一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>慶応→NSC首席デビューの芸人と“りんねラップ”吉田凜音が迎えた春

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<コラム>慶応→NSC首席デビューの芸人と“りんねラップ”吉田凜音が迎えた春
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

 気づいたら4月である。

 街では、見るからに新入生や新入社員の皆様が、つい溢れ出てしまうフレッシュさを周囲に振りまきながら歩いている……ことだろう。実際は、街とは言えない近所でひたすら花見を粘っているためよく分からない。

 私もかつて入社式に参加したころはピチピチであり、そこで偉い人に対して高邁な何かを誓ったような気もする。辞めた以上きっとそれを反故にしているのだが、何せ20年も前なので時効だ。

 そんな4日深夜に名古屋で放送された『本能Z』は、新年度1発目ということもあってか、若手有望株3組を特集。お笑い芸人さん2組と、“ラップ系アーティスト”という方お一人。これがまた対照的だった。

 吉本のお笑い芸人養成所・NSC。

 この3月の卒業生は東京で約300人133組、大阪で約200人98組だったそうなのだが、番組に登場した2組はそれぞれの“首席”。東京の魔人無骨さんと、大阪のポップマンさんである。

 失礼を承知で言えば、この4月にプロとなったばかりなのに既に面白い。しかし、ネタと同じくらいパンチがあったのは2組それぞれの経歴だった。

 魔人無骨さんのお二人は慶応義塾大学卒業と中退、一方のポップマンさんはお一人が幼稚園教諭・保育士・ベビーシッターの資格をお持ちで、もうお一方は小中高の教員免許を持っているというのだ。

 なかなかハイレベルな遠回り人生の2組ではあるが、芸人としては今回の『本能Z』でプロデビュー後いきなり地上波テレビに初出演するという華々しいスタートを切った。

 そしてもう一人の若手有望株というのが、17歳女子高生の吉田凜音さん。どう見てもかわいらしく、それだけでも生まれながらの才能と言っていい。

 その才能はモデルとしても生かされているそうなのだが、番組が紹介していた彼女の肩書は意外にも“ラップ系アーティスト”。以前同じ番組に『練馬のビヨンセ』こと女性ラッパーのちゃんみなさんが見るも恐ろしい装いで出演していたが、およそ似た職業には見えない。

“りんねラップ”と称され、同世代に絶大な人気を誇るという凜音さんのラップ。それが生まれたのは、彼女の育った家の環境要因が大きいとみられる。

 ご本人によれば、凜音さんの両親はともにロック好き。彼女は幼い頃からそうした音楽を当たり前のように聞いて育ち、両親に連れられて野外フェスも見に行っていたそうだ。自然と音楽の素養が身についていった感じで、中学のころに何となくやってみたラップがウケて、レコード会社の目に留まり、今の成功につながっているのだという。

 才能を開花させる過程で、外見や知能、身体能力等もともと備わっている力は遺伝で受ける影響が大きいため、言ってしまえば後からはどうしようもないことが多い。

 ところが、それだけで全てが決まらないから人生は面白い。

 同じ志を持つ人たちや、自分にはない力を持つ人たちとの出会いなど、周囲の『環境』から得るものも同じくらい大きいのである。

 凜音さんのように、才能とそれを17歳にして開花させられているだけの環境が生まれながらにして両方整っているというのは素晴らしいし、それらをきちんと生かせるというのも凄いことだ。

 しかし人生そこまでスムーズじゃなくても、やりたいことに後から気が付いたり、自分好みの生き方をふと思いついたりした瞬間から、いかようにでもなる。それを、魔人無骨さんやポップマンさんが示しているように思う。

 魔人無骨さんが慶応大学を経て入ったNSC。入学には大卒である必要など全くなく、むしろ義務教育を終える見込みであれば誰でも受験が可能なようだ。

 だがそこは、お笑いで天下を獲ってやろうという皆様が集う国内随一の芸人養成所。色々な意味で面白い皆様が集まっておいでだろうし、そんな環境でしっかりと揉まれた先には、芸人だけでなく芸人以外の道を進んだとしても、なかなかの未来があるに違いない。

 さて、当コラムをお読み下さっている方の中にも、4月から新たな環境で過ごしているという方がいらっしゃるかもしれない。数日が経ち、最高に楽しい!という方もいれば、とんでもないところに来てしまった…という方もあるだろう。

 ちなみに自分が新卒で入社した時の場合は、配属されて最初の飲み会でいきなり後者の状態となったのだが、実際に辞めた19年目の決断以前で『退職』の2文字が頭に浮かんだのは、その入社直後だけだった。

 リア充な新人・新入生の皆様はさておき、そうでもない方々に経験上お勧めしたいのは「ここ、とんでもないとこだわー」を思いながらも、とりあえずは自分が今為すべきを為すということ。

 好きなモノばかり食べているとその瞬間は幸せだが、長い目で見れば栄養が偏って健康を害するリスクが高まる。

 これは、コトにもヒトにも言えるのだ。



平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(14日03:05)

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