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第308回(5/27) 声帯

ゲスト:小林幸子
ゲンキスチューデント:中村静香
ゲンキリサーチャー:えとう窓口
ドクター:渡邊雄介

突然ですが、5秒ほど裏声で「あ〜」と言ってみて下さい。きれいな裏声は出ましたか?裏声が出なかったり、かすれる人は、声を出すための筋肉「声筋」にトラブルが起きている可能性があります。声の健康と身体の健康には密接な関係があり、声筋にトラブルが起きると転倒や肺炎を招く危険もあるのです。そこで今回は、声筋の秘密を大検証!声筋を鍛える方法や、声のかすれに潜む病気もご紹介します。

声筋とは?

・声帯について
声帯とは、喉仏のやや下側にある2本のヒダの事。呼吸をする時は、声帯が開き、音は鳴りません。一方、声を出す時は、声帯が閉まった状態になります。肺から空気を出して閉じた声帯を振動させる事で音が出ます。これが声です。

・声筋について
声帯を閉じたり開いたりする筋肉を「内喉頭筋(ないこうとうきん)」と言います。これが声筋の正体です。声筋が正常な場合は、声帯が閉じ、効率良く声を出せます。しかし、声筋が衰えると声帯が閉まらなくなり、隙間ができてしまいます。裏声は、声筋をある程度使わないと出ない音。そのため、声がかするなどうまく出ない人は、声筋が衰え声帯に隙間ができている可能性があります。

声筋と健康の関係

・身体に力が入らない
息を止めると声帯が閉じ、肺の空気が閉じこめられ、胸郭が安定します。これにより、ぶれなく力を入れる事ができます。そのため、声帯がきちんと閉じると、つまずいても力が入り、踏ん張ることができます。一方、声帯に隙間があると身体に力が入りません。そのため、つまずいても踏ん張れず、転倒するリスクが高くなってしまいます。さらに、筋肉は一部だけが衰える事はないので、声筋の衰えが喉全体の筋力低下につながります。すると、飲み込む・息を吸うなどの機能も衰えてしまいます。

・飲み込み力の低下
飲み込み力が衰えると、食べ物や唾液が誤って気管や肺に入ってしまう事があります。これが「誤嚥」です。声筋の衰えにより声帯に隙間が空いている状態だと、さらに食べ物や唾液が肺に入りやすくなってしまいます。誤嚥によって食べ物が肺に侵入し、細菌が繁殖すると、誤嚥性肺炎を引き起こします。高齢者の肺炎の多くがこれに当てはまり、最悪の場合、死に至るケースもあります。

声筋トレーニング法

毎日行うことで、声筋を効率よく鍛える事ができ、声帯の隙間改善も期待できるトレーニング法をご紹介します。

(1)「の〜」という発音を低音から高音まで、鼻に抜けるように発声します。
(2)今度は「の〜」を、高音からだんだん低くしていきます。
10回を1セットとし、1日3セット行いましょう。慣れるまでは1日1セットでも構いません。無理のない範囲で行なってください。

この方法は、世界的にも認められた声帯トレーニングの一つで、リハビリにも活用されています。声筋を鍛えて、声も身体も健康になりましょう!

声のかすれに潜む意外な病

・大動脈瘤
大動脈瘤とは、動脈硬化が原因で血管の壁が傷み、そこにコレステロールなどが沈着してコブのように腫れてくる病気です。万が一破裂すると、命を落とすケースがほとんど。一命を取り留めても後遺症の残る可能性が高い恐ろしい病気です。声帯の動きを支配している神経・反回神経は、一部が胸部大動脈を囲むようにして声帯につながっています。そのため、大動脈にコブができると、反回神経が圧迫されて神経が麻痺し、声がかすれる場合があります。

・がん
反回神経は、甲状腺・食道・肺などの臓器にも接しています。そのため、これらにがんなどの腫瘍が出来ると声がかすれる場合があります。

たかが声のかすれと侮らず、原因に心当たりがない場合や、声のかすれが1週間以上続くような場合は病院で診てもらいましょう。約2割の人が声のかすれで胸部大動脈瘤を発見できています。