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第161回(6/21) 最新医療

ゲンキリサーチャー:木本武宏

今回のテーマは「最新医療」、キーワードは「一滴」です。
現在、なんと尿一滴からがんを見つける研究が進んでいます。
がん患者の尿には特有のニオイがあり、それを寄生虫に発見させるというものです。
実用化されれば検査費用は数百円、短い検査時間でガンの早期発見が可能になります。
他にも血液一滴で病気が分かる最新の検査や、唾液であらゆることが分かる遺伝子研究、
さらには一人ひとりに合わせたオーダーメイドのがん治療など、驚きの先端技術をご紹介します。

メタボローム解析

メタボローム解析は究極の成分分析技術です。
この技術は食品研究など様々な分野で利用されていますが、メタボローム解析を使って血液一滴から病気を見つける研究が進んでいます。
現在は血液一滴をメタボローム解析することで、肝臓疾患が簡単に検査できると言います。
さらに最近、うつ病もメタボローム解析で診断できることが判明しました。
うつ病は問診でしか診断できないため、今までは医師によって診断に違いがあるなどあいまいな部分が多いのが問題でした。しかし、メタボローム解析で、血液中のPEAという喜びに関係する物質を見つけることができうつ病を数値で診断することが可能になったのです。うつ病の血液検査はまだ限られた病院でしか受けることができませんが、今後全国に広がっていくことが期待されます。
また、唾液をメタボローム解析することで、すい臓がん、乳がん、口腔がんを見つける研究も進んでいます。

唾液による遺伝子検査

唾液から遺伝子情報を解析し、様々なことが分かる検査「マイコード」。
この検査で分かるのはなんと280項目。
がんや心疾患などの病気の遺伝的リスクから、アレルギーや体格、
さらには片頭痛を起こしやすいか、肥満になりやすいかといった項目まであります。
ただ遺伝子検査はまだまだ発展途上の分野です。
環境要因などの影響も大きいので結果には深刻になり過ぎず、参考にする程度の気持ちで生活改善に役立てましょう。

テーラーメイド医療

遺伝子研究は、テーラーメイド医療の分野で応用されています。
これは遺伝子を調べて患者一人ひとりにあった医療をするというものです。
薬を代謝する肝臓の能力や神経の作用は個人差があり、薬の効果は人によって違いがあります。
そこで注目されているのがこのテーラーメイド医療なのです。

東京歯科大学では顎変形症の手術後に使う鎮痛剤の量を、患者の遺伝子を調べて調整しています。
海外では血栓を溶かす薬などにも使われており、今後様々な薬に応用できるよう研究されています。

このテーラーメイド医療はがん治療にも使われています。
久留米大学ではがんを治療するワクチンの開発に成功しました。
これまでの抗がん剤治療では、がん細胞だけではなく正常な細胞まで攻撃してしまい様々な副作用が出ていましたが、
新しく開発されたワクチンは、体内の免疫細胞を活性化させることで、がん細胞だけを狙い撃ちできる画期的な治療です。
しかしがん細胞にも様々な違いがあるため、同じ種類のワクチンを打っても患者によって効果がある人とない人が
いる事が問題でした。そこでまず血液検査で免疫活性を調べ、31種類のワクチンの中からその患者に最も効果的な
4種類のワクチンを投与する、テーラーメイド治療を行う事に成功したのです。
現在がんワクチン治療は、治験段階ですが、来年の本格的な実用化に向けて研究が進んでいます。

一人ひとりを良く調べて、薬や治療法を考えることはとても大切です。いずれは、自分の遺伝子の情報を前もって調べて、病院で診察を受けるときは個人の遺伝子の情報に基づいて医師が様々な治療法の判断をするという時代がくるかもしれません。