一五一会

名古屋のライバル局出身の平岡敏治氏(現ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)が、CBCの制作番組を見て思ったことを自由に書き、約20年前の採用試験において彼を書類選考で落としたCBCに対して、ある種の御礼をするコラムである。

<コラム>ネタ後の昏倒率100% テレビ初登場のロック芸人ジャンゴが凄い

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<コラム>ネタ後の昏倒率100% テレビ初登場のロック芸人ジャンゴが凄い
【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「平岡氏、それってジャズだよね」

大学4年生の頃、所属していたジャズのビッグバンドの酒席で一つ下の男の子から私の決断をそう評された。便宜上、彼をえっちーと呼ぶことにする。

えっちーが指摘したのは、当時私が受ける予定だったフジテレビの入社面接の日が、愛知県内で開くそのバンドのライブの日とかぶってしまったため、面接をお断りしてドラムを叩くことにしたという件についてだった。

周囲は少なからずザワッとなったが、私からしてみればバンドの話一点張りで選考に通っていたため、筋道に従っただけだった。

「自分〜、全然後先考えてないやん。ジャズだわ〜」

えっちーはタバコ片手にそう言って、ケタケタと笑った。

ジャズだったらしい私はその後、フジ系列の東海テレビに入社。巡り巡ってフジテレビ政治部の居候記者として、事業仕分けの会場で「2位じゃダメなんですか?」と言っていた蓮舫議員に赤いバラを渡しに来たロックな内田裕也さんにインタビューすることになるのだから、人生面白い。

さて、こんな話をするのは15日深夜に名古屋のCBCテレビで放送されていた『本能Z』に「生き様がロック」だと自任する芸人さんが出ていたからだ。

ロックとギターを愛するキャラ芸人、ジャンゴさん。

全く知らないのもそのはず、テレビ初登場なのだそうだ。地元のラーメン屋や居酒屋の場合には期待高まるそのフレーズも、芸人さんだと逆に不安しかない。

予感は見事に的中した。

本物のロックンローラーが見たらブチ切れ必至な単なる“ロックキャラ”であり、手練れの今田さんと東野さんも、荒削りなロック調トークの絡みづらさに手を焼いていた。

「MC陣が最後にドハマりする、奇跡の15分をご覧ください!」

そこへ、この威勢のいいナレーションである。どこからどうなったら奇跡が起こるのか耳を疑ったが、テレビ初となるネタが披露されると、実際に奇跡は起きた。

その芸は文字通り筆舌に尽くしがたいため、ネタの中身については、ぜひ「ジャンゴ」でググっていただきたい。ただ、当然の如く映画の方ばかりが表示されるので、その際「芸人」等のセカンドワードが欠かせない。

一点、特徴的だったことだけここで触れると“パフォーマンス”を担当する横山さんが、ネタの終了直後にお辞儀をして頭を下げたまま昏倒したのである。

これは、いわゆる放送事故なのではないかと案じていたら、ギター担当の相方・嶋田さんが「毎回こうなります」と普通の顔で説明。ただ単に体力が無いのだという。

しかし、人は極限状態まで力を尽くす者に対して、つい共感してしまう生き物。

24時間テレビで、芸能人ランナーが視聴者にとっては特にピンと来ない理由で走り続けていても、ゴールの時には自動的に感動のシーンとなるように、ジャンゴさんの決死のパフォーマンスは、傍で見守っていた今田さん、東野さん、フットボールアワーのお二人のハートを間違いなくつかんだようだった。

そこからは、さながら『本能Z向上委員会』である。

ジャンゴさんをさらに面白くするには何をどうしたらよいか、名だたる先輩芸人さんが的確なアドバイスで二人を追い込む。結果、“ロックあるある”のレパートリーを揃えてトークをハネさせつつ、ここぞのタイミングで渾身のロックパフォーマンスを決めるという今後のネタの方向性が定まった。

次にテレビで見るジャンゴさんがどれだけ進化しているか楽しみであるが、特に横山さんは私が見た感じ、自分が誰だかよく分かっていないのではないかと思えるほど疲労感が滲んでいたため、先輩たちのアドバイスを記憶しているかどうかが怪しいところである。

恐らく、ロックを単なるキャラとして始めたジャンゴさん。しかし、ネタ披露の後に待つトークなどどうなってもいいと、全精力をネタに使い果たしてぶっ倒れたその姿は、紛れもなくロックだった。

音楽的には全く別物であるはずのロックとジャズ。

ただ、それぞれを生き方に落とし込んで因数分解してみると、今の瞬間を何よりも大切にして生きること、という同じ項を持っているのかもしれないと気づいた。

ちなみに、冒頭に登場した私の大学時代のビッグバンドの後輩えっちーは、卒業後ふらふらと諸外国を放浪。帰国時には彼の実家で“えっちーの将来を考える会”が開催されるなど、私よりもよっぽどジャズな生き方をしていた。

そんな彼も今や警察官。ジャズでもロックでもないどころか、親方日の丸である。

文/平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)(14日03:05)

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