向かって来い!と呼び掛けた中日・与田監督が感じた「チームの変化」と報道で「深く伝えてほしいこと」

向かって来い!と呼び掛けた中日・与田監督が感じた「チームの変化」と報道で「深く伝えてほしいこと」

「俺を使ってくれ!という気持ちで、どんどん自分をアピールして、向かってきてほしい。対戦相手よりも、まず私に、向かってきてほしい」

と、強調したドラゴンズ新監督就任会見。

与田新監督は、所信表明の場で「攻める」野球を掲げた。
ただし、ナゴヤドームの広さを生かした「守り勝つ野球」の黄金時代とは一線を画す、という意味ではない。

「野手も投手も、自分はどういう攻め方ができるのか、野球は投手を攻めるもの。つまり、相手のペースにさせず、嫌がられるプレーを。それを選手自身に考えてもらわないといけないし、気付かせてあげないといけない」

気付かせるために、自らが動く。
「今の時代と選手たちの感性をしっかり見極めながら、近付いていく。嫌われてもいいかなと思う」

与田監督の感じる「違和感」

こう語り対話を強調した船出から、早や5カ月。開幕が迫る中、与田監督がここまでを振り返る。

「キャンプに来てくださった評論家の皆さんに、ドラゴンズは明るくなったと言われるんですよね。みんなに。」と微笑む。

「でもね、」

与田監督は、違和感とまで言えそうな表情をした。

「確かに去年まで6年間も、結果はずっとBクラス。
ただ、選手は、眠っていたわけじゃない。決して、暗かったわけじゃないと思う。ボクが監督で来て、今年から急に明るい声が出だした訳じゃない。

明るくなったと言ってくださるのは有り難いが、それじゃあ、谷繁元監督にしろ、森前監督にしろ、チームを去ったコーチ陣にしろ、思いは複雑だと思う」

与田監督は続ける。

「主役の選手は、何年も努力を続けている。ただ、結果がすべての世界。どこが悪くて、何を変えなきゃいけないのか。対話をしながら、秋キャンプから今、まさに進めています」

独自のカラーを出したいであろう新監督が、自ら、前任者の名前を複数挙げるのも珍しいとすら感じたが、与田監督は、あくまで継続性を強調する。

「チームに残ってくれたコーチ陣や、広報やってくれているコバら※皆にこれまでの経緯を聞き、ボクと一緒に入った連中と一緒に、選手が勝てる環境を作っていく」
※左キラーの小林正人元投手。2017年から中日ドラゴンズ広報。

今は、過程として、多少オープン戦の内容と結果が良くなくても、チームが同じ方向を向くために、対話していかなければならないのだ。

オープン戦ではいくら勝っても、という意見もあるだろうが、今年もBクラス確実と言われ、長年染み付いた負けぐせを払拭する。

そういった意味では勝ちにいく采配も意義深い。しかも完封リレー達成ということで投手陣に与えた自信は計り知れないのではないか。

ファンが知りたいこと、深く伝えてほしいこと

「それとね、」

与田監督は、昨今のドラゴンズの報道のされ方について語る。かつて、星野仙一監督は、「マスコミもウチの大事な戦力だ」と、人間的魅力と情報収集の両面で本気の付き合いを続けた。

新監督は、根尾フィーバーともいえる状況について、冷静に語り始めた。

「ファンが求める根尾のことを取り上げるのは分かるし、有り難い。注目度というのは、最初は不平等というのは、仕方がない」

「ただ、沖縄一軍キャンプをほぼ完走した二人のルーキーをしっかり観て、対話してくれたか。勝野と滝野※、よく頑張っている。現状、報道が少ないのは仕方がない。問題は、彼らが一軍で初めての記録を残した時、その時になって群がって、表面的な取材をするんじゃなくて、キャンプからもがいてきた過程を深く伝えてくれよ。ファンが知りたいのはそこだし、選手というのは、敏感だよ。練習中、自分を見てくれているのって、結構、覚えてるもんだよ」
※2018年ドラフト3位・勝野昌慶投手 同6位・滝野要選手

もちろん、監督の本業は采配であり、スポークスマン的役割は、本質ではない。ただ、「俺に向かって来い!」と高らかに叫んだ新監督の肩幅の広さに、ファンは新時代を求める。燃えよ!ドラゴンズ。

【選手データ】
勝野 昌慶(かつの あきよし)
背番号:41 ポジション:投手
生年月日:1997年6月12日 身長・体重:183cm 89kg
投打:右投右打 出身地:岐阜
出身校:春里小-西可児中-県立土岐商業高
現役:三菱重工名古屋-中日(2019~)ドラフト3位

【選手データ】
滝野 要(たきの かなめ)
背番号:51 ポジション:外野手
生年月日:1996年7月8日 身長・体重:185cm 76kg
投打:右投左打 出身地:三重
出身校:宮前小-飯高東中-大垣日本大高-大阪商業大
現役:中日(2019~)ドラフト6位

【CBCアナウンサー 宮部和裕 CBCラジオ「ドラ魂キング」(毎週水曜午後6時放送)他、ドラゴンズ戦・ボクシング・ゴルフなどテレビ・ラジオのスポーツ中継担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。山本昌ノーヒットノーランや岩瀬の最多記録の実況に巡り合う強運。早大アナウンス研究会仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。】

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