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1月20日(日)23:50〜24:20放送

日本一赤ちゃんが生まれる病院

ゲスト:赤江珠緒

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小さな命を守るゲンバビトたち
小さな命を守るゲンバビトたち

少子化と言われる昨今、日本一赤ちゃんの生まれる病院がある。それが、熊本県にある「福田病院」。昨年の出生数は、3,941人。一日平均10人の赤ちゃんが生まれている。今回は、小さな命を守る緊張のゲンバに潜入。2人のゲンバビトに密着した。

「小さな命」を守る新生児科医
「小さな命」を守る新生児科医

今回密着する1人目のゲンバビトは、福田病院の新生児科専攻医・入江望美さん。予定より早く生まれた赤ちゃんや、低体重の赤ちゃんを24時間体制で治療する「新生児センター」で働いている。出勤して最初に行うのは、赤ちゃんの診察。新生児センターには、約60人もの治療が必要な赤ちゃんが入院しており、入江さんは10人の赤ちゃんを担当している。
「特に小さい子は繊細なので、音を立てるだけでもすごくびっくりしたり、血圧が上がったりする。大人と違って『ここがキツイです』とか言えないので、症状の違いに注意して診ています」
担当する赤ちゃんの診察を終えたら、医師全員で改めて回診。毎朝行い、赤ちゃんの健康状態を共有しているという。

続いて、採血。赤ちゃんの血管は、とても細くて見えにくい。そのため、まずは皮膚をライトで光らせて、血管を浮かび上がらせる。
「大人の1ccと子どもの1ccは違う。採りすぎると貧血になるので、必要最低限に収めるようにしている」
採血のミスで出血が多くなれば、赤ちゃんの命にも関わる。入江さんは、赤ちゃんに「ごめんね」と優しく声をかけながら、慎重に採血していく。この血液から、身体の状態を判断するのだそう。

新生児センターにいる赤ちゃんの多くは、自分で母乳を飲む力がないため、水分や栄養は点滴を使って送られている。それぞれの赤ちゃんに合わせて、必要な点滴をオーダーするのも、入江さんの仕事。電卓を取り出し、ひたすら計算を行う。
「毎日体重に合わせて、必要な水分と必要な栄養を計算している」
日々成長する赤ちゃん。その日の体重や容態によって必要な栄養も変わるため、点滴の配合も、一人一人毎日考える。点滴に使う管も、特別に作られたもの。糸のように細い。
「ここから循環をよくするお薬とか栄養を入れています。本当は点滴よりも、断然ママのおっぱいの方が栄養分も高いし、感染に対する免疫力もある。出来るだけ頑張って、お母さんには搾乳してもらっています」

今度は、本を広げ、調べものを行う入江さん。
「赤ちゃんに血便が出ている子がいるので、どういった原因が考えられるのか(調べている)。まだ知識も少ないので、自分の患者さんでこういった症状があるときは、どんな原因が考えられるか、知らないことは勉強して、その都度インプットするように心がけています」
この新生児センターで働くようになって、まだ1年目。知識を養うことも欠かさない。赤ちゃんがどんな状態になっても対応できるように、日々勉強。

この日は、赤ちゃんの症状についてお母さんに説明を行う入江さん。しかし、面と向かってお母さんに赤ちゃんの問題を説明するのは、難しいという。
「深刻に捉えすぎるのもご両親にとってすごく辛いことだし、楽観視しすぎた言い方をしても現状をきちんと伝えられないので、いつもどうやって説明すればいいんだろうと思います」
医師としての知識を身につけるだけでなく、不安を抱えるお母さんの気持ちに寄り添うことも、新生児科で働く医師にとって大切な仕事。その後も、緊急に治療を要する赤ちゃんに対応するなど、入江さんの毎日は目まぐるしい。そんな入江さんの将来の夢は…
「子どもたちの人生のちょっとした一部になれたらいいかなと思います」
これからも懸命に治療を行い、小さな命を守る。

1100人の出産をサポートしてきた助産師
1100人の出産をサポートしてきた助産師

1年に約4,000人の赤ちゃんが生まれる福田病院。医師33人、看護師164人、助産師106人。総勢624人ものスタッフが働いている。この病院で、17年にわたって出産のサポートをしてきたのが、助産師の福田梓さん。彼女のサポートで生まれた赤ちゃんは、これまでで約1,100人にものぼる。
「(産婦さんは)赤ちゃんが元気で生まれて来てほしいという思いもあると思うので、不安を軽減できるように、安心して出産に臨んでもらえるようにできたらと思っています」

さっそく、緊迫の出産現場へ向かう福田さん。これから出産するのは、予定より1週早い39周目の産婦さん。福田さんは、痛みに苦しむ産婦さんの身体をさすりながら、穏やかな声で話しかける。話すのは、これから生まれる赤ちゃんのこと。
「痛みを乗り越えたあとで、赤ちゃんに会えるっていうことを想像してもらいながら、痛みを前向きに捉えてもらえるように声をかけています」
1時間が経過し、いよいよ出産が近づいてきた。福田さんは準備を整え、緊張の面持ち。
「出産は最後まで何があるか分からないので、常に緊張はしています」
産婦さんに声をかけながら、サポートしていく福田さん。そして、2時間かけて無事出産。赤ちゃんの元気な泣き声が部屋に響いた。福田さんは、赤ちゃんを抱き上げ、お母さんに見せる。
「がんばられましたね。髪の毛もフサフサですね」
続いて、赤ちゃんの体重を計り、心拍数、呼吸の状態も確認。いずれも問題なし。元気な男の子。出産を終えたお母さんは、福田さんのサポートについてこう語った。
「完璧でした。ずっと一緒にいてくださって本当に助かった。無駄なく体力使わず出来た」

午後4時30分。仕事を終えた福田さんは、急ぎ足で病院内にある保育園へ。娘さんのお迎えを済ませると、今度は外に出て、別の保育園にいる息子さんのお迎えへと向かう。実は、福田さんは4人の子育てに奮闘するママ。家族6人、毎日賑やかに過ごしている。お子さんは4人とも、勤務先の福田病院で出産。1人目と2人目の出産の時は、早産だったそう。予定よりも早く生まれる早産の場合、出産は帝王切開手術が多くなるため、母子ともにリスクを伴う危険もある。福田さんのお子さんも、生まれてすぐ新生児センターに入院したのだとか。
「早産で出産される方の不安な声を聞いたりすると、すごく自分のときのことを思い出す。自分の経験したことで、何か力になれればと思い、体験とかを話したりしています」
自身の経験を踏まえ、出産後のお母さんたちにも優しく寄り添う福田さん。これからも、尊い命のゲンバで、助産師の道を歩み続ける。

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