暮らしに鉄分
 
 
2月14日火曜日 パスタを茹でる時に、塩を入れるのはナゼ?
 

今回は料理のお話…。普段ほとんど料理をしない人でも「あぁ、それだったら作ったことあるわ」と思うモノの1つに、パスタ料理がありますね。手軽に作れる割に、作った感があるので(笑)
そんなパスタを作る時に、当たり前のようにやっている「あるひと手間」。
今週のそぼQはコチラです!

「パスタを茹でる時に、塩を入れるのはナゼ?」
入れますよね?だいたいどんな料理本を見ても「パスタの麺は、お湯に塩を入れて茹でましょう」と書いてあるし、麺の袋にも「お湯1リットルに対して塩を小さじ1杯ぐらい入れましょう」などと書いてあるし…
でもね?ほかの麺類(うどん・そば・ラーメン・そうめんなど)は、茹でるお湯に塩なんて入れない。入れるのは、パスタだけ。いったいナゼ?

*回答*

パスタを茹でる時、茹でるお湯に塩を入れるのは、いったい何のためなのか?
じつはこういった目的、だけだったんです。
お湯に塩を入れるのは、塩味を付けるため。ただそれだけ。
塩味が付いていると、後から入れるソース(トマト/クリームなど)と麺がなじみやすくなる(からみやすくなる)。ただそれだけだと言うんです。ホントに?
でも、そうなると「じゃあ巷でよく言われるパスタの都市伝説の立場は、どうなるの?」
ってことですよ。まったくのガセネタ?1つずつ検証してみましょう。

まずパスタの都市伝説の、1つめ。「塩を入れるのは、コシを出すためだ」というモノ。これはどうなの?
塩の量を増やしていくと、確かに麺にコシが出てくる。プリプリになってくる。
これ自体は、あながちウソではない。
とんでもなく濃い塩水でパスタを茹でると、麺の中のタンパク質が塩と化学反応して、もちもちした食感のグルテンに変わる(=コシが出る)。但しそれは、あくまで、ものすご〜〜く大量の塩を入れた場合、です。
どれほど大量の塩か?水1リットルに対して、25gの以上(大さじ1杯半)の塩を入れて茹でると、ようやくコシが出る。この塩水、だいたい海水と同じ濃さですわ。非常にしょっぱい。コシは出るけど、辛くて食べられない。
つまり、普段パスタを入れる時の塩の量=1リットルに小さじ1杯(5g)程度では、ほとんどコシには影響しない。ただ単に、麺に塩味が付くだけ。

※ちなみにパスタ以外の麺類(うどん・ラーメンなど)の多くは、麺の生成過程で(=生地を練る途中で)塩を入れている。この塩の働きによって、グルテンが生まれるため、麺にコシが出る。
※パスタは、グルテンがほとんど無いため、茹で具合で「コシのようなモノ」を生み出そうとする。それが「アルデンテ」≒「堅めに茹でる」という技法。

では、よくあるパスタ都市伝説の2つめ。「お湯に塩を入れると沸点が上がる≒お湯が沸騰する温度が100℃以上になるので、早く茹で上がるよ」というウワサ。これは?
水より沸点が高い物質≒塩を水に溶かすと、確かに沸点はほんの少しだけ上がる。しかし、これも誤差の範囲。茹で時間に影響することはほぼゼロ。
やっぱりパスタを塩茹でするのは、あくまで麺に塩味を付けるためだけ。

でもね。だとすると、別に麺を塩茹でしなくても(=お湯に塩を溶かさなくても)ただのお湯で茹でておいてから、後で麺に塩をパラパラ〜♪と振りかけても、味わいに違いはないんじゃないの?とも思うんですが…

これが、どうやらホントに「そのとおりだ」というんです。
塩の入ってないお湯で茹でて、茹で上がったモノに塩を振ってやる。
それでも、それなりにそこそこ美味しく、それほど違和感なく食べられる。
塩茹ですると、麺に均一に塩味が付くので確かに美味しい。一方、後から塩を振りかけると、味がまだらになりがちなので、調節が難しい。
でも、気をつけて麺全体に均一に塩をなじませれば、塩茹でに比べて多少は劣るものの、味わいにそれほど大きな差は出ない。

それどころか、じつは「塩、後がけ」のほうが、優れている点すらあったんです。
少し面白い現象として、後から塩を振った麺のほうが、のびにくい。
一般的な茹で方=「塩茹で」よりも、ただのお湯で茹でておいて後から塩を振りかけたほうが、なぜか麺がのびづらいんです。
この理由。詳しいことは分かってないんですが、どうやら塩茹ですると麺に均一に水分(=塩水)が染み込む。味が均一になる反面、時間が経つと麺の中心部にまで水分が染み込みきってしまう=のびるのも早い。
それに対して、塩を後がけすると、塩の働きによって麺の表面に水分が引き寄せられる。中心部まで水分が染み込み切ってしまうのを遅らせてくれるので、のびにくいのでは?ということなんです。

なので「ちゃんと美味しく作りたい」「作ったらすぐ食べる」という人は塩茹でで…。「ぼちぼちの味でOK」「茹で置きする必要がある」という人はただのお湯で茹でて塩は後がけ。使い分けたほうが良いみたいですよ。
協力:料理研究家 土屋敦さん