番組審議会

第59回CBCクラブ文化賞(くちなし章)に飯冨雅介さんを選出

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東海地方において一芸一能に黙々と従事し、人知れずこの地方の文化の発展に貢献している方を発掘し、顕彰する、CBCクラブ文化賞(くちなし章)の96人目の受賞者に、能楽師・ワキ方高安流の飯冨雅介(いいとみ・ただすけ)さん(67)を選出しました。
飯冨さんは熊本県出身。大学進学と同時に名古屋に移り、西村弘敬(にしむら・こうけい)氏に入門、西村氏の長男で高安流宗家十三世を継承した高安滋郎(たかやす・しげお)氏に師事します。
以降、半世紀にわたって尾張藩から続く名古屋のワキ方として、また高安流の後見役としてその継承維持にひとかたならぬ努力をされてきました。
特に西村氏の最後の弟子として、その芸風を後世に伝えようと「西村同門会研究能」を主催し、意欲的な演目への挑戦や若手楽師の育成など、高い志と情熱により人知れず能楽の普及、発展に大きく貢献したとして、今回「CBCクラブ文化賞」を贈呈する事になりました。
贈呈式は来月2日(金)名古屋銀行協会内のホテルオークラレストランにて行われます。

受賞者氏名 飯冨 雅介(いいとみ・ただすけ)氏
飯冨雅介さん 略歴
昭和25年 熊本県熊本市生まれ
昭和44年 大学進学と同時に名古屋に移り、西村弘敬氏の門をたたく。高安流宗家十三世を継承し、高安姓を名乗った長男の高安滋郎氏に師事する。11月、「龍田(たつた)」のワキツレで初舞台。
昭和53年 能「巻絹(まきぎぬ)」で初ワキを務める。
昭和54年 流儀秘曲 重習(おもならい)「猩々乱(しょうじょうみだれ)」を披(ひ)く。
昭和54年 (社)能楽協会<現在の(公社)能楽協会>に入会。
昭和60年 流儀秘曲 重習「道成寺(どうじょうじ)」を披く。
平成10年 文化庁重要無形文化財保持者認定。日本能楽会入会。
平成18年 「西村同門会」を主宰。以降8回の研究能を開催し、後進を育成。
現在 (公社)能楽協会名古屋支部 常議員(総務担当)
ワキ方 能の登場人物は、シテ方とワキ方で分担して演じられます。
シテは物語の主人公で、神様や幽霊など、“この世”に属さぬ者であることも多い。一方、ワキは生身の人間(それゆえ能面は用いない)で、シテの物語を引き出し、観客と共に見守る役です。
CBCクラブ文化賞(くちなし章)について CBCクラブ文化賞は、CBCクラブ(下記参照)が創設されてから3年後の昭和35年(1960年)に制定されました。CBCクラブ文化賞、通称「くちなし章」と親しまれているこの賞は、この地方にあって、一芸、一能に黙々と従事し、人知れずこの地方の文化の発展に貢献している方を発掘し、顕彰するというところに特色があり、他の文化賞とは一線を画すユニークな賞として評価を得ています。

くちなし章=口にだして大仰に伝えられなくとも、その一芸一能の芳しい香色は世の中の認められるところとなるという意味合いが、くちなしという花のもつ意味合いと合致し、CBCクラブ文化賞の象徴として選ばれ、徽章を贈ることとなりました。
なお、章は当時の院展院友の野村ショウ(公の下に木)韵画伯がクチナシの花と実を図案化したものを七宝で製作したものです。

CBCクラブとは

CBCクラブは、昭和25年に会社を創立した中部日本放送が「文化の発展と向上に寄与することが放送の使命」という企業姿勢に基づき、昭和32年に東海地方在住の芸術・文化・学術の分野を代表する145人で創設しました。
発足メンバーとして、後に人間国宝指定の栄誉に続いて文化勲章を受章する荒川豊蔵氏(陶芸)や名古屋初の芸術院会員に選出される鬼頭鍋三郎氏(洋画)、そして愛知県文化会館館長で徳川美術館初代館長の徳川義親氏といった方々がCBCクラブ会員として名を連ねていました。
平成30年1月1日現在、CBCクラブの会員数は291人。CBCクラブ文化賞選考以外の主な活動は、「チャリティ美術工芸展」などのチャリティ活動、「CBCこども絵画展」「CBC翔け!二十歳の記憶展(はばたけはたちのきおくてん)」(美術大学の学生を対象にした美術展)等開催による若手アーティスト育成支援、芸術・文化交流のための例会開催、地域の文化人を紹介するラジオ番組「文化・楽楽」の放送などで、これらの活動を通して地域貢献活動を行っています。

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