠点を構え、一早く囲い込んでいくというのは、なるほどな投資判断だと言えるのかもしれない。

『本能Z』での開校告知の際、「詳しくは『NSC名古屋校』で検索」とスーパーされていたので、試しにどんなもんかとその通りにしてみた。

 すると、NSCの公式サイトで待ち受けていたのは「2019年4月 仙台・名古屋・広島に開校」というバナー。その次には開校済みの各校のスクール案内が続いていた。

<東京校・大阪校・福岡校・沖縄校…>

 知らないうちに飛ばされているのも「名古屋飛ばし」あるあるだ。


平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)

画像:本能Zスタジオ風景(C)CBCテレビ(25日11:32)

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