一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>名古屋の深夜番組なのに…今田・東野・雨上がり・フットがレギュラー出演 『本能Z』の変

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<コラム>名古屋の深夜番組なのに…今田・東野・雨上がり・フットがレギュラー出演 『本能Z』の変
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「出たい人より出したい人なんだよなぁ…」

 かつて私が政治担当の記者をやっていた時、ある党の選挙対策関係者が候補者擁立に悩むたび、よく嘆息交じりに漏らしていた一言だ。

 新人候補が出馬した場合の“有権者受け”ひいては“当選しやすさ”を彼なりに表現したもので、それは候補者を公募するというカタチをとるようになってから、特に感じるようになったらしい。

 人生をかけて何かに出たいと思ったことがない私にはピンと来なかったのだが、世の中には“出たい人”が結構いるようだ。

 5日の深夜、名古屋のCBCテレビが放送していた『本能Z』には、まさにそんな方々が登場。「バラエティ番組に出たくて仕方がない俳優発掘」と銘打ち、男女お二方が出演されていた。それはもう何というか、本当に出たくて仕方がない感じだった。

「宝塚時代は漢字で『紫乃小雪』だったんですけど、読みづれぇから変えた!!」

 と、スタジオで大先輩たちを前に元気よく言い放った、暴走キャラの元タカラジェンヌ・ゆかりの小雪さん。彼女がアンストッパブルな無双状態となるのに、登場して1分もかからなかった。

 続いて出てきた、現役ウルトラマンの二重の意味で“中の人”である、イケメン俳優の平田雄也さんは、「どうしてもパンスト相撲がやりたい…」とパンスト持参で登場。

 番組はとにかく混沌を極めていた。

 与えられたチャンスを是が非でも生かしてやる!と、出演している“原石”の方が必死になればなるほど、2人と絡んだ番組レギュラーのフットボールアワー・岩尾さんの言葉を借りれば、見ている側は「必死過ぎてしんどい…」となってしまう。

 そうなると通常、視聴者の手がテレビのリモコンにのび、作り手側は危機を迎えるが、この番組ではそうそうたるレギュラー陣がそれをさせない。

『本能Z』は、今田耕司さん、東野幸治さんを軸に、雨上がり決死隊のお二人と、フットボールアワーのお二人が、2週交替くらいで出演。それぞれが全国ネットのゴールデンタイムで司会を任される皆様なのに、どういうわけかといったらアレだが、名古屋のスタジオに集っては“原石”たちを相手に、深夜のお笑いを作り上げているのだ。

 今回で言えば、暴走するゆかりの小雪さんが突拍子もなく踊り出すと、すぐさまマネをして楽しむ寛容な東野さんと否定的で厳しい顔の今田さんという2極に分かれる。そして“原石”の方がイジってもいい先輩役をフット岩尾さんが担い、相方の後藤さんが硬軟織り交ぜ突っ込んでいく。見事なお笑い組織プレーである。


■人気お笑い芸人が理想の上司に選ばれる理由は!?

 どんな“原石”が来ても笑いに変え、ゲストだけでは全く成立しないものを放送レベルにまでグっと引き上げてしまうすごさ。

 バラエティ番組の司会をされるようなお笑い界のトップランナーの方が、よく「理想の上司」のランキング入りするのを目にするが、キャリアの浅い出演者が持っている力を存分に伸ばして番組を引っ張っていく姿に、それも納得の思いがした。

 この番組は、以前に出演者のどなたかが「若い視聴者が多い」とおっしゃっていたものの、むしろその方々の先輩や上司世代にとっては、大げさに言えば“教養番組”になり得るのかもしれない。

 ちなみに、冒頭に書いたある党の選対関係者も、老練な戦略家であり、手練手管の振付師。

 かの方の手にかかれば、たいていの人は当選ラインまで何とか届いてくるのだからすごいものである。当時、その感嘆を正直に伝えると、彼からはスパッとこう返ってきた。

「あとは本人しだいだから」


画像:本能Z収録風景(C)CBCテレビ
平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(7日12:26)

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