一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>眉毛もワイドナ女子高生・井上咲楽が「浪人タレント」として振るう武器

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<コラム>眉毛もワイドナ女子高生・井上咲楽が「浪人タレント」として振るう武器
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「上京しちゃったら栃木県の田舎から通ってるっていうのもなくなっちゃうし、現役女子高生っていうのもなくなっちゃったら武器がないから、そうしたらもう“浪人1年生タレント”でやっていくしか……」

7日深夜に名古屋のCBCテレビで放送された『本能Z』で、そう悩みを吐露していたのは、太めの眉毛が印象的な女子高生タレント・井上咲楽さん。フジテレビ系の『ワイドナショー』にも“ワイドナ女子高生”として出演中である。

現在、高3の彼女は大学受験に失敗し、4月から“浪人生”の立場でタレント活動を続けていくのだという。

「武器がない」と漏らしてはいたものの、私が今回の放送を見た限り、彼女はモンハンで言えばガンランスくらいの立派な武器を、とうにお持ちである。

井上さんの悩みを聞いていて、以前ある小学校の先生に伺った話を思い出した。高学年になるにしたがって、クラスの中で“キャラ設定”が行われることがあるというのだ。

キャラとは、元々の意味は一人一人の性格や性質のこと。しかし先生が言うのはそれとはちょっと違い、クラスという集団の中でうまくやっていくための手段として担う役割的なものだった。

具体的には、仕切り役に盛り上げ担当、秀才や運動大好きといった授業関連のものから、肉食・草食のような思春期系まで、本人の素養をベースとした緩やかなカテゴリに分かれ、なるべく他者とかぶらないよう、立ち位置や役割を子どもなりに忖度して調整するのだそうだ。

結果的に定まったものが本来の自分とはズレていても、処世術として受け入れるというキャラ設定。無論、これはクラス替えの度に微妙な修正・変更が行われ、進学すればリセットされるようだ。

そんな教室は、教科書を構成台本にかえたら、そのまんまバラエティー番組のスタジオみたいだなと、伺っていて思ったものである。

さて、この春に高校卒業の井上咲楽さんが、失ってしまう武器だと主張している“現役女子高生”と、“田舎暮らし”という2つのブランド。これらは実はそもそも武器などではなく、単にタレントとしてのキャラ設定の土台でしかないと私は考える。

同じ意味で言えば、彼女が窮余の策として武器に使おうとしている“浪人タレント”というブランドも、今いる他のタレントさんと立ち位置がかぶっていないということを示しているだけのものだ。

では、井上さんが既にお持ちだと思う強力な武器は何かと言えば、独特の着眼点と行動力だ。

親御さんからの授かりものであり、番組で“唯一無二の極太”と紹介されていた眉毛をトレードマーク化するとともに、トークで使える“眉毛エピソード”をご自身の経験から抜かりなくまとめ上げておいて、スタジオで展開。

また求められている仕事の性質ごとに、眉毛を出すことと、前髪で隠すことを上手に使い分けている様子も窺えた。

さらにデビュー前のホリプロスカウトキャラバンで披露していた粗過ぎる芸も、晴れ舞台にアレを選んでやれるのは相当なことだし、『ワイドナショー』のオーディションに一度落ちて勉強が足りないと気づけば、新聞記事のスクラップを始め、今気になるニュースに“自民党・額賀派の分裂”を挙げるレベルまで到達していた。非常に渋い。

当コラムはそれ以上に渋いため、彼女に届くわけがないのは前提として、それでもこう新生活へのエールを送りたい。

“浪人タレント”となることはご本人としては不本意なのかもしれないが、お持ちの武器は意外とすごいので新たな立場で存分に振るっていただきたい、と。

唯一心配だったのが、よく聞いていたら番組中ご本人だけは“浪人タレント”ではなく“浪人1年生タレント”とおっしゃっていたことだ。

鋭く先を見据えているのだなぁと感心しつつも、油断するとそれこそ『キテレツ大百科』の勉三さんキャラになってしまうので、注意が必要である。

平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(14日03:05)

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