一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>名古屋はなぜこんなに根尾昂選手に沸くのか…“野球そうでもない層”が見る根尾フィーバーの源泉

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<コラム>名古屋はなぜこんなに根尾昂選手に沸くのか…“野球そうでもない層”が見る根尾フィーバーの源泉
 おじさん同士が抱き合って喜んでいた。

 今そう書くと、2025年の万博が決定した瞬間の大阪や政府関係者の姿を思い浮かべる方が多いと思う。しかし、私の住んでいる東海地方では、ほぼ同じ見た目の別の映像がこの1か月くらいテレビで流れ続けている。

 それは今年のプロ野球ドラフト会議の日、大阪桐蔭高校・根尾昂選手に対する中日ドラゴンズの交渉権獲得が決まった時の、岐阜・飛騨市の皆様の様子だ。根尾選手の出身地であり、ドラゴンズ本拠地の隣県。地元のスターが地元の球団にやって来るとあって、見ている方が引いてしまうくらい盛り上がっていた。

 全国的にはドラフトの話題もひと段落した頃だが、名古屋エリアは今もなお、根尾フィーバーの真っただ中である。

 書店に行けば、彼の愛読書とされている数々の本を並べたコーナー。立ち読みして「全然意味わからんー」と騒ぐ女子高生集団や、本当に全部読むのだろうかと思うほどたくさんレジに持っていくおじいさまを見かけることもある。

 無論、地元のテレビ局も色めき立っている。

 このコラムタイトルの「五」の方であるCBCテレビが、日曜に生放送しているドラゴンズ関連番組とスポーツ番組に根尾選手をゲストとして立て続けに招いたかと思えば、「一」の方は同じ日にがっつりとインタビューを収録して、翌月曜のローカルニュースなどで放送。特にこの2局は、ドラゴンズのホームゲームの多くをテレビ中継していることもあり、気合いの入り方がすごい。

 そしてCBCテレビでは28日、なんと深夜のバラエティ番組『本能Z』でも根尾選手の話題を放送するに至った。

 もちろんご本人は登場しないが、今田さん、東野さん、雨上がり決死隊のお二人が、「根尾選手はこんないい人に違いない」という妄想トークを展開。視聴率対策上重要な冒頭パートで放送されていた。根尾選手のネタは今“ツカミ”になると判断したのだろう。

 なぜ、名古屋の人はこんなに根尾選手に沸くのだろうか。

 ふと自問自答してみたら、その結論は「地元が生んだ、日本中が認めるスーパー高校生を、東京を含む4者競合の末勝ち取ったから」ということになった。そこでは“野球”というメインであるはずの要素はむしろ下地でしかなく、名古屋民である私の肌感覚では「わが名古屋にとにかくすごい人がやって来る」という種類の盛り上がり方である。

 もちろん熱心なドラゴンズファンの皆さんは、そんな言葉では全く足りぬ感慨や期待をあわせ持っておられるのだろう。


■去年は“松坂フィーバー”が起きていた

 しかしこのところ、かのチームはBクラスが定位置。今季のナゴヤドームでの各局のテレビ中継を見ていても、何となく特に序盤はスタンドが映らなかったり、ファンを映す時はだいぶズームをかけた感じになっていたりした。そんな中、バッターがフライなどを打つたびに切り替わる“球追いカメラ”の映像からは、ナゴヤドームの広さと、名古屋エリアの皆様のプロ野球に対する関心の度合いが推し量れたものだ。

 去年の冬を思い起こせば、ドラゴンズでは“松坂フィーバー”が起きていた。

 再起をかける平成の怪物・松坂大輔投手の姿を一目見ようとキャンプから大勢のファンが詰めかけ、シーズン中も松坂投手が投げる又は投げそうな試合は観客の入りが良かったと聞く。

 今回の根尾フィーバーはそうした“野球大好き層”に加えて、打ったバッターが左ではなく右のベースに向かって走ることは知っているレベルの私のような、“野球そうでもない層”にまで浸透している。

 名古屋エリアで昂っている根尾選手へのワクワク感や興味が、似て非なるものであるプロ野球への関心に進み、そこからドラゴンズへの愛着にまでたどり着くかどうか、見ものだ。


平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)
画像:本能Z収録風景(C)CBCテレビ(5日19:13)

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