ちょいと一杯いかがです?

「まっとうな道に行きたくてもなぜか行けないんですよ。これでもわたし、一生懸命生きているつもりなのに!」(青田)

「わたしだってそうですよ!」(室井)

対談(1) 5月8日のお客様 青田典子×室井佑月

今夜のお客さんは小百合役の青田さんと、小学2年生の息子さんを持つこのドラマの原作者、作家の室井佑月さん。ドラマの話、子供の話、男の話……と、どんどん本音に迫っていく人生むきだしの女たちの会話に興味津々!

「前から青田さんのこと、お母さんみたいな人だなって思ってたの」(室井)

室井
小百合って、すごく色っぽいお母さんですよね。
青田
えぇっ、そうですか?
室井
色っぽいですよ! でも全然違和感ないし、かといって「THEかあちゃん」っていう感じでもなくて。だからわたし、このドラマ、すごくいい感じだと思ってる。
青田
本当? やったー!
室井
前からわたし、青田さんとバラエティ番組とかで一緒になったときに、「お母さんみたいな感じの人だな」って思ってたの。
青田
あ、それ、C.C.ガールズのときも言われてた。そうやって言われながら、ずっと・・・こう、なんか面倒くさい人生を送りつつあるんですけどね(笑)。室井さんにお聞きしたいんですけど、ひとりで子供を育てることって、やっぱり旦那さんがいるのとは大きく違いますか?
室井
ひとりで育てるって難しいですね。ドラマで言うと、ここの「雲雀屋」の美佐子さん(秋本奈緒美)みたいな人がそばにいないと難しいと思います。わたしの周りって、バツイチかイカズ後家の女ばっかりで、みんな、なんだか母性本能に溢れちゃってて、犬とか猫とか飼って、自分のことを「ママ」なんて呼んじゃってね(笑)。そういう友人たちに結構助けられていますね。
青田
そうなんだー。
室井
疑似体験でお母さんやるのって、たまにだったらすごくいいみたい。
青田
なるほど……。わたし、まだ、シングルマザーをきれいごとで飾っているかも。もしドラマが現実の出来事だったら、想像以上に大変だと思う。
室井
うん……。それと、青田さんは色っぽいお母さんだから、下着とか干せないよね(笑)。男の子だと照れちゃいそうじゃないですか。息子の友達とか、照れちゃいそう。
青田
異性として見ちゃうのかな。
室井
きれいなお母さんの家に遊びに行くときは、靴下とか気にするみたい。汚れていないか気にしてますよ、うちの息子も。
青田
それ、なんとなくわかる気がする。長男役の博之くんって、実際は中3なんですけど、やっぱりね、ちょっと意識してるなって思うことがあって、そこのところをどうにかしなきゃって思った時があって。走太くんは9歳とか10歳ぐらいだと思うんですけど、まだ目覚めていないんですよ、異性に。博之くんは、たまにわたしを男目線で見るときがあって、そこをざっくばらんにやらないと、いつも緊張感が走りそうで・・・。
室井
でも大丈夫じゃない? ドラマの中の長男のキャラクターってそういう感じですもんね。
青田
ああそうか、そうか、今のままでいんですね。
室井
わたしも子供の男は初めてで、わからないことっていっぱいありますよ。今までまわりにいた男の人って、父親しかいなかったし、男の人と暮らすとすぐに終わりになっちゃうんで、深くつきあったことがないし(笑)。

「わたし、あのシーンは視聴者の方から投書が来るんじゃないかと思うんです」(青田)

青田
小百合のバツ2バツ3じゃないけど、これからまた結婚して、子供を産むことって頭の中で少しは考えたりしますか?
室井
今すっごい考えています。もうひとり作りたいなって。
青田
そのときはわたしも同級生を作りたいな・・・(笑)。室井さんと一緒だったら心強いじゃないですか。わたしってこういうタイプだから、まっとうな道を歩きたくてもなぜかそちらへ行けないんですよ。これでもわたし、一生懸命生きているつもりなのに!
室井
わたしだってそうですよ(笑)! でも、どれが正しいなんてことはないと思うから。第1話で「買ってきたお弁当はいけない」って園長先生に注意されるシーンがあるけど、どうしてダメなのか、いまだによくわからないんです。
青田
わたし、あのシーンは視聴者の方から投書が来るんじゃないかと思うんです。あの内容を認めてくれる人と認めてくれない人と、きっぱり分かれると思うんです。それと、あの出来あいのお弁当を1個まるまる渡したところで、幼稚園児には食べきれないから、結局あまっちゃって、逆に経済的にムダだし。そのことについてスタッフと話しあった結果、あれは半分しか入っていないんじゃないかってことになりました(笑)。
室井
そう、半盛りにしてもらうの。
青田
子供用の盛りつけにしてもらうんですね。
室井
わたし、週に1回、朝の番組に出ているので、その日はすごく朝が早いんです。息子がその日にお弁当を持っていかなきゃいけない場合は、ベビーシッターが男性で料理が出来ないので、買ってきたものを弁当箱に詰めてもらうんですよ。
青田
それもダメだって園長先生に言われるシーンがありました。
室井
だけど、それで問題ないと思うんですよね。わたしね、ちょっと息子に照れがあって、ウィンナーをタコの形にしたときとか、「こんなの作っちゃった!」って言わないといられないタイプなんですよね(笑)。
青田
室井さんの小説(「ママの神様」)の中に出てくる息子って、やたらしっかりしているじゃないですか。なんかもう幼稚園児じゃない。室井さんがタコの形のウインナーを作ったことに照れるのは、結局、息子さんはすでに子供じゃない部分も持っているっていうことだと思うんです。母親の姿を見て、「自分が母親の足りない部分を補わなきゃ」「大人にならなきゃ」っていうところが出ているというか。
室井
子供を見ていて思うのは、「ここは無邪気にしとけ」って意外と仕組んでやっているんじゃないかってこと。「ここはおどけておくべきだろう」とか、自分の役割を意外とよくわかってる。息子だけじゃなくて、息子の友達が家に遊びに来てもそう。
青田
子供って役者ですね。

「作られた愛って、結局、子供にバレると思う」(青田)

室井
わたし思うんですけど、雑誌とか読んでいると、1週間分のお弁当のレシピを紹介しているお母さんって出てくるじゃないですか。ちゃんと巻髪して、顔もかわいくてきれいな人。だけど、そういうお母さんのマネをしても、そのお母さんの上にはいけないと思うの。そのお母さんのレシピ・・・例えば、パンダの形をしたおにぎりを一生懸命作っても、同じように器用には作れないし。だから、絶対に負けないことがあるとしたら、自分の子供に対する気持ち、それだけはわたしが1番だから、それさえしっかりしていればいいと思うんですよね。
青田
表現の仕方はどうであれ、パンダがきれいに作れなくたって本当に愛してるっていう気持ちがあれば・・・。
室井
そう。それを子供が理解してくれていれば、「お母さんは僕のことが1番で、どんなことがあっても愛してくれる」っていうのを疑わせないようにしていればいいんじゃないかな。
青田
作られた愛って、結局、子供にバレると思うし、子供への愛って本物が宿っているんですよね。わたし、21のときに男にフラれて、半年ぐらい泣き続けて死のうと思ったことがあるんです。今は「あのとき死ななくて良かった!」って思ってる。人って、心の支えだと思っているものを間違えると、ズドーンって落ちるじゃない?方向性を見失うじゃないですか。わたしの場合は時が解決してくれて、新たな出会いもそうだし、この作品もそうだし、フラれた当時では想像出来なかった出会いがたくさんあって、お陰で強くなれたんですけど。
室井
良いことも意外と続かないけど、悪いことも続かない。どっちも、10年も続かないですよね。わたし、悪いことが起きると「死にたいぐらいイヤだなー」って思うけど、すぐに「これが一生続くわけじゃない」って切り替えるんです。ただし、貧乏臭い性格だから、良いことが起きても「こんなの一生続くわけない」って思っちゃうけどね(笑)。幸せを満喫出来ない女なんです。
青田
あはははは(爆笑)。

「子供が頼ってくれる成人までの間は、『ひとりじゃない』って錯覚できる貴重な時間」(室井)

室井
人間って、ひとりで生まれてひとりで死んでいく。「人間って所詮ひとりなんだな」って思ったこと、ありますよね。だけど、子供がいるお母さんに言いたいんだけど、「お母さん、お母さん」って子供が頼ってくれる成人までの間は、「ひとりじゃない」って錯覚できる貴重な時間だから、期限付きの時間なんだから、面倒臭いなーって思って過ごすよりは、楽しく過ごしたほうがいい。わたしの場合、予定より早く仕事が終わると、洗濯物を山盛りにしたまま、キッチンの流しの洗い物も山盛りにしたまま、息子と遊園地に行っちゃうんですよ。帰ってきてから山盛りの洗濯物や洗い物を見て、すごいうんざりするけど(笑)。でも、「せっかくの貴重な時間だから、楽しいものにしようって努力しなきゃ」って思ってて。わたしね、男の人とうまくいかなかったのは、そういう気持ちが足りなかったからだって今は思う(笑)。
青田
男って無償の愛じゃないですからね。10年とか保障ないじゃないですか(笑)。
室井
「保障、保障」って求めちゃうけど、その男とそのとき「最高に幸せ」って思う瞬間があったわけで、その気持ちを大事に受け止めて生きていければ良かったんですよ。今さら後悔しても遅いんですけどね。なぜその最高に幸せなときに、最高の幸せを満喫出来なかったんだろう。「どうせ、いつか終わってしまうんだ・・・」って思っちゃったんだろう(笑)。
青田
これ、室井さんのおっしゃっている意味と違っているかも知れないけど、このドラマのタイトルバックの映像を撮ったときに、「この瞬間って、もうないだろう」「この子たちとこうやって演じることは、もうないだろう」って愛おしく思いながら自転車に乗ったんですね。あの日、すっごい雨が降ったあとで風が強くて大変だったけど、今、あの映像を見ると、良い想い出になってる。素晴らしい時間を過ごした時って、今よりも後になって気付くことも多いんですよね。
室井
あ、あの映像良かったですよ♪
青田
ありがとうございます!
室井
あれは主人公である青田さんのプロモーションビデオみたいなもんじゃないですか。ああいった雰囲気のって初めてですよね。自転車乗るの下手くそだし(笑)。
青田
バレましたか! めったに自転車に乗らないから(笑)。
室井
そこが面白かったの。「青田さん、素晴らしい」って思ったの。このドラマのあと、3人の子供たちが大きくなって、アイドルとかになってバラエティ番組に出たときに、青田さんは「お母さーん」なんて呼ばれるんだろうね(笑)。
青田
それ、面白いしうれしいかも(笑)。子供たちをずっと見届けていたい!っていう気持ちがもう生まれてきていますからね。撮影は毎日ハードですけど、この瞬間・瞬間は大切な宝物だから。今がすごく楽しいんです。
 
☆次回へ続く