ドラの巻【CBCドラゴンズ情報】

恐竜復権―2018年に向けて始動する中日ドラゴンズをCBCテレビ、CBCラジオではさまざまな番組、企画で特集します!

中日・松坂初勝利 「永遠の野球少年」に乾杯!

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中日・松坂初勝利 「永遠の野球少年」に乾杯!
「ちっちゃい子」という言葉を使った。
ヒーローインタビューのお立ち台での松坂大輔である。
文字にすると「小さい人」「小さい子」になるのだろうが、「ちっちゃい」という言葉のアクセント表現に「野球少年」の空気を感じた。

「ちっちゃい子は僕が誰かわからない子が多いと思うので、なるべくヒーローインタビュ
ーだったりテレビに出て、顔を覚えてもらえるよう頑張りたいと思います」

こう語ったプロ野球のスーパースターはやはり根っからの「野球少年」なのだろう。あの
底抜けに明るい笑顔と共に・・・。そしてこの日、「野球少年」に涙はなかった。

中日ドラゴンズの松坂大輔投手が、4月30日ナゴヤドームで行なわれた横浜DeNA
ベイスターズ戦で、今シーズンの初勝利を挙げた。ただの1勝ではない。日本球界での勝
利は公式戦では西武ライオンズ時代の2006年(平成18年)9月19日、福岡ソフト
バンクホークス戦以来、実に12年、4241日ぶりの白星だった。
「平成の怪物」と言われた松坂投手だが、この間の歩みについては、多くの人が知ってい
るように、紆余曲折、喜怒哀楽、様々なことがあった。だからドラゴンズファンだけでな
く、沢山の人たちがこの1勝に拍手を送った。

手元に2004年(平成16年)10月25日のスポーツ紙がある。
落合博満監督率いるドラゴンズと西武ライオンズの日本シリーズ第6戦、王手をかけてい
たドラゴンズの前に立ちはだかったのがライオンズのエース松坂だった。
8回を完璧に抑えられたドラゴンズは第7戦も落とし悲願の日本一を逃す。ここぞという
ゲームに登板して勝つ・・・エースの姿をまざまざと見せつけられた。
記事は松坂を讃えている。それから14年、その松坂投手が今季ドラゴンズのユニホーム
を着ていることにしみじみとした感慨を覚える。
米メジャーから日本球界に復帰して3年間の苦闘の日々、右肩の痛み再発への不安、所属
したホークスからのコーチ要請を断り、現役続行のために受けたドラゴンズの入団テスト、
そして大フィーバーを巻き起こした沖縄キャンプ。ついに訪れた1勝には沢山のものが詰
まっていた。
6回114球1失点、3安打6三振しかし8死四球。決して楽な投球ではなかったが、今季ナゴ
ヤドーム最多の3万6606人の観客はその復活劇に酔いしれた。

プロ野球ファンは「野球少年」が好きである。
今年海を渡った大谷翔平選手がアメリカのファンに愛されているのも、「二刀流」の実力は
もちろんだが、ベースボールに取り組む真摯な姿勢そして愛くるしい笑顔と仕草があるか
らだろう。
そしてドラゴンズファンも例外ではない。チームにはかつてフライを頭で受けた遊撃手が
いた。敬遠に抗議してボール球を空振りしたスラッガーがいた。出身地の地方球場でのゲ
ームには必ず活躍する外野手もいる。ファンは時に苦笑いしながらもそんな竜戦士たちを
愛してきた。6回2死、ライトフライをモヤ外野手が少しおぼつかない足裁きながら捕球
した瞬間の松坂投手の笑顔、一瞬天を仰いだ後に見せた笑顔に「野球少年」の姿を見た。
今季ドラゴンズファンは、かつての宿敵だった37歳の投手を心から受け入れている。

松坂大輔が記念すべき日米通算165勝目を挙げたこの夜、私の携帯電話に職場の後輩
からメールが届いた。
彼は千葉に本拠地を置く球団のファンなのだが、同時にプロ野球全体を心から愛している。
「2018年4月30日、プロ野球ファンでよかったと感じた一日でした」という文章は
こう締めくくられていた・・・

「平成の怪物は初勝利ごときでは泣きませんよね。最高の笑顔でした。だから観ているこちらは泣かされます」と。

【東西南北論説風(41)  by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】(1日15:18)

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