2022年
第93回 株式会社CBCラジオ番組審議会
開催日 | 令和4年6月17日(金) |
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出席 (敬称略・五十音順) |
近藤清久 平松岳人 堀田あけみ 松尾清一(委員長) 村瀬幸夫(副委員長) |
欠席 (敬称略・五十音順) |
杉浦昭子 |
議題 |
I. 番組審議 日本民間放送連盟賞 ラジオ報道部門参加作品 CBCラジオ特集「孤独の先に」 |
- I. 番組審議
日本民間放送連盟賞 ラジオ報道部門参加作品
CBCラジオ特集「孤独の先に」
放送日時 | 2022年5月30日(月)21時00分~22時00分 |
プロデューサー | 菅野光太郎 |
ディレクター | 名和あゆみ |
ミキシング | 豊田昌郎(フリー) |
協力 | 尾関功次(フリー) |
ナレーション | 榊原忠美(フリー) |
《企画意図》
今、孤独を抱える若者の実態が、浮き彫りになってきています。2021年、国ははじめて、孤独に関する調査を行いました。これは「人々のつながりに関する基礎調査」というもので、「国民はどんな時に、どんな風に孤独を感じるのか」をデータとしてあらわした調査になります。この調査によると、「孤独を感じる」と答えた10代は3人にひとり、更に20代はおよそ半数が孤独を抱えていることが分かりました。
また一方で、孤独と関連の深い、若者の自殺率も、ここ10年で下がっていないこともわかっています。
若者を取り巻く孤独・自殺問題に向き合うべく、国は、孤独に関する調査を行い、いのちの相談窓口を設置するなどをしています。更に、孤独担当大臣も設立され、一見日本は「孤独対策」について進んだ国のように思えます。ただし、こうした「相談窓口」に、SOSを出す勇気がない、大人に頼ることができない、不信感をもつ若者も、実際に多く存在しているといいます。こういった福祉からこぼれる若者たちはどうしたらいいのでしょうか。
名古屋市に、福祉からこぼれる若者たちの居場所つくりを行っているNPO法人「全国こども福祉センター」という団体があります。
「全国こども福祉センター」では、様々な境遇の若者たちが集い、街を行く同世代の若者たちに声かけ活動を行っています。つまり、自ら、悩みをかかえた若者たちに手を差し伸べて、若者たちによる若者たちのための居場所をつくる活動をおこなっているのです。
番組では、その活動に密着取材をし、参加するメンバーたちそれぞれが抱える孤独と葛藤、今社会に必要とされる孤独対策のヒントを探っていきます。
《企画内容》
名古屋に事務所をかまえる「NPO法人全国こども福祉センター」は、理事長の荒井和樹さん(中京学院大学専任講師)を筆頭に、10代・20代の若者たちが集い、毎週土曜日に名古屋駅西口で同世代の若者に向けた声かけ活動を行っています。若者の非行防止・居場所づくりを目的とした活動です。ここに居場所を求めて集ったメンバーたちに話を聞くと、それぞれ、両親の離婚、不登校、虐待、援助交際などの事情を抱えていました。
辛い過去を持つメンバ-たちは、大人や周りの人たちへの信頼を失い、家庭や学校の居場所も失い、孤独に陥り、中には「自殺未遂」まで体験した人がいました。
今、「孤独を感じる」人が増えています。10代は3人にひとり、更に20代はおよそ半数が孤独を抱えていることが分かりました。また、孤独と関連すると言われている自殺の数は、若者の世代で、ここ10年下がっていないこともわかっています。
日本は、孤独対策に乗り出しましたが、まだ、具体的な対策は打ち出されていません。
荒井先生は、若者たちを支えるためにはSOSを出す勇気がない、大人に不信感をもつ孤独を抱えた若者たちに、こちらから声かけをし、対話と交流をする機会をつくることが大切だと語ります。
声をかけられ「日本こども福祉センター」に入ったメンバーたちは、若者同士の交流を通して、自分の居場所をつくり、人を信頼する気持ちを取り戻しています。
議事の概要
《審議委員の主なご意見》
- 孤独、行き場の無い若者に、いかに手を差し伸べるかは社会の大きな課題であり時宜を得たテーマである。
- NPO法人の活動を全面的に肯定するのではなく、両論を紹介した姿勢は良いと思った。
- 60分の間に、同じ様な街頭インタビューや、孤独の要因や対策について繰り返されるのを聴き続けることにエネルギーを要した。
- 若い人の孤独というのは終わりの無い物語で起承転結が付けられない、それを60分で語られた手腕に敬服した。聴きごたえのある番組だった。
- 若者の孤独は深刻な課題であるとともに、今後ますます拡大していきそうで思い切ってチャレンジしたことは素晴らしいと思った。
- 大きなインパクトでリスナーに問題提起させる良い番組だと思った。できるだけ多くの人に聴いてもらいたい。