【私なら10万円こう使います】AIで亡き父に再会してコレを語りたい!『ゴゴスマ』石井亮次アナウンサーの熱き思い

思いもかけない回答だった。『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(月曜日~金曜日13時55分から放送中)でおなじみのCBCテレビ石井亮次アナウンサーの口から出た言葉、それはAI(人工知能)を使って夢をかなえたいという願いだった。
●AI(人工知能)で会いたい人がいる
「10万円あったら、どんな風に使いたいですか?」
この問いに石井アナは「これしかない」という思いを込めてこう答えたのだった。
「AIを使って亡き人を蘇らせることができるのなら、会いたい人が2人いる。10万円でそれは難しいと思うけれど・・・」
関西では「お父さん」「お母さん」のことを「おとん」「おかん」と呼ぶ。大阪府東大阪市出身の石井アナは、そんな関西の言葉を使って、今は亡き2人を挙げた。
「おとん、そして嫁さんのおかん。この2人に会いたいなあ」
●甲子園球場と「おとん」
石井アナの「おとん」石井卓郎さんは、2015年10月に肝硬変で亡くなった。ガソリンスタンドを経営していた卓郎さんとの一番の思い出は、幼い頃から甲子園球場に連れて行ってもらったことだ。そのおかげで阪神ファンになった石井アナは、タイガースが21年ぶりのリーグ優勝を達成した1985年についに歓喜の時を迎えた。ランディ・バース、掛布雅之、そして岡田彰布の“バックスクリーン付近3連発”に象徴されるように、甲子園球場は熱く燃えた。小学3年生の時だった。そこで石井アナが出会ったのが、野球中継の実況アナウンサーだった。
「カッコよかった。それがアナウンサーを志したきっかけ。おとんが道を引いてくれた」
●『ゴゴスマ』での涙と喜び

その「おとん」が逝った。葬儀の日も石井アナは司会を担当する番組『ゴゴスマ』に出演し、列席できなかった。
放送が関東地区で2時間に拡大した直後だっただけに、亡き父もそれを望んでくれるだろうとスタジオに立った。結果は関東地区の視聴率0.9%。惨敗だった。その2年後「おとん」3回忌の日。石井アナは父の形見となったネクタイをつけて番組に出演した。ライバルである日本テレビ系の『ミヤネ屋』に初めて視聴率で勝ったのだった。息子の番組が関東地区で放送されることが決まった時の、卓郎さんの言葉。
「東京で映るということはどういうことか分かるか?天皇陛下にもご覧いただけるかもしれないということだ」
だからこそ、AIによって蘇った「おとん」に報告したいことは、卓郎さんの死に伴い『ゴゴスマ』で味わった落ち込みと喜びだと言う。なぜならば、現在のアナウンサーへの道を示してくれた大切な人だからである。
「今の自分を見てもらいたい」。
石井アナの心からの願いである。
●妻の母に問いかけたい言葉
妻の「おかん」富喜子さんは、石井アナ夫妻が結婚する2年前に亡くなった。2001年のことだった。だから、会ったことも、もちろん話したこともないと言う。
「結婚の許可をもらいたいのです、あらためて」
小学6年生と2年生、2人の娘さんの父親でもある石井アナは、そんな孫の姿も「おかん」に見せたいのであろう。そして、何より奥さんを幸せにして家庭を築いていることも報告したい。
「妻とおかんが再会して話しているところも是非見たい」
こう語る石井アナ。夫として父親として、とても優しい目をしていた。
●どうする?目の前にある10万円
10万円を使ってAI(人工知能)によって、亡き人と再会したい夢。
石井アナのそれは人と人との縁(えにし)に結びついていく。人と人、それが進行役を務める『ゴゴスマ』という番組の魅力でもあるのだろう。
では、今まさに目の前に10万円があったらどうしますか?
「そのまま1万円札10枚を財布に入れて、日常で使ってしまうかな。番組スタッフと一緒に食事に行くとか」
夢を語りながらも、この俗っぽい現実性。これも『ゴゴスマ』の魅力だと言えよう。
亡き人が残したアナウンサーへの道、そして最愛の妻。すべてのことが今日につながっている。インタビューの最後に石井アナは、この言葉で結んだ。
「おとん、ありがとう!」
10万円を使っても使わなくても、AIで蘇っても蘇らなくっても、その思いはきっと天国の2人のもとに届いているに違いない。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】