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特集

2020.07.24 放送

コロナ禍で露呈する日本の性教育の遅れ ~若年層妊娠増加~

新型コロナウイルス感染拡大の陰で、10代の妊娠相談件数が増加している。

岐阜市の乳児院「まりあ」では、メールや電話で24時間、思いがけない妊娠などに悩む女性の相談を受け付けている。ここでは10代の相談件数が前年より3倍増えている。中には中学生からの相談もあるという。
女性の性に関する相談を受け付けているNPO法人「ピルコン」では今年2月までは10代の相談件数が月平均50件だったのに対し、3月は98件、4月は97件と倍増している。
学校が休みであったり、ずっと家の中で過ごすことが多く、また親も仕事で留守という環境もあり、交際相手と自宅で過ごす時間が増えたのが一因ではないかと考えられている。

ピルコン代表の染矢明日香氏によると「10代の相談の特徴としては性に関する知識の乏しさというのがやはり他の世代と比べて見られるということがあり、避妊をしっかりしていなかったり、性行為をしていないのに生理が来なくて妊娠が不安だといったりするような相談が多くみられている」という。

エイズの世界的流行で、日本でも1990年代から性教育の重要性が指摘されるようになった。しかし、こうした流れに「過激だ」「寝た子を起こすな」などと、一部の政治家が強く反対し、学校で性行為や避妊法についての教育が進まなかった歴史がある。結果、文部科学省が学習内容として定める「学習指導要領」には、中学校の保健体育では性行為そのものについては取り扱わないことになっている。

性教育の在り方とは

岐阜市の産婦人科医宮崎千恵氏は、この日本の性教育の在り方に警鐘を鳴らす。必要なのは逃げ道を含めた実践的な教育が必要だと指摘するが、教師では文科省が指定する内容より先は話せない。宮崎氏曰く「結婚式あげるまで処女でいなきゃいけない、という方もいる。中学校でなぜそんな具体的ことを教えなくてはいけないのかと反対意見が多い。寝てる子を起こすようなことはしてはいけないという風潮がある」。

宮崎氏は他の医師とともに、岐阜市内の中学・高校で、教員では教えないような情報を盛り込んだ性といのちについての講義を毎年行ってきた。しかしその講義も新型コロナの影響で延期になっている。長期間の休校によって通常の授業が遅れているため、性教育は後回しになっている。

アフターピルの選択肢を

日本で中絶する女性は年間16万人以上、一日450人の計算だ。
ピルコン代表染矢氏は女性側に避妊を選択する手段が乏しいことも中絶が減らない大きな要因だと指摘する。
その手段の1つが緊急避妊薬、通称「アフターピル」。性暴力の被害を含め、避妊せずに行われた性交から72時間以内に飲むことで、高い確率で妊娠を避けることができる。ただし、染矢氏によると「日本では病院で受診し、且つ価格は6000円から2万円ほどの価格で販売されていたり中には保護者の同伴が必要な医療機関もあるため、中高生が必要でも入手するにはハードルが高いもの」だという。
一方海外では誰でも薬局にて数百円で購入することができる。日本では手に入れることそのものが難しい現実がある。

染矢氏たちはアフターピルをもっと手軽に買えるようにすべきだと訴え、インターネットでの署名活動を行ったところ、7万人近い賛同の声が集まった。
7月21日厚労省にその署名と要望書を提出した。

人生を大きく左右する10代の妊娠。コロナ禍の今こそ問題を先送りせず、性教育の在り方を見直すきっかけとすべきではないだろうか。

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