一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>尖り具合がトッキントッキン…「練馬のビヨンセ」ちゃんみなが刺さる

 共有する
  • Facebookで共有する
  • LINEで送る
<コラム>尖り具合がトッキントッキン…「練馬のビヨンセ」ちゃんみなが刺さる
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

佐藤B作さんのことを知らないという若者にお仕事で出会って、いたく衝撃を受けた。

もちろん、劇団東京ヴォードヴィルショーの主宰であり、数多の映画やテレビドラマに出演する名優だ。

当たり前のように書いたが、数少ない私の周りにいる他の若者にもリサーチしてみると、20代とそれ以上で認知度に開きがあることが分かった。時間というのは恐ろしいものである。なお、B作さんを知らない若者は、元ネタである佐藤栄作さんも知らない可能性が高い。

24日放送の名古屋・CBCテレビ『本能Z』を見ていたら、それとは逆の現象が起きた。

「練馬のビヨンセ……ちゃんみな……?」

全く、知らない。

番組によれば、どうやら10代や20代の若者の支持を集める、19歳気鋭のラッパーのようだった。メジャーデビュー曲のミュージックビデオの再生回数が520万回を超え、配信チャートで1位を獲得するなど、その種の音楽について無知な私でも、数字だけで業界やファンに与えた衝撃の大きさが伝わってくる。

だが、このちゃんみなさん。ご本人の尖り具合に並々ならぬものがあり、そちらもかなりの衝撃度であった。

「大人はダサいし、仕事できないヤツもいっぱいいるから。“ココ来んなお前”って感じ。キャリアしか語れねぇんだから」

楽曲制作からプロモーションまで自らがガッツリ関わるというお仕事のスタイルについて問われ、そう理由を答えたちゃんみなさん。

41歳、大人の私としては、失ってしまった若さへの羨望なのか嫉妬なのか、油断すると反射的に不快に思って拒絶してしまいかねないタイプの方だ。こういう場合、よく頭を働かせないと、表面的なことに囚われてしまって本質を見誤りやすい。

と、注意深く番組を見ていたら、単に言い方に問題があるだけで、言ってる中身は非常に正論だった。

特に印象的だったのが、曲作りの過程で感じる周囲への不満について彼女が語ったこと。

「上に従う大人が多すぎて、下を聞いてくれないんですよ。だから同じものがずっと増えてくんですよ」

クリエイティブな仕事において、必要以上の人数や、関わってはいけない人間が関わると、ロクでもない成果物になりやすいという真実を端的に表現している。

とは言え、では年だけは立派な大人である自分の前に、お仕事相手としてちゃんみなさんのような方が実際に現れたら、どう一緒にやっていくだろうかと考えてみると、結構悩ましい。

当コラムは書くたびに長くなっているため、今回は結論だけ書くと、自分なら最終的に成し遂げたいことだけ相手と共有し、過程では自分の価値観で良し悪しが判断できることだけをして、あとは相手に任せてしまうと思う。

それこそ『本能Z』の中で若者文化が紹介された時、よくスタジオの今田耕司さんが「こういうのがウケるんやなぁ……」と漏らしていらっしゃるが、まさにそのスタンスである。

人はキャリアを積めば積むほど自分に理解できないことを否定しがちだが、まず是と認めてみると、思いもよらない次のステップに進めることもあるはずだ。

新卒で入社し、管理職になる前に退社した自分の会社員時代を省みると、一般的に仕事で大事だとされている、報告・連絡・相談の“ホウレンソウ”は最小限とし、同じ葉物で言えば、沈着・現実・才能の“チンゲンサイ”を心掛けていた。

上司や同僚の状況把握や彼らから助言を乞うために時間を使うよりも、落ち着いて自分自身や目の前でその時起きていることに集中し、持てる力を最大限出すことが大事だと思っていたからだ。私よりも大人である皆様からしたら、平たく言えば生意気だったに違いない。

若さが“消え物”である以上、19歳のちゃんみなさんも日に日に大人になっていく。それに伴う、こころや立場の変化をどう自ら咀嚼し、ラッパーとして何をいかに表現していくのか、楽しみである。

ちなみに、前述の会社員生活を送ってきた私は、人事考課的には概ね『査定B作』であった。

平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(14日03:05)

最新コラム

pageup