一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>「よくお辞めに…」“テレビ局辞めた人あるある”で感じられる、進む『テレビ局の高齢化』

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<コラム>「よくお辞めに…」“テレビ局辞めた人あるある”で感じられる、進む『テレビ局の高齢化』
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「よくテレビ局をお辞めになりましたね…」

 こう言われるのは、“テレビ局辞めた人あるある”といって差し支えない。私は間違いなく100回以上言われていて、退社から2年が経過しても未だにあるのだ。

 24日深夜に名古屋のCBCテレビで放送されていた『本能Z』の中でもそれはあった。

 ゲスト出演していたお笑いコンビ・ラフレクランの西村真二さんが、今田耕司さんや東野幸治さんから同様の主旨のツッコミを受けていたのだ。

 と言うのも、西村さんは芸人になる前は広島のテレビ局でアナウンサーをしていたそうで、しかも番組によれば、彼の場合はお笑い芸人になりたいという想いで退社した模様。きっと彼は1000回以上言われているだろう。

 一方の私はと言えば、西村さんのようなアツい想いがあったわけでも、また次のお仕事の見込みがあって辞めたわけでもなく、ただの40歳記念の気分転換。どうやって食べていき、どのように勤労と納税の義務を果たしていこうか決めないまま、現在に至る。

 このところは、ご縁をいただいた色んなテレビ局から受注する、番組内容のWebコンテンツ化のお手伝いなどを自宅や旅先でしているのだが、実は冒頭のあるあるを最もおっしゃるのが、そうした各テレビ局員の皆様なのだ。

 この理由は非常に分かりやすく、彼ら彼女たちはその高収入を肌で感じているから。

 確か、私が名古屋のテレビ局に在職当時、年収が1000万円を初めて超えたのは25歳。ここまで高水準だと、働く上でモチベーションアップ作用がある一方で、「この収入を失ってはならぬ…」という作用も正直働く。人間だもの。

 さらに言えば、一般企業と同様、テレビ局員として年を重ねるごとに、作用の強さは前者から後者へと移行して行くのが常。

 古巣、また自分の知っている局退職者の皆様のお顔を思い浮かべてみても、活きの良い若い衆ほど新たなキャリアへ進み、自分の退職時の年齢までいって辞めるのは結構稀だ。

 そうした理由もあって「よく辞めたね」ネタは現在、テレビ局に在職中の皆様を相手に、業務打ち合わせ前のショートトークとしてよく機能している。しかし、そのたびに「今のテレビ局って大丈夫なんだろうか…」と気がかりにもなる。

 裏を返せば、「本当は辞めたいけど高収入を捨てるのがもったいないから、という理由で働いている人がかなりいるのでは…」と察せられるからだ。


■若者はみんなスマホにご執心

 今、『本能Z』のような若者が見ても楽しい番組は明らかに減少傾向。かわりに中高年の方向けの番組が増えている。自分は視聴率分析をするセクションにいたことがないので、この点に関してはズブの素人だが、今各局が狙っている視聴者層は番組表を眺めるだけで容易に分かる。

「若者はみんなスマホにご執心で、暇な時間はインスタグラムやYouTubeを見てるから」

 そんな“視聴者の高齢化”について日々頭を悩ませているという話を複数の方から伺うし、事実そうなのだろうとは思う。

 しかし私は、視聴者だけでなく“テレビ局の高齢化”が、若者にとってテレビが身近な存在ではなくなってしまった一因になっていると感じている。

 ここでの“高齢化”とは、字面通りの従業員の年齢構成そのものというよりも、高収入を背景とした“働くマインド”についてのこと。ありていに言ってしまえば、攻めよりも守り、失敗してもいいから思い切るというよりも、外さぬようモメぬよう無難な選択肢を優先するというツマラナイ姿勢を、敏感な若者がそう感じ取らないわけがないのだ。

 彼らにとっての、スマホコンテンツとテレビ番組それぞれに対する親近感を人で例えるなら、差し詰め前者は気楽な“友達”や“仲間”。後者はお堅い“教師”や“上司”といったところであろうか。

さて、つい先日も、あるテレビ局の方から私に対して冒頭の“辞めた人あるある”が放たれた。

 それに対して私はニコニコしながら、

「よくテレビ局をお辞めにならないですね」

 と返してみたくもなったが、なかなかそうはいかない。下請けだもの。


画像:本能Z収録風景(C)CBCテレビ
平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(29日16:52)

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