一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>トーク力、日本代表級…現れた強者ラグビートップリーガー! あの今田・東野から連続トライ

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<コラム>トーク力、日本代表級…現れた強者ラグビートップリーガー! あの今田・東野から連続トライ
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

 隣の、そのまた隣の部屋から声が聞こえる木造2階建てアパート。

 そこで素のインスタント麺をすすっていたのは今年の春。そこから鉄筋コンクリートのマンションに引っ越し、同じ麺に卵を落とせるようになって半年が過ぎた。夜中に多少声を出して笑ってもご近所迷惑にならなくて済むのは本当に素晴らしい。

 世の中、お金では買えない価値がたくさんあるが、買える価値も悲しいほどある。

 毎週毎週、笑い声を抑えながら見なければならないということもないCBCテレビの深夜番組『本能Z』。しかし21日の放送は大いに笑った。

 ゲスト出演していた、番組ファンだというジャパンラグビートップリーグ・HondaHEATのキャプテン小林亮太選手が現役アスリートとは思えぬトーク力を発揮。スタジオ出演者の今田耕司さん、東野幸治さん、雨上がり決死隊のお二人をいじり倒したのである。

 手短に言えば、小林さんのトークはラグビーの試合でのポジションを示したフリップを手に、もし出演者の皆さんをそのポジションで表現するならという形で進行。結果、華やかとされるバックス陣に例えられたのは今田さんのスタンドオフだけで、他の皆さんは全員、小林さん曰く女性にモテないフォワード陣というものだった。

 表現には一応気を遣いつつも、大物芸人を次々ばっさばっさと切っていく小林さんのラガーマンらしい思い切りの良さは、同番組で目にする機会の多い若手芸人さんではまず不可能な芸当。そこがまた絶妙で愉快だったのだ。

 それを見ていたら、ある仮説が浮かんでしまった。この番組はゲストが芸人さんじゃない方が、面白さが増すのではなかろうか…というものだ。

 当然ながら、お一人お一人の“面白さ”はプロである芸人さんの方が、アスリートさんやアーティストさんより、はるかに上。だが同時に、視聴者である私は「芸人さんだから笑わせてくれる」と思って見ているため、お笑いハードルの方も当然ながら高くなる。

 加えて、今田さんらが、自分たちでさばいてしまえばもっと面白くなるのかもしれない局面でも、ゲストの若手芸人さんの良さを引き出して笑いを生もうとされているのもよく目にする。今回の放送で東野さんが披露されていた「若手芸人がこの番組に出たいとか聞く」というエピソードも、番組でのそうした大先輩の計らいが感じられればこそ聞こえてくるお話だと思われる。

 逆に、芸人さんではない方がゲストの回では、特に今田さんがなかなか東京の番組ではお見かけしないような“フリースタイル”となる。後輩の芸人さんたちもおらず、ご本人のやりたいように振舞っているそのお姿の方が、少なくとも私にとっては面白く感じられるのだ。


■“芸人さん”と“非芸人さん”のゲスト割合

 一方で、番組側としては、ゲストはお笑い芸人さんを中心にしたいところだろうと推量される。

 というのも「お笑い」を仕事にされている芸人さんは、当然それぞれがお客さんを笑わせるカタチを予め持っていて、バラエティ番組として成立させやすいはずだからだ。

 極端な例にはなるが、1週前の14日に出演されていた野生爆弾のお二人は番組後半で8分超のコントを披露し、ノーカットで放送。番組構成的に言い換えればその時間尺がプロの芸のみで“埋められる”のである。

 それに対し、同じ時間尺をしかも編集済みベースで、しゃべりのプロではない方が笑いでいっぱいにするには大変な手間や工夫が要る。

 ラグビーの小林選手のパートはたいそう面白かったが、これは彼のトーク力や瞬発力もさることながら、事前のリサーチや打ち合わせを重ねた上で見せ方を決め、構成案を整え、フリップも作り、カンペも丁寧に出し、バラエティ番組に不慣れな方でも本番に生き生きと臨めるように力を尽くしたスタッフさんのアシストが、上手く花開いた結果だろう。ただ、このパターンばかりだと番組関係者の働き方改革に影響するのは間違いない。

 番組を面白くするための色んな役割やコストを、出演者・スタッフの誰がどれだけ担い、また支払うのか…。『本能Z』ではその難問の最適解を探し求めながら、現在の“芸人さん”と“非芸人さん”のゲスト割合になってきたのではないかと、全くもって勝手に察している。

 無難ではあるが、別の言い方をすればマンネリ化の恐れもある。その二つは紙一重だ。

 日本の誰もが知っている、昔からの人気商品を作っている大手食品メーカーの方が、あるインタビューで次のような主旨のことをおっしゃっていた。

「ロングセラー商品の悩みはユーザーの高齢化。若い方々にもっと食べていただけるようなコミュニケーションが必要でした」

 ちなみにこの会社がとった戦略は、長年愛されてきた商品のキャラクターを大胆にイジること。結果、知ってはいるけど食べたことはなかったという若い世代の取り込みに成功したという。

 あの『ノブナガ』を受け継ぐ形で始まった『本能Z』も、はや放送開始から3年が過ぎた。先代から拝見しているオジサンの私としては、オモシロ人材はもとより、次世代視聴者の発掘も積極的に進められるとよいのではないかと思う。


画像:本能Z収録風景(C)CBCテレビ

平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(26日17:46)

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