2013年
第7回 株式会社CBCラジオ番組審議会
開催日 | 平成25年11月1日(金) |
---|---|
出席委員 (敬称略) |
松尾清一 団野 誠 斎藤吾朗 堀田あけみ (書面参加 一丸陽一郎) |
議題 | 1.番組審議 第68回文化庁芸術祭ラジオ部門参加作品 「看取りのカタチ~在宅医療の現場から」 |
- 1.番組審議 第68回文化庁芸術祭ラジオ部門参加作品
「看取りのカタチ~在宅医療の現場から」
放送日時 | 平成25年10月23日(水)20:00~21:00 |
プロデューサー | 森合康行(編成業務部) |
取材・構成・ディレクター | 菅野光太郎(制作部) |
音響効果 | 舘 一孝 |
ナレーション | 阪 脩 |
《企画意図》
日本は超高齢社会をむかえ、昨年、65歳以上の高齢者は3079万人を超え、その割合は、およそ4人に1人になりました。そんな中、自宅で死にたいと願う人が増えています。厚生労働省の平成20年の「終末期医療に関する調査」では、「自宅で療養したい」と答えた人は、「必要になれば医療機関などを利用したい」と回答した人を合わせると、10年前より10%高い63%でした。一方、最期まで自宅で療養することが困難と考えている人も6割以上の高い割合で、その年、自宅で亡くなった人はわずか12%でした。
番組では、それぞれのカタチを密着取材し、在宅での看取りの意義とは、在宅で看取りをおこなうには、何が必要なのかを考えていきます。
《番組概要》
名古屋市の「すぎもと在宅医療クリニック」院長 杉本由佳さん(43)は、13年前から地域の在宅医療に取り組んでおり、名古屋の在宅医療のパイオニアともいわれています。このクリニックは、院長の杉本由佳さんと事務員の2人だけ。小さな診療所ですが、24時間対応の在宅療養支援診療所に認定されています。
今まで看取った数は400人近く。このうち、7割が、がん患者です。
杉本先生は、近藤巌さん(84)の家に診療にいきました。巌さんは末期の胃ガンで、妻の澄子さんが看病しています。少しでも夫に長生きして欲しい澄子さんと、妻とよい時間を過ごしたい巌さん。杉本先生は二人の気持ちに寄り添い、巌さんが少しでも、長く楽に生きられるような治療を行っています。死に近づいていく巌さんと、看病する澄子さん、そして、杉本先生の医師としての関わり。番組では、杉本先生の活動を追い、杉本先生、そして、患者とその家族の、それぞれの看取りへの思い、カタチをお送りします。
《審議委員の主なご意見》
- 大変しっかりと作られた作品である。
- 人の死に踏み込むという、勇気と決断が必要な取材に、制作者の志の高さを感じた。
- かなりの時間をかけた取材で、これをまとめるスタッフの努力が感じられた。
- 看取りという深刻な問題の中に、医師や家族の笑い声があったのが、聞いていて救われた。
- 家で看取るということに、美しい物語もあるということを知らない人がたくさんいる中で、個別のケースではあるがこれを掘り下げたことは良い番組であった。
- こういう終り方もあるという1つの選択肢を提案した番組であった。
- 高齢化社会が抱える問題を、知識だけではなく強い問題意識を持って制作されていると感じた。
- 家族みんなが救われる看取りというものがあるのだと思った。
- ナレーションと生音とのこまめな組み合わせに制作者の苦労が見えた。
- 非の打ち所がない作品が故に、リスナーとの距離が縮まらない気がした。
- 番組の一部に生々し過ぎる場面もあり、自身の両親の看取りを思い出して、少しだけ辛かった。