製作発表

CBCが10月2日(土)午後2:00〜3:24に放送する『CBC創立60周年記念番組 スペシャルドラマ「旅する夫婦」』 (TBS系全国28局ネット)の製作発表記者会見が昨日、東京都内のホテルで行われました。

 この日は、会見に先立ち行われたダイジェスト版の試写終了と同時に、辛島さんがピアノで弾き語りを披露。ドラマのテーマ曲「温かな絆」をしっとりと歌い上げ、会場全体をドラマが描く世界観へグッと引き込み、その後行われた製作発表記者会見を盛り上げました。
 会見には、主演の伊藤蘭さん、岸部一徳さん、吹石一恵さんの出演者3名のほか、音楽・歌語り担当の辛島美登里さん、脚本家・市川森一さん、CBCプロデューサー・堀場正仁が出席。会場に詰めかけた多くの記者からの質問に笑顔で答え、終始ドラマの世界同様、温かな空気漂う会見となりました。

小林里江役:伊藤蘭さん

 私が女優に転向した時の初めての作品が市川先生のテレビドラマだったので、今回30年ぶりにこうして声をかけていただけたこと、それが本当に嬉しかったです。
 今回の作品では、夫婦のありかた、母子の関係など、私自身も考える機会を与えていただけたと思っています。
 今回、前々から行きたいと思っていたパワースポットといわれる熊野古道に行かせて頂きましたが、意外に険しい山道で、見事に転びました(笑)。これは何を私に教えてくれているんだろうと思いながらも、暑い時期の撮影を何とかスタッフの皆さんと乗り切りました。
 兼ねてから一度ちゃんとゆっくりお芝居がしたいと思っていた岸部さんと、真っ直ぐな眼差しの吹石さんと一緒にお芝居ができて、とっても楽しかったです。本当にたくさんの方に見ていただきたいです。

小林民夫役:岸部一徳さん

 僕も音楽から俳優に転向した時に、新人で出た最初の連続ドラマが市川さんの作品でした。今回、そういうご縁を感じました。
 俳優として夫婦役を演じる時に、短い撮影期間の中で、何十年も連れ添った夫婦というものがどんな風に見る人に伝わるかということがとても大事になってくるといいます。一緒に歩くというような、何気ないことをなんの違和感もなく見ていただくという意味で、今回の役を蘭さんとできたことは、とても僕にとっては良かったなと思っています。この仕事をしていると、時々そういう良かったなという配役のドラマに出会うことがあるんですが、特に今回のドラマは、蘭さん、吹石さん、塩見さんといった僕の好きな方々ばかりとやることができ、本当に楽しい仕事をさせていただいたなと思っています。 たくさんの方に見ていただきたいと思います。

浜田栞役:吹石一恵さん

 昨日の夜、出来上がったばかりの作品を見させていただいたんですが、人の心に触れる感触がわかるドラマというか、とても人間らしい、生っぽい作品だなと私は思いました。
 もちろん私より先輩の世代の方に見ていただいても楽しんでいただける作品だと思いますが、私と同年代やもっと下の方が見ても、きっと色んな見方ができる作品だと思います。皆さんどうぞ宜しくお願い致します。

音楽・歌語り:辛島美登里さん

 市川先生から熟年というテーマを頂いたときに、正直もう少し上のご夫婦の形というものを思い描いていたんですが、キャストの方が伊藤蘭さんと岸部一徳さんということで、正直ビックリしました。でも、自分の母も含め、自分が思う大人の方というのはこれぐらい若いんだということを、ドラマの中の蘭さんの姿が思わせてくださいました。
 今回のドラマの夫婦というのは、しっとりとしているけれども可愛くて、ちゃんと息づいているという感じがします。映像を見ながら、もしかしたらこれが今の熟年といわれている人たちのリアルな姿なのかなとすごく思いました。
 今回のドラマでは、旅をするとこんな風景に出会えるんだということ、そしてそこには目立たないけれども、すごく人の優しさや切なさをちゃんと踏みしめながら生きている普通の人々がいるということが描かれています。(そんな人々が)小さな痛みはあるけれど、最後はわかりあって幸せを目指していくという姿は、理想論と言いながらもとてもリアルで、私たちがこれから年を重ねていくということはこういうことなのかなと感じました。
 今回のドラマの映像を見て、心の中の機微、優しさというもの、それが基本となって人は生きていくのかなということをすごく教えられたので、音楽も奇をてらうのではなく、何気なくこれを聞くと、すごく豊かになって穏やかになる、今日も平和でよかったねと思えるような、あるべき姿みたいなものを私なりに書かせていただきました

脚本家:市川森一さん

 今は、高齢化社会などといわれますので、このドラマは「高齢化社会のテレビドラマ」といって良いかと思います。ただ、私たちが高齢者向け、熟年向けなどを踏まえて発想すると、ドラマ自体もなんか古臭いものになってしまう傾向がある。昔、タイガースのファンであったり、キャンディーズのファンであったような方々が今、熟年と言われるような年代になっているので、その辺の年代の感性というも のをもう一度見つめ直して、今の熟年にフィットし、本当に見たいと思ってくれるドラマを作りたいというのが、今回のドラマを作った大きな理由であり、眼目です。
 今回のドラマは、ドラマの感性というのも大事だと思ったので、堀場さんとも相談して、歌で綴っていくドラマにしたらどうかと思い、辛島さんにご参加いただきましした。辛島さんは本当に美しい旋律をお持ちですので、普通なら音楽は最後なんですが、今回はまだ本もできていない最初の段階から参加していただいています。そのお陰でとても上手くいきました。
 上手くいったと言えばキャスティングです。僕も脚本家人生が長いですが、自分のイメージキャストと全部同じ方にご出演いただけたというのは、今回が初めてのことです。それだけでも嬉しいことでした。
 蘭さんと一徳さんが夫婦役で出てくるドラマであれば、いわゆる「熟年ドラマ」と書かれても、介護問題とかをテーマにしたような、辛気臭い話かなといった先入観は払拭してもらえるかなと思っています。この2人はいわゆる皆様方の若い頃のヒーローですよね?このドラマはそういうイメージが少し必要なドラマなんです。「あの蘭ちゃんが、もう吹石さんのお母さん役をやるようになったの?」というように、自分史との重ね合わせの中で見ていただければという思いも加味して書きました。

CBCプロデューサー:堀場正仁

 このドラマは市川先生に熊野古道を実際に歩いていただくことからスタートしました。そこから先生が感じていただいたことが脚本になっていくわけですが、その段階から歌を脚本の中に組み入れていこうということになったので、プロットの段階から辛島さんに打ち合わせに参加していただき、歌詞、音楽など、色んなことを打ち合わせして、脚本を作っていきました。辛島さんは、こういった劇伴を作るのは初めてということですが、本当に素晴らしい曲を作っていただきました。
 そして、素晴らしい役者の皆さんたちに参加していただいて、脚本と音楽とお芝居と、すごく色んなものがとても良い具合に溶け合って、あまり無いような良い色のドラマができたと思っています。そういう色を感じていただければいいなと思います。

質疑応答

今回のドラマで印象的なロケ地は?

小林里江役:伊藤蘭さん

 熊野古道の意外なほどに険しい山道が印象に残っています。絶対に転ぶまいと、注意を払って下ってはいたんですが、足元が湿っていたためか転んでしまいました。もっと心配してくれるかなと思ったんですが、その横を堀場さんは笑いながら下って行かれたんです。でも今は、見てはいけないものを見てしまったという監督の優しさだったのかなと思っています(笑)。本当に自然は侮れないなと思いました。

小林民夫役:岸部一徳さん

 僕の中で熊野古道というともっと歩きやすいイメージだったんですが、あんなに険しいところだったんですね。そんな古道を、蘭さんはハイヒールでスイスイと昇ったり降りたりしていたので、ビックリしました(笑)。それが特に印象に残っています。

浜田栞役:吹石一恵さん

 私は、劇中で熊野古道に行くシーンがなかったので、ホテルの近くでも熊野古道が歩けると聞き、時間が有るときに軽い気持ちで熊野古道にビーチサンダルで入ってしまったら、足がちょっと血だらけになってしまったことが印象的でした(笑)。ただ、松本峠からの眺めはとっても素敵でした。

夫婦役を演じられての印象は?

小林里江役:伊藤蘭さん

 岸部さんは私の夫とばかり仕事をしていて、いつも良いなぁと思っていたので、今回やっと夫婦と言う形でご一緒することが出来ました。古道でも、古い家屋の中でも立っているだけで存在感がある方で、一緒に胸を合わせてお芝居をすると、ちゃんと通い合うものが生まれるような感じがして、私はとても幸せな時間をすごさせて頂きました。

小林民夫役:岸部一徳さん

 蘭さんとは夫婦としてそこに立つと、10年20年一緒にいたような気持ちなることができました。
 やっと蘭さんと一緒に仕事ができたなぁと思っているんですが、一度こうしてやってみると、また次こういうことをやってみたいなとか、こういう役で蘭さんがここに座っていたらもっと良いんだろうなぁということを、ずっと思いながら仕事をしていました。

この作品を通し、夫婦ってこういうものかなと感じたことは?

小林里江役:伊藤蘭さん

 今回のドラマで、シビルウェディングの祝辞を述べる台詞の中に「この出会いを喜び、受け止め、二人が一緒であることによって、更なる高みへ昇華されることを望みます」という一文があったんですが、本当にそうだなと思いました。夫婦はとかく空気のような存在になってしまいがちですが、互いが今どんな状況いるのかと気遣いながら、一人一人が心豊かになるように努力して、二人で今よりもひとつ豊かな世界に行けるように努力することが必要なのかなと、強く強く自分に言い聞かせました。

小林民夫役:岸部一徳さん

 僕も60を過ぎて、そんなに先がすごく長いわけではないですが、結論と言うか、夫婦とはこういうことだったんだということをまだ探している途中だなと思っています。このドラマもそうですが、そんな風にそれぞれ見た人が自分たちのことと重ねて何か見つけてもらえればなと思いながら、このドラマは参加させて頂きました。

浜田栞役:吹石一恵さん

 私はまだ(夫婦になった)実体験がないのですが、今回のドラマの冒頭部分に「熊野から依頼が来たのよ」とお二人が道を歩きながら話しているシーンがあり、さりげなく手を繋がれていたのがとても印象的でした。いつまでも自然に道端でも手を繋げる夫婦って良いなと思いました。