一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>女子アナも呼び間違える『チョップリン』

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<コラム>女子アナも呼び間違える『チョップリン』
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「『本能Z』初の緊急事態に!!」

11月8日(水)深夜に名古屋のCBCテレビで放送された『本能Z』の番組中、こんな大げさなスーパーが出た。ちなみにテレビの演出では“!”が1個よりも2個の方が煽れるという迷信がある。

で、その緊急事態というのが、ゲスト出演していたお笑いコンビ・チョップリンさんについて、一言でまとめるとつまらなかったため、番組のおすすめ芸人として認定しないというものだった。

彼らの出演時間は10分以上あったはずなので、その時間の分、番組を視聴者に対しておすすめできない内容だと把握しながら放送していたと考えると、確かに緊急事態である。

チョップリンさんのコントは独特な世界観だった。

赤ん坊を育てられないと思いつめた父親が、我が子を公園のベンチに置き去りにしてその場を離れようとしたところ、見るからに変質者然とした男性がすぐに赤ん坊を抱きあげて連れ去ろうとする。我が子の行く末を案じた父親が、その男性を咎めて彼の腕から子どもを取り返し、自らの過ちを悔いる、という筋のネタである。

字で書くだけでも相当な重厚感。しかもお二人の芝居はかなりのリアリティーがあり、一層迫力が増していた。

ただ、如何せん笑えない。けっして面白くないわけではないのだが、設定が切実過ぎるのだ。“やりたいこと”の方向性はよく理解できる、そんなネタだった。

チョップリンさんを番組で紹介したのが、事務所の先輩であるお笑いコンビTKOの木下さん。彼にも“やりたいこと”があるという。

それは、自分の好きなファッションでのテレビ出演。

自身でファッションブランドを展開するほどシャレオツな木下さん。番組で紹介された私服姿は、大げさではなくモデルのよう。本当はそういった好きな格好をして芸人の仕事をしたいものの、キャラやネタとかけ離れているため、不本意な装いで日々働いているのだそうだ。

やりたいことを我慢してでもウケようとするTKO木下さんと、やりたいことをしてウケようとするチョップリンさん。その対比が印象的だった。

「起きて寝た」
「晴れた」
「つかれた」

突然だが、これらは実家の私の部屋の本棚にある、くまのプーさんが表紙のノートに書かれている文面だ。1ページあたり最大で5文字程度しかないそれは、自分が小学生の頃につけさせられていた日記帳である。

毎日の悩みはその日何をして遊ぶか。学校以外でほぼ鉛筆を持たない私の将来を悲観したのかもしれない親が、ルーティーンとして強いたのだ。

1日を数文字に凝縮した日記。まだ字が読めればいい方というスタイルで毎日書き続けていたが、親がその内容に衝撃を受けたのか、すぐにつけなくてもよくなった。

実は、当時から今も変わらず、私は文章を書くことが嫌いである。

だが、人生の中で楽しく過ごす時間を多くとるための手段として、書くことを仕事にしている。何分嫌いなため、書き終わるのが人より早いのだ。

顧みると、受験のときも少しでも早く面倒事を終わらせたかったので、高校には通知表の成績と作文、大学にはそれにセンター試験の成績を加えた、それぞれ推薦入試で潜り込んでいる。就職活動時、出したエントリーシートで落とされたのは、ほかでもないCBCだけだった。

例えやりたくないことでも、やってみるとそれが自分を助けてくれることもあるのだ。

さて、『本能Z』で厳しいダメ出しを受け、肩を落としていたチョップリンさん。今田さんからは「もうちょっと仕上げて、もう一回来てもらいましょ」と声を掛けられていた。

後々になって「あの番組がチョップリンさんの転機になってたなー」と感じられたら良いなと思った。自分たちの価値は、自分たちだけで探すものでもないのだから。

文/平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(14日03:05)

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