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12月9日(日)23:30〜24:00放送

駅でよく見るアノお店“スピード修理”

ゲスト:石見豪(靴磨き職人 靴磨き日本選手権大会2018チャンピオン)

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『ミスターミニット』で活躍する修理のプロたち
『ミスターミニット』で活躍する修理のプロたち

駅などでよく見かけるスピード修理サービスのお店『ミスターミニット』。1957年にベルギーで誕生し、現在世界で約1630店舗、日本だけでも約310店舗を展開(2018年11月現在)。靴・バッグの修理や合鍵作り、時計の電池交換など、さまざまな要望に応えている。今回は、そんなミスターミニットで活躍する修理のプロたちに密着した。

早く!でも丁寧に…ビジネス街の救世主
早く!でも丁寧に…ビジネス街の救世主

東京都千代田区神田。オフィス街として賑わう街の一角にある『ミスターミニット神田駅南口店』には、日々さまざまな依頼が舞い込んでくる。一日のうちで最も混雑するお昼時に訪れたのは、この界隈で働く女性。仕事中にハイヒールのかかと部分が壊れたため、お昼の休憩時間内に直してほしいという。注文を聞くスタッフの横で、早くも作業に取りかかる男性がいた。店舗修理スタッフの関根剛さん。今回密着する1人目のゲンバビトだ。
「時間に厳しい方もくるので、なるべく早く仕上げてお渡しできるように心がけている」
依頼内容は、すり減ったかかとのゴムの交換と、薄くなった靴底を厚くすること。関根さんは、お客さんからハイヒールを預かると、まずは、やすりで靴底を整えた。続いて、すり減ったかかと部分に新しいゴムを打ちつけ、整えた靴底にラバーを貼っていく。さらにハイヒールの「修理」だけでなく、「靴磨き」のオーダーも追加。対応するのは、関根さんと先輩スタッフの2人だけ。とにかく急がなくてはならない。作業開始から12分。お客さんをあまり待たせることなく、ハイヒールの修理と靴磨きが完了。壊れたかかとは元通り。美しい輝きも加わった。

さらに、サラリーマンの男性もやってきた。依頼内容は、靴のかかとの修理。男性は相当急いでいる様子で、時間を気にしている。修理に15分程度かかることを告げると、すぐさま作業開始。革靴のかかとは、革で作られた「積み上げ」という部分にゴム底が貼られている。しかし、預かった靴は、ゴム底だけでなく、積み上げ部分まで大きくすり減っていた。大修理になりそうだ。まずは、ゴム底をすべてはがす関根さん。続いて、引き出しから小さな革を取り出すと、機械で削りはじめた。削った革をかかとにあて、擦れてなくなった部分を補う。そして、その上に新しいゴム底をしっかりと打ちつける。最後に預かった靴をキレイにしたら、作業終了。すり減っていた部分がどこか分からないくらい、キレイな仕上がりに。修理にかかった時間は、16分。ほぼ約束通り。

関根さんは、その後も休む暇なく、次々と依頼に応えていく。その仕事ぶりは、スピーディで、丁寧。靴の修理を終え、続いての依頼は、時計の電池交換。丁寧に手を洗ってから作業に取りかかる関根さん。扱うのは、精密な機械。靴を触った手で、時計は触らない。さらに、機械の部分は、手の脂がつかないように直接触れずに作業するという徹底ぶり。どんなに急いでいても、預かった品を大切に扱うことは忘れない。

昼の忙しい時間を終えて、関根さんが昼食をとれるのは、午後2時。この日の昼食は、カレー。リラックスした表情を浮かべる関根さんは、笑顔があどけない20歳。この仕事をはじめて、まだ1年2か月なのだとか。お客さんが少ない時間には、先輩から靴底の縫い付けなどの難しい修理を教わり、日々腕を磨いている。
「こんなにキレイにしてくれてありがとう、っていうのが一番自分の心に響く」
修理に出されるのは、お客さんにとって思い入れのある大切な品々。それを預かるプレッシャーは、大きい。それでも、お客さんに喜んでもらうために、素早く、丁寧に。これからも大切な品々を修理していく。

どんな靴でも復元!スゴ腕“靴底”職人
どんな靴でも復元!スゴ腕“靴底”職人

スピード修理とはいえ、ときにはお店で修理できないものもある。そのような品々が集まるのが、東京都台東区にある本社の修理工場。ここでなら、傷みがかなりひどい靴でもほぼ完全に元通りにできる。さまざまな種類の機械や膨大な数の材料が揃う修理工場には、繁忙期になると、全国の店舗から月に約9,000もの品が送られてくるのだとか。

修理工場での靴の修理は、細かく分担して行われる。靴の本体ともなるアッパー部分の修理から、色あせた革に色を戻すカラーリングまで、靴修理のスペシャリストがここに集結しているのだ。そのなかの1人が、靴底のスペシャリスト・塩谷聖実さん。男性靴のソールから、女性靴のヒールまでどんな靴底でも直す。
「オリジナリティではなく、来た靴をちゃんと元通りに戻すことが大切」

塩谷さんがこれから修理するのは、店で直せなかった女性靴。ヒールが真ん中で大きく折れ曲がっている。これを新しいヒールに交換していくという。最初に向かったのは、部品の在庫の棚。修理する靴のヒールの高さを測ると、ヒールの元となる「ヒールブロック」を見つけ出す。膨大な数があるので、高さと角度が合うものを選ぶのは、一苦労。特に角度は重要になるため、慎重に選ぶ。ヒールブロックを選び終えたら、別の場所へ。訪れたのは、革の在庫置き場。今回修理する靴は、黒のスウェード革。依頼の多い素材のため、あらかじめヒールの大きさにカットされたストックの中から、塩谷さんは最適なものを取り出す。しかし、靴の色や材質は無数にある。ストックがない場合は、在庫置き場に並んだ大量の革の中から、ピッタリの素材を見つけなくてはならない。それでも合うものがなければ、問屋さんに出向いて調達することもあるのだとか。

材料が揃い、修理開始。さっそく、新しいヒールブロックに黒の革を貼り付けていく。ヒールは、左右同じものでないと履き心地が変わってしまうため、折れていない方も交換。そのため、2つのヒールブロックに丁寧に革を貼り付ける。続いて、ヒールを取り付ける作業。取り付けたときに隙間ができないように、まずは靴底を機械で削って調整を行う。履き心地に影響するため、塩谷さんは、ミリ単位での微妙な調整を繰り返す。調整を終えたら、ヒールを取り付けて、元通りの高さになっているか最終確認。折れ曲がったヒールは、約2時間で元通りになった。

続いて、2年間履き続けたという男性用の靴の修理。ソールが割れて、穴が空いてしまっている。かなり損傷が激しいため、塩谷さんは、ソールをすべて作り直す作業に取りかかった。まずは、元のソールを土台にして革に形を描く。続いて、それをもとに革をカット。ここからさらに機械で削って、正確な大きさにピッタリ整える。一番の難所でもある、土踏まずのカーブも鮮やかな手つきで削っていく塩谷さん。まさに職人技。
「始めた頃は、削りすぎたこともありましたけど、感覚的にわかってくる。感覚でやっている部分が大きいですね」

正確な大きさのソールが完成したら、靴に貼り付ける作業。靴底専用のミシンで縫いつけていく。曲線に合わせて、一針一針、縫い付ける塩谷さん。細かい作業のため、ミシンは手動だ。続いて、ヒール部分の作成に取りかかる。これが、靴を完全に元通りにする上で、最も神経を使う仕事なのだそう。重要なのは、ヒールの高さ。履き心地が決まるため、微妙な傾斜を作りながら、調整していく。その後も繊細な作業は続き、修理開始から約6時間。靴が、見事元通りになった。

靴の修理は、地道な作業の連続。ときには、一足の靴を修理するのに、一週間かかることも。そんな靴修理の世界に、塩谷さんは飛び込んだ。
「物作りをやりたいと思ったのがきっかけ。靴の工房があったので、試しに行ってみたら面白くてハマっちゃった」
休みの日には、靴を作る工房に行き、靴作りを教わっているという塩谷さん。仕事でも、休みでも、常に靴のことを考えている。
「一足一足に対して誠実に直していくっていうところが、一番大事だと思っています。お客様が手放せなくなるような靴に仕上がって、喜んでくれたら本当に嬉しい」
そんな思いを持って、仕事に取り組む塩谷さん。これからも磨き抜いた技を尽くし、困難な修理に挑む。

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