2013年10月19日放送
健康ニュースのキーワード

★キーワード=『ランニング障害』
近年、各地で市民マラソン大会が開催されていてチャレンジする方も増えていると思います。そんな中、愛知県阿久比町にある『スポーツ医科学研究所』が、ある市民マラソン参加者にアンケート調査を行い、「過去に、1週間以上練習を休まなければならないほどの体の痛みや故障を経験したことがあるりますか」と質問したところ、半数の人が、経験ありと回答。健康のためにスポーツしているのに、健康を害してしまうというのは本末転倒ですね。スポーツ医科学研究所では、さらに、故障した体の場所をたずねたところ、第1位は膝(76%)、第2位は足首(40%)、第3位は腰(21%)でした。研究所では、走る際のフォームに問題があることが多いと警告しています。膝が内側に曲がって膝に負担をかける走り方は、ひざの靭帯に炎症が起きることが多いそうです。こうした人には、膝を安定させる筋肉を増強する予防体操を研究所では勧めています。まず、仰向けに寝た状態で、膝の下に大きめの枕やクッションを置き、膝を頂点にして脚を三角形にさせてから、ゆっくり膝から下を上げていきます。足を伸ばした状態で3秒ほどとめて、10秒かけてまたゆっくり下げていきます。この時膝の上にある太ももの筋肉が鍛えられるそうです。この筋肉が走行時の着地の際に膝を安定させるために非常に重要な役割を担っており、ここを鍛えることで膝が内側に入ってしまうことを防ぎ、正しいフォームになるそうです。走ることだけに夢中にならず、故障しないために必要な筋力トレーニングにも関心を持っていただいて、正しい知識を身につけた上で健康的にランニングを楽しんでください。
教えて!ドクター
★10月のテーマ「心の健康」
「うつ病と介護について」
介護というのは慢性的にストレスになりますし、なかなか先が見えず長期的かつ継続的にストレスが続きますので、2005年の厚生労働省の調べによりますと介護者の23%の方が鬱状態にあるという報告があるくらい状態の悪い方がいらっしゃるといえます。体の問題も抱えていらっしゃって、かつ介護をしていくということで肉体的にも精神的にも追いつめられることが多いのではないかと思います。特に最近では「老老介護」という言葉に代表されるように高齢者夫婦のみの生活環境も増加されていると思いますので、肉体的にも精神的にもストレスがかかる可能性があるのではないかと思われます。お薬だけでなく、環境調整や相談相手を作ることや、心理的サポートを受けることも治療の一環になりますので、社会的サポートを受けていただくことは治療にもつながり、うつ病の発症予防にもなるかと思います。こうしたサポートをなかなか利用していただけない場合も確かにありますが、ご自身のためというだけでなく、介護される方の事を考えて介護を続けられるよう利用していただけないかというようにお話させていただくこともあります。抱え込まないということは、長期的な介護を続けるうえでは非常に重要なキーワードになるかと思います。
スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪
うつ病、統合失調症、認知症などの精神疾患や障害を抱える方の生活や金銭面、仕事面など様々な相談にのって、一緒に問題を解決していくことを仕事としています。
<よく受ける相談について>
私の働く心リハビリセンターというのは、うつ病や躁鬱の方が休んでいた仕事に復帰したり、再就職することを目的とした外来のリハビリ施設なので、「職場の上司とうまくいかない」や「職場の人にうつ病の事を理解してもらえず怠けていると思われる」や「職場復帰の後どんなことに気を付ければよいか」といったことについて相談を受けています。
<仕事をしていてよかったと思うこと>
リハビリを終えて職場に復帰される方を送り出す瞬間です。リハビリに通い始めた当初は表情の暗かった方が明るくなって体力もついて仕事に戻る時や、卒業しても困ったときは相談してねと言われるときはやっていてよかったなと感じます。それから復職後も定期的にOB会として集まる場を設けており、そこで仕事を続けている方の姿を見るとやはり嬉しいなと感じます。
<今感じられている課題>
うつ病はマスコミに取り上げられることも多くなったので、随分皆さんも知っている言葉になったと思います。しかし、うつ病になった方に対する理解や対応はまだ十分とは言えないと感じています。我々専門家としては、発病前の6~7割程度になれば職場復帰して、後は仕事をしながら元の状態に近づけていくことがリハビリの近道だと考えていますが、職場によっては100%の状態になってから復帰してもらわないと困るといわれてしまうこともあるので、うつ病、躁鬱病の正しい理解をもっと広める必要があると感じています。
<スマイルメッセージ>
うつ病だけなくても、困ったことがあれば誰かに相談することがとても大切だと思います。恥ずかしがらずに話を聞いてもらうだけでも心はうんと軽くなると思います。
