元中日ドラゴンズ選手で野球解説者の牛島和彦さんが、3月16日『ドラ魂キング』に出演しました。盛り上がる一方のWBCですが、その一方で召集されたドラゴンズの投手は開幕に間に合うのでしょうか?牛島さんがリスナーの質問に答えます。
キューバ勢が心配
「キューバ代表のジャリエル・ロドリゲス投手とライデル・マルティネス投手は、調整が必要で開幕してからしばらく使えないということってありますか?」(Aさん)
牛島「全くやってないわけじゃなく、野球やってますからね。試合で投げてる分、身体さえもてばいけるんじゃないですかね」
さらに、ジャリエル・ロドリゲス投手はドラゴンズでは抑えですが、WBCキューバ代表では先発で登場。調整は問題ない?という質問に、牛島さんは「大丈夫です」とキッパリ。
短いイニングで調整していて、急に長いイニングになるとダメ。長いイニングで調整していて、短いイニングを投げるのはすぐに切り替えられるそうです。
牛島「ドラゴンズで開幕が始まれば、自分の専門分野に戻ってきたみたいに思えると思います」
髙橋宏斗投手が心配
「髙橋宏斗投手はどのぐらいから先発ローテーションに入れるのでしょうか?WBCでは中継ぎの立場でしたが、先発への切り替えは大丈夫でしょうか?」(Bさん)
髙橋投手はジャリエル・ロドリゲス投手とは逆に、短いイニングの調整から長いイニングの調整に戻さなければいけません。
髙橋投手の調整の方が難しいと語る牛島さん。
牛島「バッター相手に長いイニング投げないと、身体もできてこないし感覚も戻らないですからね」
そこで牛島さんの考えは、一軍では使うものの短いイニングで交代させること。
牛島「5回で代えて、5回で代えて、7回にしてとか。そうやって体作り。体ができるまではリリーフ陣に頑張ってもらえばいいんじゃないですかね」
涌井投手は心配いらない
「涌井投手、西武ライオンズ時代の後輩の秋山選手を昨日完ぺきに抑えてましたね。期待していいですか?」(Cさん)
15日の広島カープとのオープン戦で、涌井投手はホームランを打たれましたが、5イニングしっかり投げました。
涌井投手は秋山選手と二打席対戦。ピッチャーゴロとサードゴロに抑えました。
牛島「キャンプから見てると高さ間違えない、コースもしっかり放れてますからね。打たせて取ることもできるでしょうしね。
勝ってきたピッチャーは、それなりのものがしっかりありますよ」
勝ってきたピッチャーの投球術
牛島「勝ってきたピッチャーはミスしても、ストライクゾーンでミスしない。ミスしても、ボールゾーンでミスするんですよ。だから打たれないんですよ」
牛島さんは現役時代、例えばアウトコースを攻める時は、アウトコースいっぱいに投げようとは思っていなかったそうです。
バッターボックスのラインとホームベースの間、ボール1個分空いている隙間に向かって投げていたとか。
ボール1個分を18.44メートル先から狙う、しかも打たれないように全力投球。素人ではとても真似できません。まさにプロの技。
牛島「そこから、ちょっと内側に入ったらベース盤かすってストライク。ちょっと外れればボール。だからストライク投げようと思ってなくて、あのラインとベースの間に徹底して放っていきました」
スリー、ワンからの投球
ボール1つ分を狙っての投球は、外せばボールカウントが1つ悪くなるだけで打たれはしません。
しかしツーボール、ワンストライクで外すとスリーボール、ワンストライクになります。素人考えだとピッチャーが振りのような気もします。
牛島「向こうは振ってくる確率が高くなりますからいいじゃないですか。変化球も使いやすいですし」
スリーボール、ワンストライクのカウントだと、バッターはストライクが来るものだと思って打ちにくるそうです。そのため、少々のボール気味でも振ってしまうんだとか。
ここから牛島さんは、どう三振を取っていたのでしょうか?
見逃し三振の仕組み
牛島「例えば、スリーボール、ワンストライクから真ん中低めのフォークボールを空振りするとします。するとバッターの心理がどうなるかというと、『しまった、ボール振ってしまった』でしょ?」
この段階でスリーボール、ツーストライク。次の球は?
牛島「アウトコース真っ直ぐ低めにコントロールすれば『またフォークかもしれない』って見逃してくれることが多いんですよ」
低めのボール球を振った後なので、もう一度低めの球が来ると、またボール球を振ってしまうかもしれないという心理になるそうです。
牛島「見逃しの三振ってよく見るでしょ?ボール球振った後、そういうケースが多いんですよ」
見逃しの三振は、三振を取った球ではなく、ツーストライクを取った球が肝心。中継を見る際の参考にしましょう。
(尾関)