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第228回(10/16) 尿

ゲンキリサーチャー:深沢邦之
ゲンキスチューデント:春香クリスティーン
ゲスト:松居直美

私たちが毎日必ず出す尿。この尿からは腎臓病はもちろん、糖尿病や肝臓の病気さらには脳腫瘍が見つかるなど、様々なことが分かります。 まさに尿は情報の宝庫と言えます。 今回は尿の色と様々な病気の関係を徹底解明。尿の色に潜む病気の正体に迫ります。また最新の尿検査の研究についてもお伝えします。

尿

尿は腎臓の中の糸球体というところで、血液の老廃物などがろ過されて作られます。必要な水分や栄養は尿細管で再吸収され、その残りが膀胱に溜められます。

尿沈渣という検査では尿を遠心分離機にかけ、その沈殿物を顕微鏡で見ることで様々な病気が分かりますが、普段の暮らしの中で私たちができる一番大切なことは尿の色を見ることです。

尿の色

・黄色
普段目にする薄い黄色の尿。これは正常な尿の色と言えます。
尿の原料は血液ですが、血液中の赤血球が寿命を迎えると肝臓で分解されビリルビンという物質に変化します。それが腎臓で一部酸化してウロクロームという物質になります。このウロクロームが黄色のため、正常な尿は黄色になります。水分の摂取量が少なくて尿の量が減り、濃い黄色になったり逆に薄い黄色になったりする場合もあります。

・透明
水分をたくさん摂っていると薄い色になるためほとんどの場合病気ではありませんが、中には尿崩症という病気が隠れている場合があります。
脳で作られる抗利尿ホルモンが尿の量を調節していますが、ホルモンが腎臓で効かなくなったり分泌量が減ったりすると、たくさんの尿が出るようになります。これが尿崩症です。水をたくさん飲んでいないのに尿の量が多いときは注意が必要です。
また抗利尿ホルモンは脳の視床下部で作られているため、その周辺に腫瘍ができるとホルモンの分泌が低下し、尿崩症の症状として現れることもあります。
糖尿病の場合も、尿の量が増えて、色が薄くなることがあります。

・乳白色
膿尿という尿で、痛みがあり乳白色の尿が出たら膀胱炎を疑います。また突然腰が痛くなったり熱が出たりする場合、腎盂腎炎の可能性があります。

・赤色(血尿)
血尿は、出るタイミングに注意しましょう。最初に血尿がでて後の尿は赤くない場合、尿道からの出血の可能性があります。また腎臓に結石が詰まり炎症が起きている場合は、最初から最後まで赤い尿が出ます。痛みもないのに血尿が出る場合は膀胱がんの可能性もあります
血尿は一度出て治まる場合もありますが、一度でも見た目でわかる血尿が出た場合はすぐに病院へ行きましょう。

・オレンジ色
肝臓が悪くてビリルビンの値が高くなると、オレンジに近い濃い尿が出ます。すぐに病院へ行きましょう。

・緑色
緑膿菌が原因で緑色の尿になります。健康な場合は感染することはありませんが、手術後の感染症などでは重症な感染症として知られています。敗血症の疑いもありますのですぐに病院へ行きましょう。

尿の色で身体の調子がわかります。毎日チェックしましょう。

尿の色以外の注意点

・泡立ち
泡が30秒以上消えない場合は、尿にタンパク質や糖が含まれている可能性があり、腎臓の病気や糖尿病の恐れがあります。

・回数
男性で回数が多い場合は前立腺肥大症の可能性があります。前立腺は歳を取ると誰でもある程度大きくなりますが、がんの場合もあるので注意しましょう。
女性の頻尿に多いのが過活動膀胱です。また腹圧性尿失禁などもあります。加齢や骨盤底筋のゆるみなどが原因ですが、肛門や尿道を締める体操をすることで改善が期待できます。

尿を使った新しい研究

新潟大学の山本格先生が進めているのが、人間ドックをすべて尿検査でするという研究です。
現在の尿検査では白血球や赤血球、細菌など顕微鏡で判断できる病気だけを調べていますが、山本先生の研究ではミクロの世界で検査します。
先生が注目したのが尿の中のアミノ酸から作られるタンパク質とペプチドという分子で、これらが様々な病気と関係しており、その種類や数を調べることで今まで以上に多くの病気を発見できることが分かってきたのです。
血液検査のように痛みも感じず、簡単に調べられるのも尿検査のメリットです。山本先生は「何でも尿検査」という全く新しい尿検査システムの完成を目指しています。
いつか、尿からすべての病気を見つけることができる日が来るのかもしれません。