番組審議会

第62回CBCクラブ文化賞(くちなし章)受賞者決定のお知らせ

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東海地方において一芸一能に黙々と従事し、人知れずこの地方の文化の発展に貢献している方を発掘し、顕彰する、CBCクラブ文化賞(くちなし章)の99人目の受賞者に、和傘轆轤(ロクロ)職人の長屋一男(ながや かずお)さん(71)を選出しました。
長屋さんは岐阜県岐阜市生まれ。高校卒業後、一度はサラリーマンになりますが、21歳(昭和46年)の時に家業の「長屋ロクロ店(現・長屋木工所)」を継ぎます。以来、50年近く轆轤づくりに携わっています。
岐阜市加納地区は和傘の日本一の産地で、その和傘の骨を繋ぐ重要な部品が「轆轤」なのですが、現在、傘轆轤を製造するのは全国で長屋さんだけとなりました。轆轤の材料には加工がしやすく粘りのある「エゴノキ」を使いますが、一時期エゴノキの供給の危機に遭った際は、関係者で「エゴノキ・プロジェクト」を立ち上げて凌ぎました。
また長年、後継者不足に悩まされてきましたが、最近ようやくお弟子さんが入り、長屋さんは技術の伝承にも尽力しています。
歌舞伎や日本舞踊など、伝統芸能や野点にも欠かせない、和傘の要の部品「轆轤」を黙々と作り続けた功労者の長屋さんにCBCクラブ文化賞を贈り、顕彰します。
贈呈式は2月3日(水)名古屋銀行協会5階大ホールにて行われます。

長屋一男さん 略歴

昭和25年 岐阜県岐阜市生まれ
昭和43年 岐阜県立岐阜農林高校卒業
3年間のサラリーマン生活を経て、
昭和46年 家業の「長屋ロクロ店(現・長屋木工所)」を継ぎ、現在に至る。
*現在、岐阜県羽島郡笠松町在住

和傘轆轤について

岐阜市加納地区は和傘の日本一の産地。その和傘の骨を繋ぐ重要な部品が「轆轤(ろくろ)」。親骨を束ねる頭轆轤と受骨を束ねる手元轆轤の2つ1組で「ろくろ」という。和傘は野点傘をはじめ歌舞伎や日本舞踊の大切な小道具としても使われ、伝統芸能にも深い関わりがある。
長屋さんは、1971年(昭和46年)に家業の「長屋ロクロ店(現・長屋木工所)」にを継いで以来、和傘轆轤づくりに従事。現在傘轆轤を製造するのは全国で唯1人となり、岐阜県内の6業者を含めた全国20の和傘業者に傘轆轤を納品。和傘は分業制(骨屋さん、貼り屋さんなど)でおよそ1か月以上掛かって作られる。
轆轤は細い切り込みに骨となる竹を挿して使われるもので、加工がしやすく粘りのあるエゴノキでなければならない。一時期エゴノキの供給の危機にあった際は、関係者で「エゴノキ・プロジェクト」を立ち上げ凌いだ。轆轤づくりは、木地作り、目切り、目梳きの工程を経て作られる。最大の悩みは後継者不足だが、最近ようやくお弟子さんが入り、技術の伝承に尽力されている。

CBCクラブ文化賞(くちなし章)について

CBCクラブ文化賞は、CBCクラブ(下記参照)が創設されてから3年後の昭和35年(1960年)に制定されました。CBCクラブ文化賞、通称「くちなし章」と親しまれているこの賞は、この地方にあって、一芸、一能に黙々と従事し、人知れずこの地方の文化の発展に貢献している方を発掘し、顕彰するというところに特色があり、他の文化賞とは一線を画すユニークな賞として評価を得ています。
くちなし章=口に出して大仰に伝えられなくとも、その一芸一能の芳しい香色は世の中の認められるところとなるという意味合いが、くちなしという花のもつ意味合いと合致し、CBCクラブ文化賞の象徴として選ばれ、徽章を贈ることとなりました。
なお、章は当時の院展院友の野村ショウ(公の下に木)韵(イン)画伯がクチナシの花と実を図案化したものを七宝で製作したものです。

CBCクラブとは

CBCクラブは、昭和25年に会社を創立した中部日本放送が「文化の発展と向上に寄与することが放送の使命」という企業姿勢に基づき、昭和32年に東海地方在住の芸術・文化・学術の分野を代表する145人で創設しました。
発足メンバーとして、後に人間国宝指定の栄誉に続いて文化勲章を受章する荒川豊蔵氏(陶芸)や名古屋初の藝術院会員に選出される鬼頭鍋三郎氏(洋画)、そして愛知県文化会館館長で徳川美術館初代館長の徳川義親氏といった方々がCBCクラブ会員として名を連ねていました。
令和3年1月1日現在、CBCクラブの会員数は275人。CBCクラブ文化賞選考以外の主な活動は、「チャリティ美術工芸展」などのチャリティ活動、「CBCこども絵画展」「CBC翔け!二十歳の記憶展(はばたけはたちのきおくてん)」(美術大学の学生を対象にした美術展)等開催による若手アーティスト育成支援、芸術・文化交流のための例会開催、地域の文化人を紹介するラジオ番組「文化・楽楽」の放送などで、これらの活動を通して地域貢献活動を行っています。

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