番組審議会

第621回CBCテレビ番組審議会

開催日 2016年6月3日(金)
出席委員
(敬称略)
小塩薫、北川尚子、鈴木康弘、戸苅創、中井昌幸、
長谷川靖、村瀬幸雄
(書面参加)喜聞広典
欠席委員 岡嶋昇一、嶋尾正
議題 1. 番組審議「伝える'16 『消えていく「今」~7秒の記憶と生きる~』」

1.番組審議
「伝える'16 『消えていく「今」~7秒の記憶と生きる~』」

制作 CBCテレビ 報道局 報道部
放送日時 2016年5月22日(日) 25時25分~26時20分 (55分)
スタッフ ディレクター:松本年弘
撮影:福嶋 明、安田耕治
プロデューサー:大園康志
ナレーション:長澤まさみ(女優)
※NHK大河ドラマ『真田丸』ほか多数出演。
企画意図 7秒後には「今」起きていることを忘れてしまうという日常を送ることになったら・・・
あなたなら、どうしますか?これは、7秒で記憶を失ってしまう女性の日常を追ったドキュメンタリーです。

《番組内容》

三重県に住む水田順子さん(47)。9年前、突然、記憶がすぐに消えてしまう病にかかりました。原因は、ヘルペス脳炎。その発症率は、100万人に数人と言われています。水疱瘡などを起こすヘルペスウィルスの一種が、脳に侵入することで発症すると考えられ、水田さんはその後遺症で記憶をつかさどる海馬が収縮し、わずかな時間しか物事を覚えていられなくなりました。
定期健診で行う記録力テスト。スプーン、時計、歯ブラシ、鍵、鉛筆の5つが入った箱の中味をいくつ覚えていられるか?フタを閉じて、医師はすぐに水田さんに中味は何か?を聞きますが、返ってきた答えは、時計・・・だけ。で、水田
およそ7秒さんの記憶は消えてしまいます。
番組では、ディレクター・カメラマン・音声マンの3人がチームとなって、水田さんの日常に密着しました。水田さんは、大切なことを忘れないように、自分なりの方法を編み出しました。目の前で起きていること、全て書き留めるのです。水田さんは、そのメモを見ることで、いつ、誰と、どんな状態で、どんな会話をしたのかを確かめて、日々を暮らしています。自分を見失わないため、世界とつながるため、絶対にメモを手放しません。このメモこそが、水田さんの人生そのものなのです。
水田さんの生活を追うことで、何気ない日常の素晴らしさ、生きることの尊さを訴えます。

《審議委員の主なご意見》

  • 主人公から元気と感動をもらった。生きて行く上で大切なものは何かを考えさせられる番組である。
  • 見る人に、自分の日常的な人生に照らして、多くのことを考えさせるという意味で、非常に質の高いドキュメンタリーだと思う。
  • テロップが少なかったのが却って良かった。制作者の考えを押し付けず、視聴者がそれぞれの思いを膨らませるという効果をもたらしている。
  • 淡々としたナレーションでは、あえて表現されなかったが、制作側が狙った「生きることの尊さ」というメッセージは、ひしひしと伝わった。
  • 障害があるにも拘わらず明るく生きる主人公の姿勢に感銘を受けた。
  • ヘルペス脳炎という病気について担当医が分かり易く説明しており、病気の内容が良く分かった。
  • 主人公の脳の病気が、今後の医学の発展で治る可能性に期待したい。
  • 障害のある人たちと健常者が、みんなで補いながら一緒に社会を作るというメッセージを感じた。
  • 難病に苦しむ主人公をどうやって探したのか、番組の中で描いてほしかった。
  • 主人公の母親への取材などを通して、障害者を支える周囲の努力なども浮き彫りにして欲しかった。
  • 番組が発するメッセージ性やストーリー性が弱かったのではないかと感じた。
  • 7秒で記憶が消えるということを取材者はあらゆる角度からそのイメージを描き出そうと努力したが、病気のイメージは実感できなかった。
    主人公の苦しみがあまりに大きいため、必死の取材をもってしても描き出せなかたのではないか。
  • 病気と闘う上での明るい技術革新の可能性や、主人公と同じ病気の人同士の交流を取材し、主人公の苦悩を分かち合い心の安らぎに繋がる続編を作ってほしい。

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