2016年
第33回 株式会社CBCラジオ番組審議会
開催日 | 平成28年6月17日(金) |
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出席委員 (敬称略) |
太田睦男 金森茂明 団野 誠(副委員長) 堀田あけみ 松尾清一(委員長) |
議題 | 1.番組審議 「峠の先の小学校」 |
- 1.番組審議「峠の先の小学校」
放送日時 | 平成28年5月28日(土)21:10~22:10放送 |
プロデューサー | 森合康行 |
ディレクター・編集 | 菅野光太郎 |
取材 | 菅野光太郎・橘高良政 |
構成 | 尾関巧二 |
音響 | 舘一孝 |
方言指導 | 上野道子 |
資料協力 | 郡上ケーブルテレビ |
出演 | 合唱小川小学校 児童6名 ナレーション(校舎役) 大塚 芳忠(クレイジーボックス) |
《制作意図》
人口減少社会を迎え、過疎地域・山村集落を取り巻く現状は、厳しさを増しています。ではどのようにすれば、集落消滅を防ぎ、維持することができるのでしょう。
岐阜県郡上市は、人口の減少により25年後には消滅の可能性のある「消滅可能性都市」です。その郡上市の中でも小川地区は、人口200人程しかいない小さな集落です。目立った観光資源は無く、峠を越えなければ都市部に出ることすらできません。そんな過疎の進む集落ですが、今ここに暮らす人々は、これからもこの小川地区に住み続けたいと話します。
この集落の一番の特徴は、昔ながらの人と人との繋がりです。住人は、昔から受け継がれる地域の催しに積極的に参加し、子供たちは地域の方々全員で育てます。
番組では、この集落のコミュニティの中心となっている小川小学校に焦点を当て代々継承される地域の繋がりや地域ぐるみの子育ての意義を考えます。
《作品内容》
岐阜県郡上市の小川地区は、四方を山に囲まれた小さな集落です。地区唯一の小川小学校には、6名の児童が通っています。この学校では、上級生が下級生を世話することが慣わしとなっています。たった一人の6年生しのさんも、下級生5人の面倒を見ます。小川小学校は、県の花壇コンクールで最優秀賞を度々受賞するほど花壇作りに力を入れています。今年、学校自慢の「花壇」をデザインしたのは、最上級生のしのさんです。しのさんは、間もなく取り壊される小学校の校舎へ感謝の気持ちを込めてデザインしました。
花壇作りには、子供たちはもちろん地域の大人たちも参加します。この集落では、積極的に学校行事に参加して子供が自分の地区に誇りを持てるように教育しています。
番組の語り部は、この集落を60年間見守り、今年取り壊しが決まっている小学校の校舎です。役目を終え姿を消す思い出の校舎。小さな集落に昔から受け継がれる地域の絆。小学校の校舎は、過疎の集落に残すべき様々な魅力を優しく語りかけます。
《審議委員の主なご意見》
- 明るく元気の良い子どもたちの声が実に気持ちよく、真っ直ぐ育った主人公のしのさんに会ってみたいと思った。
- 過疎の集落ではあるが、村が消滅してしまうという様な切羽詰ったテーマではなく、子どもも大人も地域や人々に感謝して暮らしている様子が強く描かれていて良かった。
- 様々な周辺の人々を幅広く取材していて、小学校や地域を守っていきたいという愛情や熱が伝わってきた。
- 小学校は、過去の児童の心を繋ぎとめ、地域住民の心のよりどころとなり、何より未来の住民を生み出す機能を果たす大切なもので、それが未来の地域を作り、地域の存続に繋がっていくことに気付かされた。
- 少子化や限界集落などの社会問題を前に、これからの日本のコミュニティーの在り方を提起してくれるような番組で手放しで賞賛したい内容だ。
- 志が高い良い番組だが、テーマが音声で表現できるレベルを越えており、山村の風景など、なかなか映像として見えてこない部分があった。