一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>怪文書”に“嫌がらせ”…知られざる女性記者同士の『女の戦い』 それは確かにあった

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<コラム>怪文書”に“嫌がらせ”…知られざる女性記者同士の『女の戦い』 それは確かにあった
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「女の戦い」

 何かの諍いや争いごとが起きた時、その当事者が女性同士だと使われやすいフレーズである。

 男性同士の場合に「男の戦い」とは言わないし、くくり方としては極めて前時代的で、明らかに男目線。過去に岐阜で2人の女性政治家を取材し、その種のニュースVTRを物すごい数作ったことは、私の黒歴史の1つだ。

 一方で、事実として男女は平等だが同じではない。その性質の違いから来る同性同士の「モメ方の差」は、少なからずあるように思われる。

 3月13日に名古屋のCBCテレビの深夜バラエティー『本能Z』を見ていたら、私と同じように、就職活動時に東京のテレビ局で採用されなかったという方々がゲスト出演されていた。

 現在、フリーアナウンサーとしてご活躍の女性の皆さんである。

 地方局やケーブルテレビでの勤務などを経て現在のお立場となったという彼女たち。過去には、本番直前に原稿を同僚女性に隠されたり、収録中に露骨に無視されたりするなど、実際に受けた陰湿な嫌がらせについて赤裸々に証言していた。

まるで昔のドラマやマンガの世界だが、然もありなん。私がこれまでの人生の中で唯一それと認めた「女の戦い」も、男目線からは全く見えない攻防戦だったのだ。

 政治や行政の担当記者をしていた頃、取材現場でたまに一緒になる他社の女性記者が、日当たりの悪い所で育っている竹のような顔色をしていた。

 特ダネをバンバンとる優秀な彼女は普段からとても元気がいい。しかしそれとは打って変わって、あまりにもな感じだったので、それとなく何かあったのかとつついてみた。

 すると、完全に問題の当事者にならない私だからなのか、彼女は重い口を開いた。

「実は、怪文書をまかれまして…」

 記者をやっていると、そうした“怪文書”を目にする機会はわりとあるのだが、その内容はたいてい取材対象者に関するもの。取材をする記者側の話は、少なくとも私は聞いたことがなかった。

と言っても、やはり出回ったのは、彼女が担当していた取材対象者、いわゆる“ネタ元”の勤務先など周辺。中身は、彼女の話によれば「〇〇(取材対象者)は□□社の××記者とデキていて、機密情報をリークしている」という嘘っぱちだったそうだ。

 ここまででも十分に寒気がしたが、それが震えに変わったのは彼女から次の一言を聞いた時だった。

「で、その怪文書の出元が私の社の先輩の△△記者(女性)っぽいんですよ」

 私も知っているその先輩女性記者は当時、当該取材対象者の勤務先に関するネタをよくとっていた印象があり、記者の間で一目置かれていた人物だった。

 才色兼備で男性にも人気。その彼女が、同じ取材先で新たにネタをとりはじめた優秀な後輩女性記者を潰しにかかったようなのである。

 聞けば、後輩のほうはそれまでにも各種嫌がらせを受けていた模様。しかし全くそんな素振りや様子は見られなかった。男がけっして気づかない、フィクションみたいな「女の戦い」が確かにあったのだ。

 以後、問題がどう収まったのか、収まっていないのかまでは怖くて聞いていないが、少なくともその先輩は、現在もご活躍のようである。

私は、上司から「手柄を上げろ」とはっぱをかけられても「見え方をよくしろ」と注意されてもボーっとしていた、出世欲ゼロのサラリーマンだった。

 全く違う意味で向かうところ敵なしであり、当然その後輩女性記者のような目に遭ったことはない。しかし会社勤めや宮仕えで上昇志向がある皆さんの中には、大なり小なりこうした足の引っ張り合いを経験されている方もいらっしゃるのだろうか。

 独立して間もなく3年。

 社会では、会社内のねっとりした諍いとは比べ物にならない、食うか食われるかの荒々しい戦いが待っている……と思いきや、未だ「男の戦い」どころか、そもそも誰かとの戦い自体が一度も起きていない。

 自分との戦いに精いっぱい過ぎて、他人と戦っている余裕など、これっぽっちもないのだ。


平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)

画像:本能Zスタジオ風景(C)CBCテレビ(18日11:30)

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