2014年4月5日放送
健康ニュースのキーワード

★キーワード=『研究不正』
STAP論文をめぐる研究不正を審査していた理化学研究所の調査委員会が今週、記者会見を行い、論文にねつ造と改ざんがあったとする最終報告を発表しました。不正は小保方さん一人によるものだと認定し、指導的立場にあった2人の共著者については、不正には関わっていないものの責任は重大との表現でした。これに対し、小保方さんは、STAP細胞の存在自体が、ねつ造とされかねない調査委員会の結論は承服できないとして、不服申し立てをする意向です。この問題は、未熟な研究者1人の問題なのでしょうか?今回の論文の有名科学雑誌への投稿と大々的な記者会見は、小保方さんが個人で行なったものではなく、理化学研究所として行なったものであったはずです。研究所の組織の責任はどうなるのでしょうか?論文の作成プロセスやそれを指導する指導者によるチェック体制についての検証は行われていません。研究所で働く研究者の多くが期限付きの雇用契約で、5年間などの一定の雇用期限内に成果を出さなければ契約更新されないというような不安定な雇用環境で研究生活を送っていることなども問題視されています。成果主義の蔓延など研究所の組織に問題はなかったかどうか、といった観点からの検証も行われるべきです。
そして、最後に残る疑問は「本当にSTAP細胞は存在するのか?」ということです。これは、我々の未来の医療や新たな治療法の開発につながる重要な問題です。この点もぜひ、科学的に確認をした上で情報を公開してほしいと思います。
教えて!ドクター
★4月のテーマ「ロコモティブ症候群」
【ロコモティブ症候群とは】
ロコモティブには「運動の」という意味があります。運動機能、つまり身体を動かすために骨や関節、軟骨、筋肉が弱っていくことをロコモティブ症候群として我々は宣伝しています。だんだん膝が痛くなったり、ちょっとしたところで躓いたりすることから始まり、酷くなると人の手を借りないと生活できないような要介護状態、いわゆる寿命があっても健康に生きられないとして問題になります。寿命は男性で約80歳、女性で86歳といわれていますが、健康寿命は男性で70歳、女性で74歳と短いのです。筋力が衰えるとすぐ転倒してしまったり自分で動けなくなったりします。関節も可動域が小さくなると思うように物が取れなくなったり足が伸ばせなくなり機能を果たせなくなります。ロコモティブ症候群は50歳頃から始まります。筋力や骨密度のピークは20、30代で迎えており、坂道を転げ落ちるようにとは言いませんが、ゆっくりすべての機能が弱まっていきます。30歳を超えたら運動する習慣をつけておかないと、人によってはその坂が急である場合もあります。
スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪
<仕事内容について>
名古屋市は認知症相談支援センターというところで認知症連携担当者という仕事をしています。認知症の方の数が増えてきていることや、認知症が脳の病気であること、生活のしづらさが表れてくる病気であることから、医療と介護の連携はどうしても必要です。私は医療機関や介護サービス事業者、また家族の会など認知症に関わる機関や団体の連携を強化できるような体制づくりに取り組んでいます。また、お気軽に認知症について相談ができるようコールセンターを開設し、日々認知症の方やご家族の方の相談に応じたり、若年性認知症相談支援事業を行い、65歳未満で認知症を発症された方のご支援もしています。
<一番大事にしている事>
相談支援をしている中で、認知症は脳の障害であることの他に、その方の健康状態や生活環境、性格、生活歴によって表れる症状が異なってくることから、認知症になっている原因の病気を理解することももちろん大切ですが、ご本人やそのご家族との信頼関係を築き、その方のことをよく理解し、その方に合わせた生活やご支援ができるよう心がけています。また、ご本人だけでなくご家族の支援も非常に大切ですので、ご家族の気持ちや声にもきちんと耳を傾けるよう心がけています。それから、関係機関との連携場面においても機関同士のことをよく知ることが大切ですので、お互いのことをよく知ってもらえるような場を提供しながら、Win-Winの関係を築いていけるよう取り組んでいます。そしてそういったところで得た情報を市民のみなさんにどんどん発信していけるよう努めています。
<現場で感じる課題>
認知症について、早期発見、早期対応が進んでいないのではないかと感じています。そのためには、まずは周りにいるご家族や地域の方が認知症について理解していただくことが大切ではないかと思います。そして、私どものようなセンターや地域包括支援センターなどが認知症について学べる機会を設けることや、認知症に関する情報を発信していくことが必要なのではないかと思っています。先ほど申し上げましたように私どもはコールセンターも設けていますので、お医者さんへのかかり方や認知症の方が利用できるサービスなどについて詳しくお話させていただきながら、認知症の早期発見や早期対応に繋げていきたいと思っています。(コールセンター 052-763-1332 月・水~金10:00-16:00 火14:00-20:00)
<スマイルメッセージ>
認知症になるとご自分のことがうまく伝えられなくなるかもしれませんので、元気なうちから好きなことや好きな場所、大切なものを家族や友人にお話しして知ってもらっておくといいかと思います。そのためにも、元気なうちからたくさんお出かけしたり友人の方と話をしたりして、いざという時に助け合えるような仲間をたくさん作っていただけるといいかなと思います。
