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第276回(10/1)

ゲンキスチューデント:滝裕可里
ゲンキリサーチャー:ヴェートーベン
ドクター:原田紀宏

咳は身近な症状なので、放置している人も多いかもしれません。しかし咳には、命をも脅かす重大な病気が隠れていることもあります。今回はあらゆる咳の正体を、診断チャートを使って探ります。
さらに近年増加している大人のぜんそく。年間およそ1500人が命を落としている恐ろしい病気ですが、そこに希望の光をかかげる最新治療をご紹介します。

咳診断チャート

咳は、気道に入り込んだ異物を外に出そうとする防御機能です。しかし長引く場合は他の病気が隠れているかもしれません。2週間以上続く場合は病気による咳を疑いましょう。
それでは診断チャートに沿って、様々な咳の原因を探っていきます。

まずは濃い色の痰が出る場合です。
・「濃い色の痰が出る+喫煙している」
慢性気管支炎の疑いがあります。長年の喫煙などによって気管や気管支が蝕まれ、その結果炎症を起こし咳や痰が続きます。肺気腫などを合わせてCOPDとも呼ばれます。
・「濃い色の痰が出る+最近風邪をひいた」
気管支炎の疑いがあります。気管や気管支に炎症が起きている状態で、風邪などのウイルスによって発症します。白血球やウイルスなどが混ざって色がつくため、痰の色が濃くなります。
・「濃い色の痰が出る+熱が出た、胸が痛む」
危険な症状です。肺炎や肺結核の疑いがあります。初期症状が風邪と似ているため放置しがちですが、胸が痛むなどの症状が出たらすぐに病院を受診してください。

次に咳は出るが濃い色の痰は出ない場合です。
・「痰の色は濃くない+最近風をひいた」
感染後咳嗽という病気が疑われます。気管支炎などの感染を起こした後に続く咳の総称で、百日咳などが該当します。
・「痰の色は濃くない+血痰が出る、胸が痛む、体重が減った」
肺がんが疑われます。少しでも当てはまる症状があれば病院で検査を受けてください。
・「痰の色は濃くない+胸やけがする、食事の前後に咳が出る」
胃食道逆流症の疑いがあります。胃液や消化中の食べ物が食道に逆流して胸やけなどが生じる病気で、それにより食道の咳センサーが刺激されて咳が出ます。最近よく聞く逆流性食道炎は、胃食道逆流症の症状に加えて食道に炎症が起きている状態です。
これらの病気で注意すべきポイントは2つ。まずは肥満体型の方。脂肪で胃が圧迫されている状態のため胃液が逆流しやすくなっています。そして食後すぐに横になることが多い方。胃液が食道に流れやすくなっています。
・「痰の色は濃くない+深夜から早朝に咳が悪化、仰向けに寝ると呼吸しづらい」
こちらの症状があり、呼吸をするときヒューヒューゼイゼイ音がする方はぜんそくの疑いがあります。また呼吸音が無い方は咳ぜんそくの可能性があります。咳ぜんそくの3分の1はぜんそくに移行するとも言われており、ぜんそくとして治療を受けることが大切です。

大人のぜんそく

激しい咳に加えて呼吸困難に陥ることもあるぜんそく。近年は大人になってから発症することも多く全国におよそ800万人の患者がいると言われています。
ぜんそくを発症する引き金となるものには、気温や気圧の変動・ダニやほこりなどのアレルゲン・風邪・ストレスや過労などが挙げられます。そのため季節の変わり目で、環境の変化などもある秋は注意が必要です。もともと小児ぜんそくだった方やアレルギーを持っている方、肥満の方などもぜんそくを発症することが多いと言われます。

ぜんそくの最新治療

通常の治療ではなかなか治らない重症のぜんそく患者に、新しく2015年4月から認められた治療法が「気管支サーモプラスティ」です。
口からカテーテルを入れ、気管を通って気管支に到達させ、筋肉が厚くなっている箇所で電極を広げて65℃で加熱します。すると熱によって筋肉組織が収縮して気道が広がり、ぜんそくの症状緩和に繋がります。この治療は1回の手術でおよそ50か所の筋肉を加熱。手術はおよそ3週間おきに、合わせて3回繰り返します。現在、全国101か所の施設で治療を受けられます。ぜんそくで苦しむ人を少しでも減らすために、ぜんそく治療は進化しています。