2014年10月4日放送

健康ニュースのキーワード

(CBC論説室 後藤 克幸 解説委員)
CBC論説室・後藤克幸解説委員

★キーワード=『糖尿病と合併症』
 生活習慣病の代表格が糖尿病です。厚生労働省の調査によりますと、日本の糖尿病患者は、今、950万人にも上ると推計されています。糖尿病が怖いのは、自覚症状がない病気である点です。体のどこかが痛むこともんなく静かに健康をむしばんでいくのです。血糖値が高いまま放っておくと、体の様々な血管が傷んで、恐ろしい合併症を引き起こします。目の網膜の血管が破れると失明の危険があります。腎臓の血管がやられると腎不全になってしまいます。一番怖いのが、脳や心臓の血管の病気です。糖尿病の合併症により脳梗塞や心筋梗塞を発症することもあるのです。生活習慣病をチェックするために、健康診断は定期的に受けることをお勧めします。そして、「血糖値が高い」という検査結果が出たときは、自覚症状がなくても放置せず、ぜひ専門医に相談してください。きちんと専門医の指導で、治療と生活習慣の改善を進めれば、恐ろしい合併症は予防することができます。

教えて!ドクター

(名古屋大学 総合保健体育科学センター長 押田芳治 教授)

★10月のテーマ「運動と健康」
 かつての人間は犬や猫、野生動物と同様野良仕事や狩りなど生きるために意識せずとも運動をしていましたが、現在の私たちは意識して身体を動かさないとなかなか運動量を確保できません。日常生活の運動量の減少が体脂肪の増加につながり、年齢とともに生活習慣病のリスクが高まります。高血圧症や糖尿病(特に2型糖尿病)は運動不足も大きな要因の一つと言われています。特に糖尿病の家族歴を持っていらっしゃる方は、糖尿病予防として意識して運動をしないと中高年になって発症してしまいます。多くの場合、糖尿病は怠け者病や贅沢病なのではなく、若い頃によく食べよく働いた人がある一定年齢になって社会的責任が少し軽くなり身体活動が低下した頃に発症しやすいため要注意なのです。

スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪

三角 洋美(みすみ ひろみ)さん(歯科衛生士)

<地域医療に関する取り組み>
 訪問診療で口腔ケアと摂食嚥下訓練を行っています。摂食嚥下とは飲んだり食べたりする機能のことです。口腔ケアは口を開けてもらわないといけませんが、診療室と違って患者さんの心が開かないと口も開いてもらえません。心を開いてもらうにはまず私自身が、目の前の患者さんのすべてを受け入れようと思って接することを一番大切にしています。
<口腔ケアと嚥下機能について>
 高齢になればなるほど、むせが多くなったり飲み込みづらくなったりして、嚥下機能が落ちてきます。介護が必要となった多くの原因の病気は、摂食嚥下障害を引き起こす病気がほとんどです。介護を受けている方は、何かしら飲んだり食べたりすることに困っているといっても過言ではありません。
<心に残るエピソード>
 グループホームにいらっしゃる方で4年前には車いすに乗っていた方が、この4月に食べられないことと、そして嫌がって口腔ケアができないので診てほしいという依頼があったために、ドクターと一緒に行ってみると寝たきりの状態でした。お医者さまには看取りの時期に入ったといわれていたようで、体力を見ながら口腔ケアを行い、舌が動くようになったことを確認してから摂食嚥下訓練を始めました。頚の筋力が落ちると飲み込みが悪くなるので、職員さんにも毎日食前に簡単にできる頚の筋肉を鍛える訓練を行ってもらいました。今では車いすに座って食べることができるようになり、8月末には大好きな坂本冬美のコンサートに連れてってもらい、本人と握手までしてもらったそうです。
<今考えられる課題>
 病院や大きな施設など専門職員が多くいるところでは、摂食嚥下訓練に手が行き届いています。しかし在宅で暮らす地域の人々は、放置されて取り残されているのが現状です。専門職が自宅で暮らす人々に関わって機能をきちんと評価して、手を差し伸べることで少しでも楽に口から食べることができるようになります。介護する家族はしっかり食べてくれると安心できるのですが…。
<スマイルメッセージ>
 病気や障害を持っていて自宅で生活を続けるためには、お口から食べることが必要です。簡単な訓練によって、嚥下に関わる筋肉をつけることで、食べることが楽になります。飲んだり食べたりすることに不安がある方は、ぜひ専門職にご相談ください。