番組審議会

第627回CBCテレビ番組審議会

開催日 2017年2月10日(金)
出席委員
(敬称略)
小塩薫、喜聞広典、北川尚子、鈴木康弘、戸苅創、嶋尾正、中井昌幸、長谷川靖
書面参加 岡嶋昇一、村瀬幸雄
議題 1. 番組審議
「極北で生きる人たち 追え!海のユニコーン」

1. 番組審議
「極北で生きる人たち 追え!海のユニコーン」

放送日時 1月28日(土)14:00~15:24
プロデューサー 磯部 隆(編成・制作局 東京制作・情報部)
岩井 富士夫(編成・制作局 東京制作・情報部)
槌田 一平(編成・制作局 制作・情報部)
ディレクター 古田 則夫(アックスオン)
出演 阿部 力
ナレーター 上白石 萌音

《企画意図》

今回の撮影対象であるイッカクは、世界中どこの水族館を探してもいない生き物。
北極圏の限られた場所にしか生息せず、その姿を見られた人はほとんどいないため、幻の生き物とされてきた。そんな、幻であるイッカクを追い続ける人たちがいる。
グリーンランドで生活するイヌイットと、イッカクの研究者。人間が暮らすのには、過酷すぎる環境で、「なぜ、幻と言われるイッカクを追い続けるのか?」 その疑問の答えを探る。

《概要》

海のユニコーンと言われる、幻の生き物・イッカクの姿を求めて、北極圏に位置する世界最大の島・グリーンランドへ。島の大半を氷で覆われていて、日本の6倍の面積にも関わらず、人口は約5万6000人にしかいない。俳優の阿部力は、島の北部に位置するカナック村で暮らすハンターの親子とともに、イッカクを探した。食糧が乏しい村で、イッカクは恵みをもたらす動物。一頭で、家族がひと冬を越せると言われ、仕留めたハンターは、村で一目を置かれる存在。17歳の新米ハンターは、お父さんと犬ぞりを走らせイッカク猟に出る。
イッカクの姿を待つ間は、海に浮かんだ氷の上でのテント生活。荒波で、氷に入った亀裂がどんどん広がり、海へ流されしまう危険に遭遇したり、氷の上を移動中に犬ぞりの犬たちが大げんかをしたり、様々な困難を乗り越えて、イッカクを待ち続ける。
一方、イッカクは、そもそもどんな動物なのか、その謎を解き明かすために、イッカクの研究者・マッズ教授を頼り、島の東部へ。そこは、人間は誰ひとり暮らさない大自然。
そこは、イッカクが夏場の限られた期間だけ、群れで集まる場所。マッズ教授が長年の研究の中で見つけた場所で、日本のカメラが初めて撮影を許された。間近で撮影されたイッカクの姿から、謎に包まれた生態を解き明かす。

《審議委員の主なご意見》

  • グリーランドの自然を描いた映像がすばらしく、イヌイットの極寒の生活を生き生きと描いている。
  • グリーランドの空の青と、大地の雪の白の映像が美しかった。
  • 番組全体を通して映し出される、美しいグリーンランドの氷河や白夜などの壮大な風景と、自然の脅威と向き合う人々の暮らしが対照的に描かれていた。
  • テレビならではの迫力あるシーンが随所に登場し、教養番組的な要素を持ち合わせている。
  • ドローンで撮影できたイッカクの映像はとても貴重な映像だと思った。
  • イッカクに関して全く知識を持っておらず、その生態はとても新鮮だ。やはり牙を持った海洋生物は神秘的である。
  • イッカクの狩猟シーンは貴重である。イヌイットたちが五感に、直感をプラスして猟に挑んでいたのが印象的だった。
  • イッカク猟を通じて、イヌイットが家族を守る姿が良く伝わった。
  • 一歩間違えれば死に至りかねない狩猟生活の中で、生きるための知恵と工夫が大人から子供へ伝承されていた。
  • 番組は、イッカクを追うという冒険的なテーマと、イヌイットの極地での生活を描くというテーマを両立させている。
  • 40日間にわたる長期取材の苦労ぶりをもっと描いて欲しかった。
  • ユニコーンと呼ばれるイッカクが何故、希少動物になったのか。乱獲のためか、温暖化のためなのか。番組の中で説明して欲しかった。
  • 江戸時代にイッカクの牙が日本に伝わっていたことを番組で紹介していたが、どんなルートで入ってきたのか、グリーランドからきたのかなどを知りたくなった。
  • イッカクの牙は、どの様な役割を持っているのか、もっと、紹介して欲しかった。
  • イヌイットの日常生活をもっと描いてくれたら、なぜ、イッカク漁にこだわるのかがさらに分かったと思う。
  • レポーターが現地の研究所でイッカクにめぐり合えず、その場での感想が聞けなかったのは残念である。

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