番組審議会

令和2年度(第75回)文化庁芸術祭で「スナイパー時村正義の働き方改革」が「優秀賞」受賞

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令和2年度(第75回)文化庁芸術祭(テレビ・ドラマ部門)で、CBCテレビから出品した「スナイパー時村正義の働き方改革」が「優秀賞」を受賞しました。
CBCテレビの番組が「優秀賞」に選ばれるのは昨年に続き2年連続(昨年はドキュメンタリー部門で「土がくる~規制なき負の産物の行方」が受賞)、ドラマでは9年ぶり(2011年に「CBC開局60周年記念スペシャルドラマ『初秋』」以来)となります。

■「スナイパー時村正義の働き方改革」

昨今話題の「働き方改革」は、専門的な職に就く人にとって特に大きな難題です。
このドラマは「あらゆる危機から世界を守ってきたスナイパーにもし働き方改革が強いられたら、世界はこれまで通りの平和でいられるのか?」そんな発想から生まれました。

脚本の制作にあたって、自社や周りの企業ではどんな勤務管理を徹底しているのか、どんな改革をどんな意図で行っているのか等を徹底的にリサーチし、現場はどんな“理不尽”を強いられているのか、どうすれば働き方は変えられるのかを繊細に整理していきました。さらに、スナイパーという特殊な職業のあるあるを物語に落とし込むため、スナイパーに必要な経験則や勘が働き方にどう影響するかを考え、人事部との対立構図として描きました。

ドラマ上に限らず、働き方をめぐって苦悩しているのはどんな職場でも共通していると感じており、視聴者にとっても身近な問題としてチクリと刺さるような情報性や細やかなセリフ回しを大切にしました。そんな「働き方改革」を主軸にしたコメディかと思いきや、あくまで一流スナイパーのハードボイルドドラマとして画面演出し、その滑稽さや哀愁が色濃く滲み出るようにしました。

さらに今作で徹底したのは、ワンシチュエーション2人芝居という点です。人影や音、タブレットの中でだけ外の世界を匂わせるという演出を行い、世界平和にかかわる大規模なテロ事件を解決していながら、本当の事件は「社内」で起こっているというメッセージを表現しました。

海外ドラマかのような一見洒落た渋い雰囲気に見せつつも、至極日本的で滑稽ともいえる仕事への考え方・あるあるを物語に落とし込んだ、時代性を映すドラマを目指しました。


時村正義役  :高杉亘
早川カオリ役 :高田夏帆
脚本     :政地洋佑
演出     :吉村慶介(共同テレビ)
プロデューサー:栁川由起子(共同テレビ)
プロデューサー:尾関美有(CBCテレビ)


【受賞理由】
コロナ禍の本年は「制約」というものから芸術が生まれることを改めて考えさせられたが、本作はコロナ禍とは関係なく「制約」を自らに課す。場所は一箇所、登場人物二人、出道具はスコープ付狙撃銃とノートパソコンだけ。それで巨大な予算と人を投入した大アクション場面を視聴者に想像させる。脚本・演出の知恵と腕に感服させられた。

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