ベトナムで10万円あげたら何に使う?電気が無く暑すぎる水上村…一家初の家電『扇風機』は回るか
皆さんは「10万円もらったら何に使いますか?」と突然聞かれたら、いったい何と答えますか?
CBCテレビは、その質問を様々な人に対して敢行!そして「この人ならあげてもいい」と思う人を見つけ、本当にプレゼントしてきました。
今回向かった先はベトナム。その北部に位置する首都ハノイです。

ベトナムの物価・平均給与は日本の約半分。そこで日本人にとっての10万円と大体同じ価値となる『1000万ドン』をあげることに。
まず地元の市場を散策していると、何やらバイクに大量の荷物を積んだ2人組を発見!早速聞いてみます。

Q.もし1000万ドンをもらえたら何に使いたいですか?
女性:
「そうね、今コーヒーショップを開いてるから、その店を改装するのに使います(笑)」

2人で小さなコーヒーショップを経営していて、大荷物だったのは店の備品を買ったためでした。
ちなみにハノイから80キロ離れた田舎町から買い物に来たらしく、これから大荷物を抱えてバイクの二人乗りで帰るんだとか…。
続いてやって来たのは公園。ベトナムには朝から皆で集まり体操する習慣があるのだそうです。

そんな中、陽気に踊りを披露してくれた70歳のお母さんに聞いてみると…?
70歳の女性:
「毎日踊って皆とおしゃべりして楽しくて仕方ないわ。だからずっとずっと長生きするためにサプリメントが欲しい」

ベトナムでは日本製の高級な健康サプリメントが人気らしいのです。
次に向かったのはハノイから120キロ離れた、世界遺産のハロン湾。大小1600もの奇岩が幻想的な景観を生み出しています。

ここには古くから“水上村”と呼ばれる集落があります。海の上に浮かべた家で生活し、どこへ行くにも船で移動。この村で暮らす人にも聞いてみると…。

水上村の女性:
「観光客を乗せる船が古くなってきたから新しいのを買いますね」
取材にお邪魔した夏の時期、ハロン湾を巡るツアーが大人気なのです。

そしてベトナムで約70人に聞いた結果、1000万ドンを差し上げたのは、トン・バン・クェーさん、31歳男性。子供の頃から水上村で暮らし、魚の養殖と漁で生計を立てています。そのクェーさんの使い道は…?

クェーさん:
「水上村は電気が通っていないから、家(船)の屋根にソーラーパネルをつけたいです。それで扇風機も買って涼しくなれば最高だね」
そう、水上村には電気が通っておらず、クェーさんの家には家電が1つもありません。あるのはLEDの蛍光灯が1本だけ。しかし、これもバッテリーが古く薄暗いそうです。

洗濯も奥様が手洗い。食事は練炭でおこした火を使って、船の上で調理します。
奥様も水上村出身らしく、そんな炊事や洗濯は全然苦にならないらしいのですが、何年たってもキツイというのが『暑さ』。40度を超える日もあって夜は暑くて眠れない時もあるんだそう。ということで1000万ドンをプレゼント!

クェーさん:
「え~!選んでくれてありがとうございます!」
お金を受け取って、うれしそうな様子のクェーさん。一緒に住む4歳年上のお兄さんも…。
クェーさんの兄:
「電気が通って扇風機がつくのはうれしいし、この先もしテレビが買えたら、外の世界のことが分かって楽しみが増えるね」
電力を引くのはクェーさんの家族の念願なのです。
陸に行けば市場でソーラーパネルが買えるということで、移動すること30分。港に到着してクェーさんが久しぶりの陸に上がると、すぐそばに市場が。日用品から食料品まで必要な物は何でも揃うそうです。

お目当てのお店は、日本でいうところのホームセンター。お店のお母さんに案内されて倉庫へ行くと、雑然とした中にソーラーパネルが!1枚あたり150W発電可能で扇風機を回すには十分とのこと。
クェーさん:「1枚いくらですか?」
店のお母さん:
「360万ドンよ(日本の物価で3万5千円相当)。太陽光発電だから蓄電するバッテリーも必要ね」

今後のことも考えてソーラーパネル2枚と、蓄電用のバッテリー、そして 肝心の扇風機をお買い上げ。

合計の値段は…1040万ドン!日本円にして2000円ほど足りませんが、優しいお母さんにおまけしてもらい、先ほど手にしたばかりの1000万ドンで全てお支払い。

お母さんに別れを告げ、店をあとに。そしてクェーさんの家に初めての家電・扇風機がやって来ました!
早速、ソーラーパネルの設置をスタート。木の板のような物を取り出すと、これをはしご代わりに使い、板をグラグラと揺らしながら、クェーさんが屋根に上ります。

兄弟力を合わせての共同作業。一体どうやって取り付けるのか、その方法を見ていると、屋根の隙間からロープを通して家の中の柱にくくりつけ、パネルを固定させています。
作業すること2時間、ついにパネルの取り付けが完了!

続いてソーラーパネルとバッテリーをつなぎ、更に扇風機のコードをバッテリーに接続。そしてベトナムの太陽がパネルにさんさんと降り注ぎはじめました。
蓄電のため、しばらく待ってからクェーさんが扇風機のスイッチを入れると…思った以上に勢いよく回りました!クェーさん一家、みんな手を叩いて大喜びです。

改めて電気が通った感想は…?
クェーさん:
「今日から涼しくなって、夜もよく眠れるし快適に暮らせます(笑)」

家族の皆さんも心なしか、初めて訪れた時より表情が明るいようです。明るくて涼しい部屋で、この日はいつもより家族団らんの時間も長くなったのでした。