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第216回(7/24)

ゲンキリサーチャー:ずん
ドクター:山岨達也

「お菓子」と「お箸」、「広い」と「白い」、「かとう」と「さとう」など良く似た単語の聞き間違いをすることは、ありませんか?
実はそれは難聴が始まっているサイン。
年を取ると耳が遠くなるのは仕方がないとあきらめている方も多いようですが、年をとっても高い聴力を維持することはできます。
今回は聴力アップの秘訣や、多くの人を悩ます「耳鳴り」を改善する意外なアイテムなどをご紹介します。

老人性難聴

年をとると耳が遠くなるのは仕方ないと思っている方も多いですが、耳が遠くなるとコミュニケーションでトラブルが生じ、孤立や引きこもりにつながるケースも少なくありません。アメリカの調査で、耳が良い人と悪い人で認知症へのリスクを調べたところ、中程度の難聴の人は3倍、重度の人はおよそ5倍も認知症になりやすいという結果も出ています。

耳の中の、音を電気信号に変換する「有毛細胞」は、年をとると壊れていき、壊れた有毛細胞は再生しません。そのため年をとると一般的に誰でも聞こえは悪くなります。
そこでカギとなるのが「聴覚ネットワーク」です。これは音にまつわるすべてに関係している脳内の神経ネットワークのことです。

若いときにははっきりと聞き取れていたものが、年を取ると雑音の聞き分けや子音の聞き取りがしにくくなり、何を言われているのかわからなくなってしまう老人性難聴ですが、その予防・改善に役立つのが聴覚ネットワークです。
例えば、人は会話の中で100%すべての音声を聞き取っているわけではなく、重要なキーワードを取り出しています。このキーワードとなる言葉を予想できるかできないかが、実はとても大切なのです。キーワードを取り出すことは「類推」と言って、聴覚ネットワークの大事な働きの一つです。

聴覚ネットワークを鍛える「聴覚筋トレ」

このトレーニングで大切なのは、類推する聞き取りを鍛えるという事です。
「一(いち)」「七(しち)」「吉(きち)」など、音の響きの似た言葉を紙に書き、ランダムに読み上げます。聞いた方はその言葉を復唱します。このとき口の動きで推測できないよう、背後から出題するようにしましょう。
耳が元気な時から聴覚ネットワークを鍛えておくことで、難聴予防に役立つと考えられています。

耳鳴り

多くの人が経験したことがある「耳鳴り」ですが、耳鳴りに悩む人は老人性難聴が原因のことが多いと言われています。
音が聞き取りづらくなると、脳は聞こえなくなった音を必死に聞こうとして興奮状態になり、その結果脳内の様々な電気信号を音として感知してしまい耳鳴りがします。つまり耳鳴りの正体は脳が作り出した音なのです。

かつては治療法がなく、気にしないようにするしかなかった耳鳴りですが、難聴がある場合には「補聴器」を使うのがおススメです。
これは、聞こえない音を聴こうとして脳が興奮して耳鳴りが起きていたため、あえてその音を聴かせてあげて脳を落ち着かせるという方法です。
使う人のレベルに合わせ、聞こえない音域のみを増幅することが可能になった、補聴器のめざましい進歩があったからできる治療法です。
補聴器を購入する際は、補聴器相談医がいる病院を受診し、認定補聴器専門店を紹介してもらいましょう。聞き取り、難聴の度合いを検査し、その人にあった補聴器を作ることが大切です。