一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>フォロワー数が“信用”にもなる時代…50人に支えられ戦うフリーランスは毎日が桶狭間感

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<コラム>フォロワー数が“信用”にもなる時代…50人に支えられ戦うフリーランスは毎日が桶狭間感
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「平岡さん、今の仕事のノウハウ、新書とかで出したら売れるんじゃないですか?本屋で見かけたら、私絶対買いますよ」

 先日、クライアント様であるところのテレビ局の方から出し抜けにそう言われて、大変驚いた。ロクに読みもせず縁遠い本というものを、“書く”という発想は全くなかった。

 私のお仕事は、その内容について美容院などで聞かれると、いつもうまく説明ができなくて返答に窮する。うち、分かりやすそうな一つを端折って言えば、テレビ番組の内容をその放送局自身が配信する記事として、ネットユーザーの皆さんに読んでもらえるように整理し、最適化すること。他メディアや個人が放送を見たまま記事にして配信するアレの“公式版”と言ったところだろうか。

 担当している記事の閲覧数だとか、クリック率だとかが好調な模様で、その話の流れで冒頭のありがたいお言葉へとつながったのだった。

 しかし、その本に“帯”がついたとして、想像してみると次のようになる。

「SNSフォロワー50人のライターが断言!『見出しは因数分解』」

 まぁ、売れまい。というか、出まい。

 今、SNS上での存在感が社会への影響力を図る尺度の一つとなっている。フォロワーやいいね!等は数字になって公開されるため、規模として分かりやすいからだろう。

 7日深夜に名古屋のCBCテレビが放送していた『本能Z』には、ご本人いわく「全然売れてないけどツイッターのフォロワー6万8000人」というお笑いコンビ・おたまじゃくしの中西さんが出演されていた。

 彼の説明によれば、ここ3年くらい毎日ツイッターで、「旦那の仕事の都合でハワイ移住したやつ」や「学祭のダンス練習バリ頑張る女子」など、“街で何か見た事ある人”のものまね写真を配信。

 ツイッターは見られるだけではお金が入らないので、確かに「売れる・売れない」の意味では直接関係がないのだが、その写真を楽しみにしている人が6万8000人もいるというのは、相当すごいことである。

 そして何と言っても「人気ものまね芸人」の1人としてテレビ番組に呼ばれ、これまでの写真を紹介することで笑いをとるというお仕事につなげられている。実にSNSはロマンにあふれている。

 一方、誰でも手軽に発信できるメディアだからこその恐ろしさも、またある。

 特に中西さんのようにSNSをビジネス活用している方や企業においては、それに対する意識や取り組み方、センスの差が歴然と出てしまうのだ。


■『本能Z』の公式ツイッターアカウントを見てみると・・・

ここで、それこそ自分の仕事の一つである“中の人”目線で『本能Z』の公式ツイッターアカウントを見てみると、次回の番宣をメインとし、出演者アカウントの番組関連ツイートをリツイート。番組アカとして典型的かつオーソドックスな運用となっている。

 この手法は、運用がしやすく、ツイッターやってる感が出る一方、ツイート自体が“コンテンツ”になっていないため、拡散力に乏しく大きな宣伝効果を生みづらいのが特徴。

 でも、色んなテレビ局の他の番組アカウントを見ていると、週1のレギュラー番組で、ツイッターも放送直前の週1しか稼働しないものや、ただの屍状態のアカウントも多くある。その意味で『本能Z』は、私の見立てでは“中の中”くらい頑張っていると言える。SNSは宣伝ツールとして使えるのだが、そもそもはコミュニケーションツールであることを意識されると、さらに良くなるのではなかろうか。

 SNSの華は、何と言ってもおたまじゃくし・中西さんのような着眼点と表現力。

 多くのユーザーが自由な立場だからこそ出来る書きぶりやネタで盛り上がる中にあって、危機管理や労務管理などの制約が滲み出る上に宣伝臭がプンと漂う企業アカウントは得てして埋没しがちである。

 ちなみに、一零細事業者たる私のツイッターの活用方法は、主にネット上のプロフィール置き場。面倒くさがりでサイトを持っていない自分にとって、管理が楽だからだ。

 ツイッターだが自分でつぶやくツイート機能をほぼ使わないスタイルで、当コラムが配信されたら、その記事中のSNSボタンをポチる程度。ネット上の何方様かに向けてわざわざ申し上げたいことなど、私はあっても年に数回である。

 そんなロマンの欠片もないアカウントでもフォローして下さっている奇特な約50人の皆様、この場を借りて御礼申し上げたい。


画像:おたまじゃくし 中西さん(C)CBCテレビ
平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(12日12:05)

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