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第304回(4/29) へルペス・帯状疱疹

ゲスト:温水洋一
ゲンキスチューデント:井上咲楽
ゲンキリサーチャー:X−GUN
ドクター:松尾光馬

ゴールデンウィークにこそ気を付けたい病気があります。それが、唇や目の周りなどに水ぶくれができ、チクチクと痛む「ヘルペス」。実は、ヘルペスの感染者は40代で7割以上。60代で9割近くにも及びます。そこで今回は、本当は怖いヘルペスの原因と予防法を徹底解明。さらに50代以上に急増している「帯状疱疹」の見極め方もお教えします。

実は怖いヘルペスの基礎知識

そもそも、ヘルペスは、ヘルペスウイルスというウイルスの総称。人に感染するヘルペスウイルスの中で、皮膚に水ぶくれを作るヘルペスウイルスには、下記の3種類があります。

〈人間の皮膚に水ぶくれを作るヘルペスウイルス〉
・単純ヘルペスウイルス1型
・単純ヘルペスウイルス2型
・水痘・帯状疱疹ウイルス

・単純ヘルペス1型とは
多くの場合、顔に症状があらわれる最もポピュラーなヘルペスです。唇や目の周りなどに水ぶくれを作り、再発を繰り返します。目の横にできる場合には角膜炎といって、視力が落ちる事もあります。また、まれに脳にウイルスがいき脳炎で死亡するケースもあるなど、命の危険も伴う油断できない皮膚症状です。

・再発を繰り返す理由
顔には、目・上あご・下あごに向けて、3本に枝分かれしている三叉神経があります。単純ヘルペスウイルス1型は、3本の神経がぶつかる神経節という太くなった部分に潜伏しています。普段は大人しくしていますが、きっかけがあるとウイルスが増殖。神経に沿って這うように移動し、目や鼻、口などの皮膚に到達すると水ぶくれを作ります。そして、再び神経節へと戻って潜伏し、再発のきっかけを狙うのです。また、ウイルスは増殖して神経節に戻るため、潜伏するウイルスの量が多くなると、再発のリスクが高くなります。

・ヘルペスが再発するきっかけ
ヘルペスが再発するきっかけは、免疫力の低下。神経節に潜伏しているヘルペスウイルスは、普段、免疫細胞に悪さをしないよう監視されています。そのため、宿主が元気で免疫力が高い時は、発症が抑えられていますが、睡眠不足や体調不良、ストレスなどで免疫力が低下するとウイルスが増殖!水ぶくれが再発してしまうのです。

・夏に出るヘルペス
夏になるとヘルペスが出る場合には、紫外線の関連が考えられます。
皮膚表面には、ランゲルハンス細胞という免疫細胞の司令塔が存在します。このランゲルハンス細胞は、紫外線に弱いため、強い日差しを浴びるとダメージを受けてしまいます。すると、免疫細胞がうまく機能せず、その結果、皮膚表面でヘルペスウイルスが増殖してしまうのです。紫外線が強くなってくるこれからの時期は、ヘルペスが出た事がない人も要注意です。

・症状が出た時に気をつける事
女性は、お化粧を落とす時に水疱が破れたり、かさぶたが取れたりする事があるので、なるべく刺激を与えないように気をつましょう。水ぶくれが破れて中の液体が他の場所に付くと、ウイルスが拡散する事があります。また、症状が出ている時は他人への感染防止のため、タオルや食器の併用を避ける事も大切です。

・ヘルペスウイルスをなくす事はできる?
神経節に潜伏感染しているウイルスを殺すためには、神経細胞まで壊さなくてはなりません。そのような薬剤はないため、へルペスウイルスをなくす事はできません。だからこそ、ヘルペスで大事なのは、とにかく再発させない事!再発防止のカギとなるのが、免疫力です。

オススメ免疫力アップ法!

・発酵食品
乳酸菌や納豆菌で腸内環境を整える事で、免疫細胞を活性化する事ができます。日々の食事にヨーグルトや納豆などの発酵食品を取り入れましょう。
 
・41℃のお湯で入浴
副交感神経が優位になる41℃のお湯で入浴しましょう。副交感神経が優位になると、免疫機能が高まることが分かっています。

また、日差しが強い日に外出する時はしっかりと日焼け止めを塗ると、紫外線による肌の免疫力低下を防ぐ事でヘルペスの再発を予防できます。へルペスが多発するのは、免疫力が下がっているサイン。心身ともに健康的な生活で、ヘルペスの再発を予防しましょう!

50代で急増!激痛が襲う帯状疱疹

身体や顔面など、広範囲にわたって出る帯状疱疹。こちらも、ウイルスが原因で発症し、激痛を伴います。しかも、発症率は年々増加しており、成人の9割以上に発症の可能性があると言います。

・水痘・帯状疱疹ウイルスについて
帯状疱疹の原因となるウイルスは、「水痘・帯状疱疹ウイルス」と呼ばれる「水ぼうそう」のウイルスです。子どもの頃これに感染すると、水ぼうそうが発症します。水ぼうそうの症状が治まってもウイルスがいなくなったわけではありません。実は、神経節という部分のいずれかに潜伏し、密かに生き延びているのです。そして、免疫力が低下するとウイルスが増殖し、神経に沿って帯状に発疹が現れます。これが帯状疱疹です。年代別でみると、50代で発症率が急激に高まっています。これは、加齢による免疫力の低下によるものと考えられます。

・発症率が高まっている原因
水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫は、水ぼうそうの子どもと接する事によって高まります。昔は、日本のほとんどの子どもが水ぼうそうにかかっていたため、触れ合う大人は帯状疱疹の免疫が活性化していました。しかし、水ぼうそうのワクチンが普及した事で、水ぼうそうになる子どもが激減。その結果、大人たちは免疫を活性化する機会が減り、帯状疱疹を発症する人が増えてしまったと考えられています。また、核家族化なども帯状疱疹患者の増加の原因と考えられています。

・帯状疱疹は早めの治療が大切
もし、帯状疱疹が発症してしまった場合は、一刻も早い治療が肝心です。治療が遅れてしまうと炎症によって神経が損傷することがあり、皮膚症状が治っても長期にわたって痛みが残る事があります。これは、帯状疱疹の後遺症・神経痛と呼ばれるもの。後遺症は神経痛の他にも、脳炎や顔面麻痺、難聴、めまい、排尿・排泄障害など、多岐にわたります。後遺症を残さないためにも、早い段階で治療を受けましょう。

帯状疱疹の見極め方

早い治療が大事な帯状疱疹ですが、初期症状の段階では、虫刺されやかぶれと勘違いしてしまうことも…。そこで、帯状疱疹の見極め方をご紹介します。

〈帯状疱疹の特徴〉
(1)前駆痛
発疹が現れる4〜5日前に痛みが出る事が多く、前駆痛の有無が帯状疱疹の一つの目安になります。
(2)発疹に痛み
発疹に痛みがある事が帯状疱疹の大きな特徴。虫刺されはかゆみを伴う事が多いですが、帯状疱疹の場合にかゆみを伴う事はまれです。
(3)左右片側で帯状
症状は片側に出ることがほとんど。神経に沿って出るので、ほとんどの場合が帯状に出ます。症状が出たら、少なくとも3日以内に治療する事が必要です。まれに左右両側に発疹が出る場合がありますので、見慣れない発疹が出た場合は皮膚科を受診してください。

また、「帯状疱疹ワクチン」という50歳以上が対象の予防接種があります。予防接種を受ける事で、発症率や後遺症のリスクを大幅に抑えられるそうです。費用は約1万円で、効果は7〜8年持続します。