息継ぎ無しで50mプール2往復以上! 驚異の日本記録保持者 強さの秘密は『あの漫画』
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スポーツLIVE High FIVE!!

息継ぎ無しで50mプール2往復以上! 驚異の日本記録保持者 強さの秘密は『あの漫画』

2018.05.15

プールの中をゆったりと泳ぎ、進んでいく一人の男性…。

上下つなぎのウエットスーツ姿で、足には左右一体型のフィン。その美しい泳ぎはまるでイルカのようです。

しかしこの男性、ずーっと息継ぎなしで潜りっぱなし!酸素ボンベもつけず、進み続けています。

そして、ようやく水面から顔を出すと…。

男性:「I’m OK!」

水中にいた時間は何と、2分49秒!

Q.苦しくないですか?
男性:「苦しくないですね。まだ行けますね」

この男性、三重県鈴鹿市のフリーダイビング選手、大井慎也選手(39)。

フリーダイビング(ダイナミック ウィズフィン)とは、1回の呼吸でどれだけの距離を進めるかを競うもの。足には大きなフィンをつけ、プールの中を潜水しながら進みます。

実は大井選手、この競技を始めてわずか3年8か月で日本記録を樹立!

さらに今年3月に行われた国際大会では、自身が持つ日本記録を6メートル更新し、見事銀メダル。

その記録、何と227メートル!

実に、50メートルプールを2往復以上、息継ぎ無しで泳ぎ切ってしまうんです。

強さの秘密は…漫画!

Q.大井選手がフリーダイビングを始めたキッカケは何ですか?

大井選手:
「知人に誘われて始める事になりました。やっていくうちに『これは日本記録行けるんじゃないか』って思ってきたので…」

今の目標は、世界記録の300m。

フリーダイビング大井慎也選手
フリーダイビング大井慎也選手

世界トップレベルの実力を持つ大井選手ですが、その強さの秘密は……漫画!

とある青年がフリーダイビングで世界の頂点に立つまでを描いた、たなか亜希夫さんの漫画「グロコス」(講談社)です。

大井選手:
「トレーニングを教えてくれる人が誰もいなかったので。この漫画を改めて読んでみたら、マネすればいけるんじゃないかというところが多かったんです」

では、大井選手はこのマンガのどのシーンを参考にしたんでしょうか?

まず1つ目が「5秒吸い、10秒吐くを繰り返す」というセリフ。

スタート直前の大井選手を見てみると…確かに、ゆっくり息を吸って、ゆっくり息を吐いています。

大井選手:
「やっぱり空気が僕らの場合は車で言う燃料になるので、たくさん積まないと長い距離いけないんです」

そして、参考にした2つ目が「イルカのように泳ぐ」という表現。確かになめらかな泳ぎ方は、イルカそっくりです!

大井選手:
「大会前に水族館に行ってイルカの泳ぎをマネするのに参考にしようと思って、ずっと水槽の前で観察してます」

気がつけば水槽の前で何時間もたっていることも…。

漫画を忠実に再現して日本記録を更新!?

漫画を音読する大井選手:
〜主人公がお寺で座禅をするシーン〜
この場面が、参考にした3つ目。記録が伸び悩んだ時に思い出したのがこのシーンでした。

集中力を必要とするフリーダイビング。座禅を組むことで、良い精神状態で競技に向き合えたそうです。

漫画を忠実に再現し、ついには日本記録を更新!そんな競技人生こそ、まさに漫画のような話です。

大井選手:
「(漫画「グロコス」)は面白かったですね。科学的な事も入っていますし、今でもたまに暇な時に読んでいます」

しかし、大井選手の強さの秘密はこれだけではなかったんです。部屋の中にあったのは、巨大なビニールハウス。

Q.これは何ですか?
大井選手:
「低酸素トレーニングをする部屋です。この中が酸素の濃度が低くなっていて、マラソン選手がよくやる高地トレーニングと同じような低酸素トレーニングが出来ます」

そう、大井選手の秘密のトレーニングルームだったのです!

週に3回、標高2000メートルと同等の超低酸素状態でバイクを1時間。この過酷な練習を続けることで、記録はぐんぐん上昇。5年前の自己ベストに比べ、実に100メートル以上も記録が伸びました。

大井選手がフリーダイビングを始めたのは実は33歳の頃。それまで本格的に打ちこんだスポーツはありませんでした。

では、なぜわずか3年余りで世界のトップ選手になれたのか…。大井選手にトレーニング法を教えた日本体育大学の杉田正明教授に聞くと、驚きの能力が判明しました。

杉田教授:
「洗面器に水を入れてどれだけ息こらえができるかというテストで、こらえている間にだんだん体から酸素が減っていくんですけど、大井選手は6分50秒まで息こらえができたんですね。ここまで我慢できるというのが彼の強さの秘訣の1つだと思います」

血中のヘモグロビンに酸素がどれだけくっついているかという割合を示す、酸素飽和度。通常平地環境ですとほぼ100%です。

杉田教授によると、普通の人では酸素飽和度が60%を下回るあたりから失神する人が少なくないにもかかわらず、大井選手は何とそれが30%近くになるまで我慢できていたとのこと。

そこまで失神しないで息こらえができるというのは、衝撃的なレベルなのだそうです。

今年の初めには生涯の伴侶を手に入れた大井選手。

競技生活は、まだまだこれから。今もまさに伸び盛りだと言います。6月に開催される世界選手権でさらなる記録更新を目指します!

Q.世界記録の300mは出せそうですか?

大井選手:
「出せると思います。2年以内に」

(5月13日(日)午後1時24分放送 CBCテレビ『スポーツLIVE High FIVE!!』より)

フリーダイビング大井慎也選手
フリーダイビング大井慎也選手

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