2015年6月20日放送

健康ニュースのキーワード

(CBC論説室 後藤 克幸 解説委員)
CBC論説室・後藤克幸解説委員

★キーワード「ベッド数の削減」
 今週、政府の調査会が、全国の病院の入院ベッド数と将来の人口減少などの動向と比較検討した結果、人口減少が進む10年後には、入院ベッド数を現在より1割程度削減できるという目標を発表しました。特に九州や四国や東北などの地方では、人口減少が激しく進むため、20~30%程度減らせると試算しています。一方、東京周辺や関西などの都市部では、逆に、高齢者の人口が増えてベッド数はむしろ増やす必要があるということです。しかし、今月は、別の有識者会議が、都市部では将来、高齢者が増えて介護施設に入れなくなる「介護難民」が出るため、お年寄りは、ベッド数の余裕のある地方へ移住するよう提言したばかりです。今回は、地方のベッド数を削減すべきという政府の発表。これは、矛盾してしまいます。ベッド数が余るからと削減するなら、お年寄りの地方移住なんて無理でしょう。お年寄りは一体どこへ行けばよいのでしょうか?このところ、ベッド数とか、人口の推移とか、数字だけの試算から、将来の医療や介護が語られていますが、地域社会の中でお年寄りが安心して暮らせるためのサポート体制をこれからどうなって構築するのかといった、本質的な議論が抜け落ちているのが気にかかります。介護報酬が低く人材不足が起きている現場や、特別養護老人ホームの不足、地域の在宅医療を支える診療体制、介護システムの在り方など、もっと地域社会そのものの初来のあり方について議論すべきだと思います。

教えて!ドクター

(名古屋大学医学部 地域医療教育学講座 安井浩樹 准教授)

★6月のテーマ「睡眠時無呼吸症候群」
「睡眠時無呼吸症候群の検査」
 検査には簡易検査と入院検査の2種類があります。簡易検査では、携帯プレーヤーのようなものを睡眠時に装着し、いびきや花の中の空気の流れ、胸やお腹が動いているかを調べたり、指先に洗濯バサミのようなものを挟んで酸素濃度を調べて、翌朝外して病院まで持って来ていただきます。入院検査の内容は、酸素濃度や気流の検査の他に、脳波や目の筋電図をモニターしていくことになります。実際に脳波を検査するので無呼吸に伴って睡眠が障害されている事が確認できますし、睡眠障害をもたらす他の病気を見つけることもできます。病院や施設により多少異なりますが、通常は1泊入院で行います。あるパターンでは、夕方に入院していただき夜中に検査し朝退院していただきます。ただ睡眠時無呼吸症候群の治療には何科というものがなく病院により変わりますので、一度各病院にお問い合わせください。

スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪

福寄直人さん(ヘルパーステーション 「ふくろう」)

<施設について>
 高齢者や障害のある方のお宅に訪問して、家事や身体介護を行う訪問介護を行ったり、障害のある方の通勤通学、余暇を介助する移動支援を行ったりします。また高齢者のためのデイサービス、障害を持つ児童が使える放課後デイサービスを行っています。
<特に注力している取り組み>
 高齢者と障害を持った子供が同じ空間で過ごすデイサービスに最も注力しています。名古屋ではまだ数が少ないと思いますが、子どもがお年寄りの癒しになり、子どもはたくさんのお年寄りとかかわることで愛情を受け、自信に繋がる環境になっているのではないかと考え注力しています。
<利用者様・ご家族とのエピソード>
 50代前半で若年性認知症を発症した母親と、それをなかなか受け入れることが出来なかった20代の娘さんのお話です。この親子は、母1人、子1人で友達のように支え合っていましたが、母の発症後、娘さんは1人で悩んで殻に閉じこもってしまっていました。当時当社は訪問介護でお母さんの部屋をお母さんとともに掃除するということをしていましたが、その時にヘルパーとお母さんが楽しそうに会話しているのを聞き、娘さんもどんどん心を開くようになり、ヘルパーに悩みを相談してくれるようになりました。そうした経緯もあり、当社はデイサービスも運営していますので、昼間はデイサービスに来ていただくことになりました。娘さんもちょこちょこ様子を見に来るようになり、お母さんと絵を描いたり工作したりするようになりました。徐々に2人の関係が昔のように戻り、とてもいい笑顔が見られるようになりました。
<介護職員の立場から見る地域医療が抱える課題>
 まずは人材の確保です。あと介護職員の質の向上もありますが、これからの福祉は若くて力のある男性がもっと活躍していかなければならない世界だと思っています。今まで僕が高齢者、障害者、障害児の介護をしてきて共通して感じたことが、福祉とは人の体と心を支える仕事だという事です。まったく協力動作のとれない方を椅子に乗せ換える動作やとっさに動き出してしまう方に対応できるのはやはり若い男性の力も必要だと感じますし、孤独な心を温かく包み込むような女性の温かさも必要だと感じます。ただ、実際の介護職員は女性が圧倒的に多く、半数以上が腰を痛めていいます。男性にしかできないこともあれば、女性にしか頼めないこともありますのでうまく分担していくことが必要です。後は医療関係者と密に連絡を取り合い、男性がいないことや女性の腰が痛いからと立ち止まるのではなく前に進んでいかなければならないと感じています。
<スマイルメッセージ>
 今日の医学では僕たちの子供の頃には全く知らなかったような病気が発見されたり、平均寿命がぐんと長くなったり素晴らしく発展していると思いますが、そういった現状の中でも1人で今の生活や病気に悩んでいたり、肩に力を入れて生活している方たちが多く存在していると思います。しかしそういった方々に一言言いたいことが、見る人が代われば見方も変わるという事です。絶望的に悩んでいてもたくさんの目で見れば、必ずその人の一番ためになる方法や輝ける場所を見つけ出すことができると思います。1人で抱え込まずに気軽に相談してもっと気軽にいろんなサービスを活用した方がいいと思います。