一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>スタジオに響く東野の絶叫…「もうCBC出入禁止や!!」 テレビは甘いよりも辛い方が旨い

 共有する
  • Facebookで共有する
  • LINEで送る
<コラム>スタジオに響く東野の絶叫…「もうCBC出入禁止や!!」 テレビは甘いよりも辛い方が旨い
「ヨソはヨソ、ウチはウチ」という豆まきの掛け声のような家訓のもとで育った私は、インスタグラムやフェイスブックといった、あの手のSNSに対する接触時間が少ない。

 そもそも、人は誰かの幸せそうなところを見るよりも、実は不幸せそうなところを見るのが楽しいものだと思っているため、性分上合わないということも勿論ある。一方で、あの「いいね!」ボタンを「よかったね!」ボタンだと認識しているような私に、友達が少ないのも道理だ。

 さて今回は、テレビの悲惨なロケ企画に参加している、名古屋のお笑い芸人・トラッシュスターの中山真希さんが、非常にいい顔になったというお話。

 29日の深夜、CBCテレビが放送した『本能Z』の「辛(カラ)ゾンドットコム」のコーナー第2弾でのことだ。企画の骨子としては、今田耕司さんや東野幸治さんらスタジオ出演者が選んだ“食べたいモノ”のところまで、その中山さんが同局から文明の利器を一切使わずに歩いていき、持って帰ってくるというもの。

 目的のモノは静岡・浜松市にあるという「すっぽんスープカレー」。往復184キロを9日以内に踏破しないとダメで、これが達成できないと、東野さんいわく中山さんはCBC出入禁止となる。

 実は第1弾の三重・津市「ブラックカレー」編が、何とも自分にとってはアレだった。事前に会議で決まったカタチに、ロケ先で起きたことをハメているような構成に感じたのだ。なので、当時のコラムで正直に、「見るのが『辛(ツラ)ゾンドットコム』だった」と書いてCBCテレビの担当者にお送りしたのだが、しっかりそのままYahoo!ニュース等で配信されたのだからすごい会社である。

 その「辛ゾンドットコム」第2弾。効果的な修正がなされていて、自分にとっては面白くなっていた。

 番組上特に説明もないまま2,3点しれっと変わっていたが、そのメインは「宿泊先」の要素だ。

 当企画では1日2回、その間の歩数に応じた金額が番組スタッフから中山さんに配達料として支払われる。第1弾では使途が食費のみであとは彼の収入という説明。それが今回から、彼の宿泊費もそこから出すということになっていたのだ。

 これまでは、その点がどうだったかといえば、夜ご飯を食べた中山さんが何か締めの言葉を残し、どこか夜の街に消えていって別日になるというスタイル。BSの月9『酒場放浪記』で吉田類さんが得意としているあの形であり、何日間も連続する旅企画の夜場面としては極めて珍妙だった。

 生き物として、その日どこで寝られるのか決まっていないというのは、想像するだけでかなり辛い。

 夜7時にCBCテレビを出発した中山さん。夜の配達料支払い時間は午後6時なので、翌日の正午まで所持金は0円だ。当夜その状況で食べ物にありつき、寝床を確保せねばならないということに気付くと、彼の顔つきが変わった。


■新ルールに悪戦苦闘

 会う人に必死で当たり、見事砕け散る…。実に悲惨で良い。

 やはりこの手の企画は「絶対自分だったらイヤだ」ということだからこそ、見てみたくなるのだ。蛇足ではあるが、出発を夜の支払い時間より後にして、その状況を上手く設えたのは制作陣である。

 また、これに伴い、ロケ先で中山さんと出会った一般の皆さんの顔つきも、前回のそれから明らかに変わった。

 彼の精根尽き果てた眼は、周囲に悲惨さを伝えるに十分なようで、会う方会う方「このかわいそうな芸人さんに自分が何かしてあげられることはないだろうか…」と、考えて下さっているようだった。

 そんな奉仕の精神あふれる皆さんは、彼の救い手であるとともに、その悲惨さを楽しみつつも憂う視聴者にとって、自らの投影先にもなる。いい循環だ。

 色々と「甘く」なっている世の中に対するアンチテーゼとして始まったらしい「辛ゾンドットコム」。そこから、良い辛味が出始めてきた。


画像:本能Z収録風景(C)CBCテレビ
平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(31日15:24)

最新コラム

pageup