番組審議会

第626回CBCテレビ番組審議会

開催日 2016年12月9日(金)
出席委員
(敬称略)
小塩薫、岡嶋昇一、喜聞広典、北川尚子、戸苅創、中井昌幸、長谷川靖、村瀬幸雄
書面参加 嶋尾正、鈴木康弘
議題 1. 番組審議
「ダイドードリンコスペシャル『おまんと、人馬一心にトマれ!』おまんとまつり・愛知県高浜市」
2. 年末年始特別編成説明

1.番組審議
「ダイドードリンコスペシャル『おまんと、人馬一心にトマれ!』おまんとまつり・愛知県高浜市」

放送日時 10月30日(日)16:00~16:54
プロデューサー 佐藤浩二(編成・制作局 制作・情報部)
ディレクター 坂田周吾(中日本制作所)
出演 吉村作治(ダイドードリンコ日本の祭り 座長)

《企画意図》

「祭番組を通じて地域の絆作り、活性化を目指す」。その思いから2003年夏、ダイドードリンコの提供で始まった企画。以来、CBCテレビでは毎年1作品、東海三県の祭りを取り上げ制作している。番組は、貴重な文化である祭を後世に伝え、人々の信仰、神事や自然との関わりを描く事で、日本の風土、文化が持つ美学を再発見するために制作される。
 おまんとまつりは、疾走する馬に若者が飛びつき人馬一心、一体となって駆け回る勇壮な祭り。馬の速度は40キロにも達し、挑むには勇気が問われる。7つの町の若者は、其々の町の誇りをかけて、馬の背を「空(から)」にしないように次々と飛び掛かる。空にする事は恥とされ、若者たちは「つなぐ」事に懸命となる。それは先輩から後輩、父から子へと引き継がれ、勇気と思いやりを育み、町が一つに団結してゆく。番組は、祭りが生み出す人間関係と若者の成長をとらえ、観る人に祭りの意義や素晴らしさを感じてもらいたい。

《概要》

 おまんとまつりの起源は1803年(享保3年)の記録まで遡る、雨乞い祈願の神事である。もともと瓦生産(運搬)の為に馬と生活してきた高浜の人々ゆえ、祭りで駆け馬を行うようになったという。
 円形馬場を猛スピードで疾走する馬に次々に飛び掛かり、その胴体にしがみつく若者たち。彼らはひるむ事なく全力で挑む。それは、それぞれ7つの町の若者が自分の町の誇りの為に馬を空にしないためだ。勇気ある町か否かが問われることになる。その思いは13歳の少年にまで受け継がれ、先輩や父の激励のもと飛び掛かる。激しい馬の脈動に振り落とされる者も多数。骨折、失神は茶飯事。救急車で搬送される者も。しかし、彼らは町の仲間の為に馬場へ再び戻ってくる。そして体重400キロ、時速40キロの馬と一心になる。円形の馬場で輪を描きながら勇気と思いやりが育まれてゆく。
 雨乞いのおまんとまつりは心を潤おす祭りでもある。

《審議委員の主なご意見》

  • 丁寧な解説とすばらしい構成が光る良い番組だ。番組をみてこの祭りを一度、現地に見に行ってみたいと思った。
  • 愛知県高浜市にこの様な伝統のある、独特な祭りがあるのをはじめて知った。
  • 単調な駆け馬神事を比較的長い時間をかけて描いているが、じっくり見ると馬の駆ける速さの違いや緊張感の盛り上がりもじわじわと感じられ、興味深かった。
  • 「祭り番組を通じて地域の絆づくり、活性化を目指す」という番組企画に意義があることを感じた。
  • 祭りを通して、親子や先輩後輩の人間関係が育つ姿が描かれ、地域の活性化という一面も見せていた。
  • 円形の馬場を激走する馬に、迫力あるアングルでカメラが迫り、臨場感のある番組だった。
  • 災害対応や過疎化といった地域の不安を、祭りという伝統が払拭させるという事を感じた。
  • 番組を見た多くの若者が祭りに関わる人たちの純粋な気持ちに感動し、祭りに参加したいと思ったのではないか。
  • 神事に懸命に取り組む父と子や、集落のプライドをかけて臨む若者の姿が活き活きと表現されていた。
  • 祭りに参加する若者は、スポーツに挑戦する姿に近いが、彼らの根底にあるものは神事や地域に貢献するという崇高な思いであることを知らせてくれた番組である。
  • 番組では、祭りに関わる若者からベテランまで幅広い年代の人たちを取材していたので、あらゆる年代の視聴者にとっても見やすかったのではないか。
  • 日本の祭りの伝統を外国の人に見てほしいので、ぜひ英語の訳文をつけて海外でも放送してほしい。
  • 祭りに関わる男性ばかりを描いていたが、登場人物の母、妻、恋人などの女性の姿を取材していたらもっと番組に幅が出たのではないか。
  • 番組は2日間の祭り本番の馬場の様子を描いていたが、事前の準備風景や当日の観衆の声など、周辺の描写があれば良かった。
  • 馬が疾走するシーンが長すぎて、番組に単調さを感じた。
  • けがのシーンは刺激が強すぎて、まつりに恐怖を感じてしまった人もいたのではないか。

2. 年末年始特別編成説明

編成担当から説明があり、了承を受けた。

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