6/1(水)第59回ギャラクシー賞贈賞式が行われ、 CBCテレビの3年に及ぶ調査報道で明らかになった“熊本産”アサリの産地偽装の実態を報道した、 「偽りのアサリ~追跡1000日 産地偽装の闇~」(制作:松本年弘、 吉田駿平、 吉田翔)が、 報道活動部門で大賞を受賞しました。
国内では、 アサリ漁獲量全国トップは愛知県。 2位は北海道。
しかし、 スーパーを回ってみると、 漁獲量が極めて少ないはずの“熊本産”アサリが安く、 大量に流通していた。 関係者への取材を重ねる中で、 輸入アサリを日本の干潟に放つ「畜養」と呼ばれる行為が産地偽装に深く関係していることを知った。 有明海で張り込みを続け、 2019年にその一部始終をカメラに収めることができた。 食品表示ルールでは、 2か所以上で育てた場合、 成育期間が最も長い場所が産地となる。 業者たちは輸入元より長く熊本で畜養したと主張していたが、 その実態は干潟に撒いて1週間程度で回収する「仮置き」だと判明した。 当初は取材に難色を示していたが、 長年続いてきた偽装を断ち切りたいとの思いから実名・顔出しでの告発を決心してくれた。
2022年1月の「JNN報道特集」で「“熊本産”アサリ産地偽装の実態」を伝えると、 各所で波紋が広がった。 熊本県は2月8日から2か月間、 熊本産アサリを出荷停止するという、 異例の措置を取った。
農水省は「熊本県産アサリの97%に外国産が混入している可能性が高い」と発表した。
その結果、 全国のスーパーから“熊本産”アサリが消えた…だけでなく、 アサリそのものを扱わなくなったスーパーが続出した。 パックの中身はこれまでと全く同じアサリにもかかわらず、 “熊本産”の表記を”中国産”に変えると、 急にアサリが売れなくなった。 取材班は産地偽装していたアサリ業者の言葉を思い出す。 「産地偽装をしないと売れないから…」この番組は「偽りのアサリ」を追い続けた1000日の記録。 そこから見えてきたのは、 行政、 業者、 スーパー、 消費者が複雑に絡み合ったニッポンの食の闇だった。
<松本年弘プロデューサーからのコメント>
愛知のアサリ漁師の言葉が忘れられません。
「“熊本産”の産地偽装についてとやかく言うつもりはない。でも、 自分たちのアサリの美味しさには絶対の自信がある。 」
プライドを持って真面目にアサリと向き合う人たちが、 “安いニセ国産アサリ”のせいで長年、 割を食ってきました…この理不尽な状況を何とかしたいという思いから、 今回の報道活動は始まっています。 引き続き、 多面的な取材を続けていきたいと思います
<出演>
スタジオ出演 大石 邦彦(CBCアナウンサー)
ナレーション 石井 亮次
<制作>CBCテレビ・報道部
プロデューサー 松本 年弘
取材 吉田 駿平 吉田 翔