2013年11月9日放送
健康ニュースのキーワード

★キーワード=『薬事法改正案』
厚労省が、一般市販薬についてインターネット販売を2014年春より解禁する薬事法の改正方針を決定したとの報道がありました。約14000品目ある一般市販薬のうち、99.8%の薬剤についてネット販売を解禁。残る0.2%については、殺菌消毒薬など5種類の劇薬はネット販売禁止。また、市販薬に指定されて間もない23種類は、3年間の確認期間を経て解禁するという方針です。これに対して、インターネット販売の100%解禁を主張する楽天の三木谷会長は、たとえ一部の薬品でも除外されたことに猛反発しています。三木谷社長は「ネット販売は、売買記録が残るので安全」と訴えていますが、現場の薬剤師からは疑問の声を上がっています。薬剤師の1人は、「ネット販売で残る記録というのは、数値の管理記録のみ。われわれが実際に薬局で薬を売る場合には、患者さんの身体の動き、顔色、声の調子などリアルな生身の状態を五感を通して観察した上で、患者と会話をしながら医療情報を得ていく。その中から、患者さんが自覚していないような症状や病気の発見につがることもあり、患者に一番適した薬のアドバイスができる。インターネットではそれがない」と話していました。また、中毒性の危険がある薬品を大量購入するなど不審者に対しては、必ず本人確認を行い、なぜ大量に必要なのかをその場で問いただすといいます。こうした問題を考えると、今回の薬事法改正案については、ネット販売のリスクに対する議論が十分にされていないように感じます。本人確認がいかに徹底できるかなど、現場の薬剤師さんが懸念しているリスクについて、急がずじっくりと納得いく議論を尽くしたうえで、薬事法の改正を行うべきです。
教えて!ドクター
★11月のテーマ「薬の話」
【薬の飲み方の注意点】
皆さんがよく指示を受ける飲み方として「食前」「食後」「食間」があります。「食前」とは、胃の中に食べ物が入っていない時を想定しており食事の1時間~30分前です。大切なことは、胃の中に物が入っていないことです。
「食後」とは、胃の中に食べ物が入っていて、食後30分以内となります。ここでも大切なポイントは胃の中に食べ物が入っている事で、「食間」とは食事と食事の間です。食事中ではありません。
薬を飲むことは非日常の行為ですのでなかなか意識することがありませんので、薬を飲むときには医師、薬剤師の説明をよく聞いて正しく飲んで頂きたいと思います。
さて、みなさんもお薬を飲み忘れてしまったことがあると思います。
基本的には、医師、薬剤師に問い合わせて対応を聞いてほしいと思いますが一般的には次のようになります。
服用まで時間がある時はすぐ飲んで頂きたいと思います。
また、次の飲む時間までもう時間がなかったりその時間が来てしまったりした場合は、1回分はあきらめます。
2回分飲んでしまうと効果が強く出て思わぬ副作用などが出てしまう可能性があります。
時間ごとに飲むものは体内の血中濃度(血液中の薬の濃度)の水準を保つために計算されて薬の量を調整していますので、次の飲む時間をずらすなどして工夫する必要がある場合もあります。
もう一度言いますが、このように薬の特徴によって対応が変わるものがありますので、初めての時には是非 薬剤師、医師に相談して頂きたいと思います。
また飲み方に関しては、薬を水なしで服用すると、胃や腸で十分に溶けなかったり吸収されなかったり、薬が食道にくっついて潰瘍になることもあります。
薬は必ずコップ1杯以上のお水または白湯で服用して頂きたいと思います。水を多めに飲むことは薬を溶けやすくし、胃への負担を軽減します。
時々、お子さんが薬を飲むのを嫌がるためミルクや食品に混ぜることがありますが、そうすることでミルクやその食品を嫌いになってしまうこともありますので是非やめていただきたいと思います。
スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪
<仕事内容>
薬剤師の在宅訪問といいますと、ご自宅にお薬を配達するだけの印象を持たれがちですが、実際にはいろいろなことを行っております。飲んでいる薬の効果や副作用を確認して薬が本当に合っているかどうかをみたり、薬が残っていないかをチェックし飲み忘れていないかを確認したりしています。また、同じよう薬でもいろいろありますので目の前の患者さんに本当に使いやすいのか、適しているかを判断し医師にご提案させていただくこともあります。
<心に残るエピソード>
錠剤を飲みたくないという患者さんがいらっしゃったのですが、認知症が進行しているので薬は使っていきたかったため、これまでは認知症用の貼り薬を用いて治療を行っていましたが、ある時身体に痒みが生じ張り薬の継続を検討することになりました。患者さんやそのご家族とゼリータイプ等の薬などほかのタイプの薬を試し、最終的には水によく溶けるタイプの錠剤を一度水に溶かし、患者さんには形がわからないようにして飲んでいただくことになりました。結果的に、本人に嫌がれることもなく今でも飲んでいただいておりますので、一緒に話をしてよかったなと思っています。
<対応で心がけている事>
相談しやすい環境をつくることです。そして、そこから自分も一緒になって考えてその人にとってどういった情報を伝えるべきか、また自分に何ができるかを考えるようにしています。
<現場で課題に感じること>
私の勤める薬局では点滴や注射薬の取り扱いもしています。最後は自宅で迎えたいという患者様に対応するためです。しかし体調の良い間に病院から自宅に帰ることのできる患者様はまだまだ限られていると思います。どこの薬局でもこのような患者様を受け入れられるわけではありません。今後は薬局という存在がもっと地域の医療を支える重要な拠点になっていかなくてはならないのではないかと思っています。
<スマイルメッセージ>
薬局の多くは、地域の皆様の健康管理にお役に立てるよう、血圧計など無料でチェックできる機械などを取り揃えております。処方箋の薬だけでなく食事の相談や健康相談にも気軽に来ていただければと思います。是非皆さんも近くの薬局で頼りになる薬剤師さんを見つけていただきたいなと思います。