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第8回(5/27) カビ

ゲンキリサーチャー:杉浦太陽
ドクター:谷口正実(医学博士)

これから梅雨の季節に入る日本。私たちにとってカビは、敵にも味方にもなり得る物質です。カビと上手く付き合っていくにはどうすればよいのでしょうか。

食物をおいしくするカビ

今ブームになっている塩麹。塩麹は麹に塩と水を加え、熟成させて作るものすが、そもそも麹は、米や麦といった穀物にコウジカビを付けたものです。塩麹のほかに味噌や醤油の醸造にも使われています。
コウジカビは様々な酵素を作り出し、でんぷんやタンパク質を分解します。その過程でグルタミン酸などが生成され、食物の旨味を出しているのです。またタンパク質を分解する酵素のパワーによって、食物の柔らかさもアップします。

病気の原因になるカビ

食物をおいしくしてくれるカビがある一方で、私たちの身体に悪影響を与えるカビもあります。
「トリコスポロン」
腐った木材などに繁殖するため、老朽化した木造家屋に多いカビです。空気中のカビの胞子を吸いこむことで、ぜんそくやアレルギー疾患を引き起こします。トリコスポロンが原因で起こるのが、夏型過敏性肺炎です。
「アスペルギルス・フミガータス」
こちらも恐ろしいカビの一つです。このカビはアレルギーの原因になるだけでなく、気管支や肺を破壊するカビです。夏型過敏性肺炎よりも患者数が多いというアスペルギルス症。手遅れになると呼吸不全などにより死に至るケースもあるといいます。
換気が悪く湿気の多い家に増加しやすいカビで、慢性の気管支の炎症がある人は要注意です。気管支内の、空気の流れがとどまったところに繁殖します。

カビの効果的な対策

・カビは、湿度が70%以上になると増殖のスピードが速くなります。湿度は60%以下を目安にしましょう。24時間換気設備がある場合は、それを使うのが効果的です。
・エアコンは取扱説明書にしたがって、こまめに掃除しましょう。できれば冷房を使い始める前にしておくのがお勧めです。
・壁にしみついた黒カビの汚れは、漂白剤で繰り返しお手入れをします。
・壁と家具の間は最低2pの隙間を開けて、通気を確保しましょう。また部屋の対角線上に空気の通り道をつくるのもポイントです。風の当たらない場所には、扇風機をこまめに使うのも効果的です。洗濯物を部屋干しするときも、扇風機を使って空気の流れをつくりましょう。
・浴室では、まず汚れを洗い落とし、そのあと水分を拭き取ってから薬品を使うのが効果的です。薬品が下に垂れやすい部分は、ティッシュペーパーの上から使うのがコツです。
・カビ退治に良いとされるアルコール、お酢、重曹ですが、アルコールと原液のお酢には殺菌効果がありますが、重曹には殺菌効果は期待できません。またお酢は、水で薄めずに使いましょう。
・浴室を乾燥させる時には窓を開けたり、換気扇を回したりしますが、このとき浴室のドアは閉めておきましょう。
・クリーニング済みの服は、ビニールカバーを取ってからしまいます。ビニールカバーをかけたままだと、服との間に湿気が溜まりやすいので注意が必要です。